メルセデス・ベンツ日本(MBJ)が電気自動車「EQS」のSUVバージョン「EQS SUV」を発売した。グレードは2種類で価格は1,542万円or1,999万円。車名に「S」のつくメルセデスだから高額なのは当然だが、セダンのEQSも含め日本ではどんな受け止めなのだろうか。
SUV待ちの顧客が多かった?
EQS SUVはメルセデスが電気自動車(EV)専用プラットフォームで作った初のSUV。長いホイールベースと広い室内空間を活用した3列シート7人乗り仕様で、一充電走行距離(WLTCモード)593kmの「EQS 450 4MATIC SUV」が1,542万円、同589kmで動力性能の高い「EQS 580 4MATIC SUV Sports」が1,999万円だ。SUVらしい特徴としては、ドライブモードに不整地や滑りやすい路面を走る際に頼りになる「OFFROAD」モードが追加となっている。
3列目シートにはシートヒーターを標準装備。左右独立可倒式で、どちらも倒して格納すればフラットな荷室が作れる。
MBJが日本に導入したEVは「EQA」「EQB」「EQC」「EQE」「EQS」に続き今回で6車種目となる。メルセデス・ベンツのEV世界販売は2021年が9万台、2022年が15万台というペースで伸びており、日本では2021年が約1,000台、2022年が約2,000台と倍増しているそうだ。日本でのEV販売についての手ごたえやEQS SUV導入で見込まれる効果についてMBJの上野金太郎社長に聞いてきた。
――EQS導入の反応とSUVバージョン導入についての期待は?
EQSは「大きいクルマ」を待っていた方から大きな反応がありましたが、試乗して、気に入っていただいた方の中で、最終的に購入に至った割合は20~30%くらいです。それはなぜかというと、SUVと比較がしてみたいということで、EQS SUVの導入を待っていた方がいらっしゃるからです。EQS SUVについては、もともとセダンに興味がないという「SUV一本買い」の方から、発表前にもかなりの問い合わせが入っていました。最初からSUVが欲しいとおっしゃる方は、どちらかというと距離を乗るタイプで、ゴルフなどアクティブなご趣味を持ちの方が多いようです。
――EVの販売目標は?
目標台数は公表していないのですが、MBJの年間販売台数は6万台くらいで2022年はEVが約2,000台ですから、まだまだ比率としては少ないと思っています。ただ、前年比では倍増しているので、今年もそれに近いくらいには伸ばしていきたいと思っています。
EVについては「乗ってみたい、(内燃機関搭載車と)乗り比べたい」というニーズが先行している段階だと見ています。テスト車両を展開して、販売店がバトンタッチをするような形で大規模な試乗会をやっていきたいと考えています。
――EQSの価格設定とターゲット層、導入のタイミングについては――
EQS SUVは、車格としては大型SUV「GLS」とミッドサイズSUV「GLE」の中間か、やや大型寄りくらいの立ち位置です。内燃機関を搭載するSUVと比べれば、価格帯は同じくらいで決して割高感はないと思います(編集部注:「GLS 400 d 4MATIC」は1,420万円~、「GLS 580 4MATIC Sports」は1,870万円~)。
ターゲット層としては、MBJのオーナー層が「50+」ですから、そこは変わらないと思いますが、SDGsも考えると企業でも使っていただけると考えています。
メルセデス・ベンツは2030年までに新車販売を完全にEVに移行すると宣言しています。EQS SUVはEVをより理解していただくための最大の「ウェポン」として絶対的な自信を持つクルマで、このタイミングでの日本導入は絶妙のタイミングだと信じています。