政府は16日、大手電力の電気料金について、6月からの値上げを認める方針を固めました。値上げするのは、北海道、東北、東京、北陸、中国、四国、沖縄電力の7社です。
では、6月からの電気料金は、各社どのくらい高くなるのでしょうか。夏に向け、電気代を節約する方法とあわせてご紹介します。
■大手電力7社、2023年6月から電気料金値上げ
5月16日に開かれた「物価問題に関する関係閣僚会議」において、政府は、大手電力7社が申請していた家庭向け電気料金の値上げを認めました。値上げは6月1日(木)からで、標準的な家庭の電気料金の値上げ幅は、平均15.9~39.7%になります。
もともと各社が申請していた値上げ幅は28~48%でしたので、当初の値上げ幅よりは圧縮されました。しかし、これから夏の訪れを控えるタイミングでの電気料金の値上げは、家計への影響が心配です。
では、電気料金は、大手電力各社でどのくらい値上げするのでしょうか。北海道、東北、東京、北陸、中国、四国、沖縄電力の6月の電気料金の値上げ幅は、以下の通りです。
・北海道電力 平均23.22%
・東北電力 平均25.47%
・東京電力 平均15.9%
・北陸電力 平均39.7%
・中国電力 平均26.11%
・四国電力 平均28.74%
・沖縄電力 平均33.3%
大手7社の中で最も値上げ幅が大きいのは、北陸電力の39.7%です。標準的な家庭の場合、現行の6,200円から+2,548円の8,748円に上がります。また、東北電力では現行の8,032円から+2,110円の10,142円に、四国電力では現行の7,382円から+2,155円の9,537円に上がります(いずれも標準的な家庭の場合)。
ただし、今回値上げされたのは「規制料金」であり、「自由料金」で契約している家庭は値上げとはなりません。「規制料金」とは、2016年4月に行われた電力自由化以前からある電気料金で、多くの家庭が契約している「従量電灯」のことです。
一方、「自由料金」は、電力自由化以降に登場した電気料金で、電力会社が自由に設定可能な電気料金のことです。自由料金で電気を契約している場合は今回の値上げには当てはまらないため、実際には、該当地域の全ての家庭で値上げするわけではありません。
また、現在は政府の「激変緩和措置」が実施されています。激変緩和措置とは、標準世帯で電気代月2,800円、都市ガス代月900円の負担軽減が受けられる制度です。
これにより、実際には、当面の電気料金は抑えられます。しかし、この激変緩和措置は9月末までで、10月からの対応は未定です。そのため、激変緩和措置が終了する予定の秋ごろから、電気代の負担が重くなる恐れがあります。
冬に向けた負担軽減策はどうなるのか、動向を注目しましょう。
■夏に向けて電気代を節約するには
電気料金が値上がりすると、毎月の電気代が心配になります。さらにこれからの時期は、気温が高くなるにつれ、エアコンを使う機会が増えるでしょう。気象庁によりますと、今年の6月の気温は「東日本と西日本で平年より高く、蒸し暑くなる日がありそう」、7月の気温は「平年並みか高い所が多い見込み」との予報です。
今後は電気料金が上がり使う電力も多くなりますので、できるだけ節電を心がけたいですよね。節電する時に大切なのは、「電気代の高い家電」から取りかかることです。電気代の高い家電から節電すれば、その分、効率的に電気代が抑えられます。
最後に、電気代が高い「エアコン」「洗濯機」「食洗機」「冷蔵庫」「テレビ」の節電方法をご紹介します。
・エアコン
これから出番が多くなるエアコンは、節電のためにさまざまな工夫ができる家電です。帰宅後にエアコンで冷房を使う場合は、すぐにスイッチを入れるのではなく、まずは窓を開け部屋の換気を行い、熱気を逃がしましょう。
さらに、扇風機やサーキュレーターを併用すると節電に効果的です。扇風機やサーキュレーターは、エアコンから来る風を背にして、風を送る方向に向けると冷気を遠くに送ることができます。
また、自動運転の機能を使い、余分な電力を使わないことも大切です。エアコンは、部屋を冷やし始める時に最も電力を使います。自動運転なら、はじめは強、部屋が冷えたら弱というように自動で効率的に冷やしてくれます。
・洗濯機
洗濯機の節電は、まず、洗濯機を使う回数を減らし、まとめ洗いすることがポイントです。洗濯機を使えば、その分消費電力が発生してしまいます。これまで、洗濯物が少ししかなくても洗濯機を使用していたなら、洗濯物がたまるまで待ち、まとめて洗うようにしましょう。
ただし、洗濯物の詰め込みすぎには注意が必要です。洗濯物を詰め込みすぎると、洗濯機を回すための消費電力が大きくなり、節電には逆効果になってしまいます。
「まとめ洗い」と「詰め込みすぎない」を両立させるのはなかなか難しいかもしれませんが、それぞれの洗濯機で定められた容量に対し、80%くらいの洗濯物に抑えておくのがベストです。
・食洗機
洗濯機と同様、食洗機を使う際も「まとめ洗い」がおすすめです。コップ数個やお皿数枚を洗うために食洗機を使うと、電力や水が無駄になってしまいます。
洗い物が数点なら、洗わずに水につけておき、洗い物がたまったらまとめて食洗機にかけたほうがいいでしょう。ただし、食器の間隔が狭すぎると汚れが十分に落ちない可能性がありますので、詰め込みすぎには注意が必要です。
・冷蔵庫
冷蔵庫に食材が多すぎると、冷気の流れが悪くなって均一に冷えなくなり、余分な電力消費につながります。食材は詰めすぎないようにしましょう。ただし、冷凍庫の場合は逆です。食材が詰まっているほうが、お互いが冷やし合い、効率よく食材を冷やすことができます。
また、冷蔵庫が壁と近すぎたり上に物が乗っていたりすると、うまく放熱ができません。壁からは5㎝以上の隙間をあけ、上に物を置かないようにしましょう。
・テレビ
テレビはつけっぱなしに注意しましょう。テレビをつけている時間を1日8時間から4時間にすると、年間では約2,600円もの節約になります。
また、テレビの省エネモードを活用して画面の明るさを調整し、消費電力を抑えるようにしましょう。
■家計全体を見直して節約を
年々暑さが厳しくなり、これまで以上に暑さ対策が必要になる中、電気料金が値上げされれば、家計への負担が心配です。節電の工夫を重ねることは大切ですが、「もうすでにできることはやっている」という人も多いかもしれません。特に、エアコンの節電は体調を優先して行う必要があります。
できる範囲で節電しつつ、通信費などの固定費を削減する、利用していないサブスクを解約するなど、家計全体を再度見直すことも大切です。