ビジネスメールで「ご返信には及びません」という言葉を見掛けたことはあっても、具体的にどういうシーンでどう使うのか、詳しくは分からないという人もいるでしょう。

本記事では「ご返信には及びません」の詳しい意味や目上の人に使えるのか、具体的な使い方にメールの例文を紹介。注意点や言い換え、相手から言われた際に返信は必要なのかもまとめました。

  • ご返信には及びませんとは

    「ご返信には及びません」の意味や使い方、目上の人に対して使えるのかなどについて紹介します

「ご返信には及びません」の意味とは

「ご返信には及びません」は、こちらが送ったメールや手紙に対して、相手に返信してもらう必要がないときに使う表現です。返信をすることで相手の手を煩わせないよう、配慮したいときに使います。

上司や取引先など、目上の人が相手のときや、改まった場面などで使用できる表現です。

「返信不要です」をより丁寧な敬語にした、ビジネスメールや手紙で使える言葉

「ご返信には及びません」は「返信不要です」を丁寧に、柔らかくした表現のため、ビジネスシーンでもよく使われます。

細かく意味を見てみると、「ご」は相手への尊敬を表します。「及ばない」は「~しなくてもいい」」「~する必要がない」という意味です。

「ご返信には及びません」は、相手への尊敬と気遣いの気持ちを込めた表現です。

「ご返信には及びません」を目上の人に対して使うのは失礼?

「ご返信には及びません」は、前述のように「返信不要です」を丁寧にした表現のため、上司など目上の人に対して使用して問題ありません。

逆に「返信不要です」は、「です」と丁寧語を使ってはいるものの、尊敬語や謙譲語と比べると敬意が低く、目上の人に対して使用すると失礼だと捉えられる可能性があります。

また直接的過ぎて、冷たくきつい印象を与えてしまい、誤解されてしまうこともあるでしょう。

相手を配慮して使用した言葉にもかかわらず、あらぬ誤解を呼んでしまうのは悲しいですね。そのため、特に上司や取引先など目上の人には「返信不要です」ではなく、「ご返信には及びません」「ご返信いただかなくても結構です」などの表現を使用するのがおすすめです。

「ご返信には及びません」の使い方・例文

  • 「ご返信には及びません」の使い方・例文

「ご返信には及びません」は、相手を立てつつ「返信しなくてもいい」ということを伝える言葉です。相手が返信に要す時間を考えて、手間を掛けさせないように、という気遣いが込められています。

もちろん相談など、相手の意見が欲しいときには使用できませんが、単に連絡事項を共有しておきたいときなどに使用できます。

ここでは「ご返信には及びません」を使用した取引先のお客さまへのメール、就職活動先へのメールについて、例文を紹介します。

取引先のお客さまにメールで連絡事項を伝える場合

取引先のお客さまへのメールで、決定事項の内容や今後の日程などについて、確認だけしてもらえばいいときに「ご返信には及びません」が使えます。

「ご返信には及びません」だけではなく、「もし不備がなければ」「ご多忙かと存じますので」などのクッション言葉を入れると、より丁寧な印象を与えられます。

【メール例文】

株式会社○○ 広報部
○○様

お世話になっております。
△△株式会社の△△です。

お世話になっております。 新規のご依頼をありがとうございます。

ご依頼いただいた内容で、早速進めて参ります。
まずは第一案を、○月○日中にご提出いたします。

特に問題がないようでしたら、ご返信には及びません。

引き続き、どうぞよろしくお願いします。

就職活動においてお礼メールを送る場合

採用担当者は多くの就活生からのメールを確認しているため、忙しく、単純な返信メールを打つ時間もない場合があります。

質問メールに対する返信をもらわないわけにはいきませんが、会社説明会や面接などへのお礼メールならば、「ご返信には及びません」を使って相手を気遣いつつ、こちらの感謝の気持ちを伝えるという目的を達成することができます。

