DP(DisplayPort) Alt Modeは、USB-Cケーブル1本で映像入出力と給電をまかなう規格です。iPhoneに搭載されている入出力ポートはLightningですから、物理的にDP Alt Modeは使えません。大型テレビなどにiPhoneの映像を出力するには、Lightning Digital AVアダプタなどでHDMIを利用することになります。
ところで、iPhoneの兄弟分ともいえるiPadシリーズには、入出力ポートをLightningからUSB-Cに変更したiPad Proとという存在があります(第10世代からはシリーズ全体でUSB-Cに変更)。もちろんiPhoneとは違いますが、iPadOSというiOSとごく近い関係のシステムで動作する事情もあり、もしiPhoneでUSB-Cが採用されれば機能面での参考になるはずです。
このUSB-CタイプのiPadでは、DP Alt Modeが使えます。同じくDP Alt Modeに対応したディスプレイであれば、変換アダプタを使わずUSB-Cケーブル1本でiPadの画面を出力できます。iPad内蔵ディスプレイの表示内容をそのまま映し出すミラーリング機能にくわえ、一部のアプリでは異なる画面を外部ディスプレイに映し出すことも可能です。
外部ディスプレイをケーブル1本で接続できれば、Bluetoothキーボード/マウスを用意するとパソコンのような使いかたが可能になります。表計算のようなアプリも、インチ数の大きいディスプレイを接続すればがぜん使いやすくなります。実際、DP Alt Modeに対応したAndroidスマートフォンでは、そのような活用スタイルも提案されています。そのままiPhoneに置き換えることはできないものの、もしDP Alt Modeが使えるようになれば、活用範囲が広がることは確かでしょう。