ビジネスシーンなどで「ご参集」という言葉を見聞きしたことはあるけれど、意味や使い方などはあいまいにしか理解していない、という方も多いでしょう。
本記事では「ご参集」の詳しい意味や使い方と例文を紹介。目上の人やオンラインの集まりに使えるのかなどの注意点、言い換え表現もまとめました。
「ご参集」の意味とは
早速、「ご参集(ごさんしゅう)」という言葉の意味を見ていきましょう。
「ご参集」とは参加をお願いする際に使う敬語
「ご参集」とは、特定の場所に集まって参加することを、相手にお願いしたいときに使う敬語表現です。「ご参集くださいますようお願いいたします」などの形で使用します。
「参集」という言葉は、「大勢の人が一カ所に集まる」という意味があり、そこに「ご」がつくことで、丁寧な言葉遣いになります。
ビジネスにおけるセミナーや会議、新年会など、さまざまなシーンで利用することが可能です。
「ご参集」の正しい使い方
「ご参集」は、ビジネスシーンの集まりにもよく使用されます。具体的な使い方のポイントを見ていきましょう。
「ご参集」は上司や取引先など、目上の人に使える言葉
「ご参集」は敬語表現であるため、上司や取引先など、目上の人にも使うことが可能です。
実際に使用する際には「ご参集」の前後に言葉をつなげて、集まって参加することを依頼しますが、その際、目上の人に対して「ご参集ください」とだけ使うのはおすすめしません。
「ください」は、「くれる」の尊敬語である「くださる」の命令形です。
つまり「ご参集ください」は敬語ではあるのですが、同時に命令形でもあるため、相手によっては「命令された」と気分を害する可能性もあるのです。
そのため、詳しくは後述しますが「ご参集」を含んだ別のフレーズである「ご参集くださいますようお願いいたします」や「ご参集を賜りますようお願いいたします」などを使用するといいでしょう。
さらに「ご多忙のところ恐縮ですが」などのクッション言葉を入れると、より敬意を表すことができます。
「ご参集」は依頼だけでなく、集まってくれたことへのお礼にも使える
「ご参集」は集まって参加することへの依頼に使用できるだけでなく、集まってくれたことに対してお礼を述べるときにも使うことができます。
例えば「本日はご参集いただきありがとうございます」などの形で、すでに参加したり集まったりしてくれたことへの感謝を表します。
ビジネスメールでの使い方
ビジネスメールでは、会議やイベントのお知らせメールなどで「ご参集」がよく使用されます。
メールの文頭にて「以下の日程にて〇〇を開催いたしますので、どうぞご参集ください」などと記し、会議やイベントの内容を記載します。
または会議やイベントの内容の後に、締めの言葉として「以上、お忙しいところ恐縮ですがご参集くださいますよう、よろしくお願いいたします」などと記すこともあります。
また前述のように、すでに参加してもらった会議やイベントのお礼メールに使うこともあります。「先日はお忙しいところ、ご参集いただきありがとうございました」などの形で使用します。
ビジネス文書での使い方
「ご参集」は、セミナーやイベント、会合などへの招待状、案内状でもよく使用されます。
相手に時間を取ってもらい、またある場所にわざわざ来てもらうので、「ご参集」の前に「ご多用とは存じますが」「ご足労をおかけしますが」などのクッション言葉を添えて、参加者への配慮を忘れずに行いましょう。
「ご参集」を含むフレーズ・例文
ここからは、「ご参集」の例文を参考に、使い方のイメージをより捉えていきましょう。
ぜひ〇〇へご参集ください
「ぜひ〇〇へご参集ください」は、会議やセミナーなどに参加をお願いする際に使える、直接的でシンプルな表現です。
ただし前述のように、「ご参集ください」は敬語ではあるものの命令形でもあるため、相手によっては失礼だと感じる可能性があります。
特に目上の人に対してや、忙しい相手に対しては、下記のような表現もおすすめです。
ご参集くださいますようお願いいたします
「ご参集くださいますようお願いいたします」は、「ご参集ください」に「お願いいたします」を加えた、より丁寧な表現です。
目上の人に対して使用しても、失礼だと捉えられる可能性は低いでしょう。
ご参集の程よろしくお願いいたします
「ご参集の程よろしくお願いいたします」は、「程(ほど)」を入れて言い切りを避けることで、表現を柔らかくしています。
参集することが断定的、強制的ではなくなり、謙虚で丁寧な印象となります。
こちらも、目上の人に対して使用することができます。
本日はご参集いただき御礼申し上げます
「本日はご参集いただき御礼申し上げます」は、会合やセミナーなどの挨拶によく使われるフレーズです。
参加者に対して、来てくれたことへの感謝の気持ちを表現します。
この度はご参集賜りましてありがとうございます
「この度はご参集賜りましてありがとうございます」という表現も、相手が集まってくれたことに対して感謝の気持ちを伝える敬語表現です。「本日はご参集いただき御礼申し上げます」と同様に、会合やセミナーなどの挨拶によく使われます。
「賜る(たまわる)」は「もらう」の謙譲語であり、目上の人から何かを頂戴する、という意味の言葉です。
「ご参集」を使うときの注意点
ここからは、「ご参集」を使う際に注意しなければならないことを説明します。
オンライン会議やウェブセミナーに「ご参集」は使わない
最近ではオンライン会議やウェビナーも一般的になりました。
オンライン会議やウェビナーも、多くの人が同じ時間に、ウェブ上の同じ場に集まります。しかし、オンライン会議やウェビナーには、「ご参集」という言葉は一般的に使用しません。
「ご参集」は「一カ所に集まる」という意味を含んでいますが、オンライン会議やウェビナーの場合は、参加者同士に物理的な距離があるためです。
少人数の会議に「ご参集」は使わない
「参集」は前述のように、「大勢の人」が集まることを意味します。
そのため、自分以外の参加者が1人、2人など、少人数の場合に「ご参集」を使うのは適しません。
「ご参集」の類語・言い換え表現
「ご参集」は、大勢の人が一カ所に集まることを相手にお願いしたいときや、大勢の人が一カ所に集まってくれたことへのお礼を述べる際に使う敬語表現です。
ここでは類義語を紹介しますので、ビジネスシーンで言い換えとして使えるよう覚えておきましょう。
ご参加
「ご参集」はやや堅苦しいイメージがありますが、普段からよく使う単語である「参加」を使用した「ご参加」であれば、よりカジュアルな場面でも使うことができます。
「本日は懇親会にご参加いただき、誠にありがとうございます」のように使います。
ご出席
「ご出席」は、会合や集会などに出ることを意味する「出席」を丁寧にした言葉です。
「クラス会にご出席いただけますよう、お願いします」「本日はご出席くださりうれしく思います」などの形で使用します。
お越し
「お越し」は、「行くこと」や「来ること」の尊敬語です。
ビジネスの場だけでなく、接客業でも頻繁に使われます。「お客さまのまたのお越しを心よりお待ちしております」といったフレーズを聞いたことがある人も多いでしょう。
なお「お越し」には「集まってもらう」というニュアンスはないため、大勢の人が来る場でなくても使用することができます。
ご参画
「ご参画」の「参画」は、事業や政策などの計画、プロジェクトに加わることを意味します。
そのため硬い印象があり、責任が伴うニュアンスがあります。
場面に応じて「ご参集」を適切に活用しよう
「ご参集」とは、大勢の人が一カ所に集まることを相手にお願いしたいときや、大勢の人が一カ所に集まってくれたことへのお礼を述べる際に用いる敬語表現です。
使うシーンを間違わないように、正しい意味や例文を学んで、理解した上で使いましょう。