女優の長澤まさみが、第60回ギャラクシー賞(主催:放送批評懇談会)のテレビ部門・個人賞を受賞。31日、都内のホテルで行われた贈賞式で喜びを語った。
『エルピス-希望、あるいは災い-』(カンテレ)の主演と、『鎌倉殿の13人』(NHK)のナレーションで受賞した長澤は「昨年はもう毎日が撮影の日々でした。様々な作品の撮影に行き、2週間に1回はナレーション録りに行く。本当にどっぷりと作品作りに浸った1年になりました。本当に作品づくりというのは大変なこともたくさんあります。でも、私が一つ一つの仕事をやり抜くことができたのは、近くで支えてくださった監督、そしてスタッフの皆さんのおかげだなと再実感する一年でありました」とあいさつ。
『エルピス』で演じたアナウンサー役について、「私が演じた浅川恵那という女性は、ちょっと主人公らしからぬというか、自分の気持ちにある意味で素直で、見ている人たちからすると『しっかりしろよ』って思うような不安定な女性だったのですが、私自身も共感する部分が多かったりして、一緒に悩みながら演じていったように思います」と回想。
元フジテレビアナウンサーで、バラエティから報道まで経験のある贈賞式司会・長野智子に「滑舌も、ニュースキャスターとしての佇まいも、バラエティでのあり方もすごくリアルでした」と評されると、「先生にスパルタ特訓をしてもらいました(笑)。やはり、アナウンサーの原稿読みがうまくいかないと、この作品が成立しないくらい大切なところだったので、みんなで『ここを何とか乗り切りたいね』と言いながら、撮影しました」と振り返った。
一方、『鎌倉殿の13人』でのナレーションについて、「“ささやき声”というのを注文してきたのが三谷(幸喜、脚本)さんで、作品全体を始めから最後まで見たときに、このナレーションの意味が伝わる演出っていうのを一番始めにしてくださったおかげで、私のナレーションが成り立ったと思っています。私はもう本当に言われるままにやっただけで、全て三谷さんのおかげというふうに思っております」と感謝した。
そんな長澤のお祝いゲストとして、『エルピス』の大根仁監督がサプライズ登場。大根監督は「昨年のテレビドラマを振り返ると、僭越ながら『エルピス』と『鎌倉殿』というのは、2022年を代表する2作品だったと思います。そこで、主演とナレーションという重要なポジションを演じられた長澤さん、いや、まーちゃんが受賞するのは本当にふさわしいし、当然のことだと思います」と、いつも呼んでいる愛称で称賛した。
その上で、「これからますます日本代表する俳優になっていくと思っております。20代のときに『モテキ』という作品を撮りまして、そのときは20代の一番かわいい長澤まさみを撮れたと自負しておりますし、今回の『エルピス』では30代の一番かっこいい長澤まさみが撮れたと思っております。次は、40代の一番美しい華やかな長澤まさみを撮りたいと思っていますので、そのときはよろしくお願いします」と意欲を述べた。
放送批評懇談会は「『エルピス-希望、あるいは災い-』では、冤罪事件に立ち向かうテレビ局のアナウンサーという難しい役どころを繊細かつストイックに演じました。ドラマの序盤では嘘を飲み込めず嘔吐するヒロインをひりひりするような痛々しさで演じ、中盤以降では権力に屈しない強い意志を持つ報道キャスターへと変貌していくプロセスを力強く演じ切り、難しいテーマを扱ったドラマに奥行きと説得力を与えました。その一方で大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では、ささやくようなナレーションが独特の雰囲気を醸し出し、惨劇渦巻くドラマにやわらかさと余韻を与え、ドラマの成功に大きく貢献しました」と講評している。