5月30日午後に民事再生法の適用を申請したと報じられたFCNTが、民事再生手続開始の申立てを行い、受理されたことと、同社のシニア向けSNSなどのサービス事業についてスポンサーからの承継・支援の意向表明を受けたことを公表した。

  • FCNTロゴ

FCNTからの発表文では、同日に民事再生手続開始の申し立てを行うことを決定し、東京地方裁判所に申し立てを行ったこと、またその申し立てが同日付で受理され、監督命令および弁済禁止の保全処分の発令を受けたことが記されている。

民事再生手続開始申し立てに至った経緯については、携帯端末市場の成熟化等によって売上が伸び悩む中、昨今の円安の進行、世界的な半導体不足等の影響によって原価・費用が急激に高騰し、同社を含むREINOWAグループの収益・資金繰りが悪化したと説明。同グループでは収益改善・資金繰り維持のための各種の取組みを進めるのに並行してスポンサー支援による再建の可能性も模索してきたが、今夏の資金繰りの維持が容易でなく、法的整理によることなくスポンサー支援を受けることも困難という見通しとなった。

そういった状況の中、「複数の事業会社」からサービス事業等を承継・支援するとのスポンサー支援の意向表明を受けたことから、スポンサーへの承継によるサービス事業等の再生を目指し、民事再生手続開始の申立てに踏み切ったという。

事業を承継・支援するというスポンサー支援の意向表明があったのは、シニア向けSNSサービスなどのスマホを利用する各種サービスについて。今後、東京地方裁判所および監督命令により選任された監督委員による監督をうけながら、可及的速やかに事業譲渡契約の締結を目指すとしている。

一方でプロダクト事業のうち携帯端末の製造・販売事業については、スポンサーからの支援の意向がなく事業継続が困難であるとして、事業停止を予定しているという。同様に、携帯端末の修理・アフターサービス事業についても継続が困難であるとしており、いったん事業を停止し、携帯キャリアなどと協議するとしている。ソリューション事業についても事業停止の予定。

同社の親会社であるREINOWAホールディングスも本件に関する告知を行っている。こちらでは、FCNTのサービス事業について「取引関係のある事業会社」からスポンサー支援の意向表明を受けていることが報告されている。また、製造会社であるジャパン・イーエム・ソリューションズについても、エンデバー・ユナイテッドが同社を含む3社のスポンサーグループとして、FCNT向け内製・修理事業を除く事業を承継・支援するとのスポンサー支援の意向表明を受けているという。

両社は、今回の民事再生手続開始の申し立ての影響を受ける取引先・関係者に謝罪するとともに、今後の事業再生に向けての理解・支援を求めている。

なお「らくらくホン」「らくらくスマートフォン」および「arrows」シリーズなどのFCNT製品を取り扱っているNTTドコモからは、同社製端末のユーザーに心配をかけることのないよう、アフターサポート体制を整え販売を継続するとのアナウンスがされている。