【メール例文】

株式会社○○ 人事部
○○様

お世話になっております。
△△大学の△△です。

本日はお忙しい中、面接の機会をいただきありがとうございました。

○○様のお話を伺い、改めて貴社への志望度が高まりました。
特に、面接の中で出た□□□□のお話に感銘を受けました。

もし貴社に入社できたならば、私も◇◇◇◇していきたいと思っております。

ご多忙かと存じますので、ご返信には及びません。

引き続きよろしくお願いいたします。

「ご返信には及びません」を使うときの注意点

  • 「ご返信には及びません」を使うときに気を付けること

相手に配慮して使用する「ご返信には及びません」ですが、場合によってはかえって相手に気を使わせてしまいかねません。

例えば相手が「返信しなくていいですよ」という配慮だと素直に取る場合もあれば、「返信しないでほしい」という意味だと考える場合や、「そうは言うものの、本当は返信がほしい」という意味だと考える場合もあります。

お互いに気心の知れた間柄なのか、知り合って間もない間柄なのかでも、相手の受け取り方が変わることがあります。

相手に余計に考えさせてしまう手間を掛けないためにも、状況に応じて使用しましょう。

また、返信がないとメールが届いたかやメールを確認したかが分からず、業務に支障が出てしまう可能性もあるので、そのことも考慮に入れて使用する必要があります。

相手から「ご返信には及びません」と来たときは返信すべきか

ここまで、自分がメールを送るときに「ご返信には及びません」と記載する場合について紹介してきました。一方で、自分にメールが送られてきたときに「ご返信には及びません」と記載されていたら、返信した方がいいのか迷いますよね。

「ご返信には及びません」は、基本的に「返信しなくてもいいですよ」「返信する必要はないですよ」という意味であり、「返信するな」という意味ではありません。

そのため心配な場合は、相手にメールが届いている旨や内容を確認した旨を伝える意味で、返信しても問題はないでしょう。

しかしメールを読むことや、やり取りが増えることを面倒に思われてしまう可能性もあります。そのため返信する際は、シンプルで簡潔な内容がおすすめです。

メールではなくチャットツールの場合は、リアクション機能などを活用するのもいいでしょう。

「ご返信には及びません」の類語・言い換え表現

  • 「ご返信には及びません」の類義語

ここでは「ご返信には及びません」の言い換え表現を紹介しますので、それぞれの意味を理解し、場面に応じて使い分けましょう。

ご返信は無用です

「無用」は「不要」「いらない」という意味があり、「ご返信は無用です」は相手に敬意を払いながら、返信の必要がないことを伝える表現です。

下記のように「ご無用です」としたり、「です」を「ございます」に変えたりすることもあります。

  • ご返信は無用です
  • 返信はご無用です
  • ご返信は無用でございます

どの表現も上司や取引先などの目上の人を含め、幅広く使用できる表現です。

ご返信いただかなくても差し支えありません

「差し支えない」は「問題ない」「支障がない」という意味があり、「ご返信いただかなくても差し支えありません」は「ご返信いただかなくても問題ありません」という意味の表現です。

丁寧な表現なので、上司など目上の人に対して使用できます。

下記の例文のような形で使用します。

  • ご確認いただけましたら、ご返信いただかなくても差し支えありません
  • 特に不備がなければ、ご返信いただかなくても差し支えありません

ご返信のお気遣いなく

「気を遣わないで」と伝えられる「ご返信のお気遣いなく」も、相手に敬意を払いながら、返信の必要がないことを表現できます。

柔らかい響きがありますが、砕けた印象だと捉えられる可能性もあるため、親しい関係性の人に使用するのがおすすめです。

上司など目上の人に使用する場合は「ご返信のお気遣いなく、よろしくお願いいたします」「ご返信はお気遣いいただきませんようお願いいたします」などと記載するといいでしょう。

ご返信いただかなくても結構です

「結構です」は「それ以上は必要ない」という意味があります。「ご~いただく」は謙譲語であり、「いただく」にはもともと「もらう」という意味があります。

「ご返信いただかなくても結構です」は、上司など目上の人にも問題なく使用できます。ただし「結構です」という言い切りは、冷たい印象や突き放した印象を与えることもありますので、前後のつながりに気を付けて使いましょう。

場面に応じて「ご返信には及びません」を適切に活用しよう

本記事では「ご返信には及びません」の意味や使い方などを紹介しました。

「ご返信には及びません」は相手を立てながら、「返信しなくてもいい」ことを伝える言葉です。「返信不要です」だと冷たい印象を与えてしまう可能性がありますが、このように言い換えることで相手に好印象を与えられるはずです。

本記事で紹介した例文や注意点なども参考にして、印象の良いメールの送付を心掛けましょう。