「一端を担う」は、ビジネスシーンでよく耳にする言葉です。聞いたことがあったとしても、よく意味を理解していない人も多いのではないでしょうか?
今回は「一端を担う」の意味やビジネスシーンでの正しい使い方・例文、類語などを詳しく解説します。
「一端を担う」の意味とは
「一端を担う」の読み方は「いったんをになう」で、意味は、「物事を部分的に、責任を持って引き受けること」です。
「一端」は「物事の一部」のことで、「担う」には「責任を負う」「身に引き受ける」という意味があります。
「一端を担う」はネガティブな意味?
「一端を担う」と似た言葉に、「一翼を担う(いちよくをになう)」、「片棒を担ぐ(かたぼうをかつぐ)」などがあります。前者はポジティブな意味合いがあり、後者にはネガティブな意味があります。
一方「一端を担う」は、責任を持って一部の役割を果たすという意味であり、この言葉そのものにはポジティブな意味もネガティブな意味もありません。 この言葉を読んだり聞いたりした際にどのような意味合いで使われているかを判断するには、前後の文脈から判断するとよいでしょう。
「一端を担う」と「一翼を担う」の違いとは
「一端を担う」と「一翼を担う」は、似た意味を持つ言葉です。 違いとしては「一端を担う」が一部分で責任や役割を持つことに対し、「一翼を担う」は、さらに大きな役割を果たすときに使用します。
「翼」は2枚あることで初めて空を飛べるため、その1枚の役割は大きなものです。それゆえに「一端を担う」よりも「一翼を担う」の方が、より大きな責任を背負う意味合いを持ちます。 ビジネスシーンで前向きな印象を持たれたいときは、こちらを使用しましょう。
「一端を担う」のビジネスでの使い方・例文
「一端を担う」を使う場面は、重要な仕事やプロジェクトであることがほとんどです。 簡単な作業や、労力があまりかからない容易なこと、責任が生じないような案件にはあまり使われることがありません。 ここでは、「一端を担う」を使える3つの例文をご紹介します。
彼は役員として我が社の経営の一端を担っている
彼女はまだ若いが、今後この業界の一端を担う重要な人物になるだろう
課長は今回のプロジェクトの一端を担っている
「一端を担う」の類語・言い換え
「一端を担う」の類語は数多くありますが、こちらでは3つの類語・言い換えの言葉をご紹介します。それぞれの意味や成り立ち、例文も併せてご紹介します。 ここだというとき使えるように、3つとも覚えておきましょう。
片棒を担ぐ
「片棒を担ぐ」(かたぼうをかつぐ)の意味は、「手を貸す」「加担する」で、駕籠(かご)を担ぐことが由来の表現です。 駕籠は、前の棒と、後ろの棒をそれぞれ二人一組で担がなければ運べません。それには誰かの手が必要なのです。転じて仕事や企みごとに協力したり加担したりすることを「片棒を担ぐ」というようになりました。
使い方は、ネガティブな表現に使われることがほとんどです。
彼は詐欺の片棒を担いでいる
不正の片棒を担いだために逮捕された
一役買う
「一役買う」(ひとやくかう)の意味は、さまざまな物事である役割を自ら進んで協力したり、引き受けたりすることです。「役」の持つ意味は、役目・受けもちなどで、「買う」は進んで求めるという意味があります。
ネガティブなことよりも、ポジティブな物事に使われることが多い表現です。
彼女のすばらしい歌声は、パーティを盛り上げることに一役買うでしょう
友人の子犬が迷子になったとき、私の兄が子犬を見つけ出すことに一役買った
一助となる
「一助となる」(いちじょとなる)は、「少しの助けになる」という意味で、相手に対してへりくだった言い方です。ビジネスシーンにおいては、貢献できるとしても謙遜して使うことがあります。
アルバイトをした給料が、家計の一助となればうれしい
私のこれまでの経験が、プロジェクトの一助になりましたら幸いです
「一端を担う」の意味・使い方を覚えておこう
「一端を担う」の意味や使い方、類語などを解説しました。多くはビジネスシーンで、ポジティブにもネガティブにも使われます。
意味を理解して使い方を覚えておけば、とっさに話すことがあっても上手く使いこなせるでしょう。