映画『怪物』(6月2日公開)の第76回 カンヌ国際映画祭凱旋記者会見が29日に都内で行われ、是枝裕和監督、脚本家の坂元裕二が登場した。
同作は是枝裕和監督と脚本家・坂元裕二によるオリジナル作で、この度、第76回 カンヌ国際映画祭で脚本賞、クィア・パルム賞を受賞した。大きな湖のある郊外の町に存在する、息子を愛するシングルマザー(安藤サクラ)、生徒思いの学校教師(永山瑛太)、そして無邪気な子供たち(黒川想矢、柊木陽太)。そこで起こったのはよくある子供同士のケンカに見えたが、彼らの食い違う主張は次第に社会やメディアを巻き込み、大事になっていく。そしてある嵐の朝、子供たちは忽然と姿を消した。
カンヌでレッドカーペットを歩いた監督とキャスト陣だが、その時にかかった音楽は北野武監督の映画『菊次郎の夏』テーマである「Summer」だった。是枝監督は「事前に音楽を『何にしますか?』と聞かれました。坂本龍一さんの今回の『怪物』のテーマ曲をお願いしますと伝えました。かかったら、久石譲だったんですよ」と驚きの展開に。「これは何だかわからない。何かを間違ったんだと思うんです。当然坂本さんの曲だと思って歩きはじめたんですけど、違いました。で、上映後出てきてもまたかけたので、大好きな曲なんですけども、なぜあれがかかったのかわかりません」と苦笑。
さらに是枝監督は「わかりませんけれども、授賞式でレッドカーペットを歩いても『タケシ!』って声かけられましたので、もしかするとどこかで何か違ったいろんなことが伝わってくるかもしれない」と明かした。
また映画『PERFECT DAYS』に主演し同映画祭で最優秀男優賞を受賞した役所広司について聞かれると、是枝監督は「役所さんの名前が呼ばれた時に、僕と安藤(サクラ)さんが一番叫んで歓声を上げていると思います。それくらいかっこよくて、本当に嬉しかったです、役所さんがあの場所で評価されるということが」と振り返る。
「裏で記念写真を撮って、役所さんも恥ずかしがり屋さんなので、あんまり受賞した喜びを裏で言葉にするみたいなことはなくて、今後の日本映画をどうしていくか、日本映画界をどういう風に良くしていくか、みたいなことを戻ったらまた話し合いましょうねと。僕らがやっていることをずっと応援していただいているので、そのお礼を伝えて、日本に戻ったらまた話しましょうという話をしました」と語った。