パナソニックは、テクニクス(Technics)ブランドの完全ワイヤレスイヤホン「EAH-AZ60M2」を6月15日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭価格は27,700円前後を見込む。カラーはブラックとシルバーの2色。
2021年発売の「EAH-AZ60」の後継機種。しずく型デザインのボディにバイオセルロース振動板の8mm径ダイナミック型ドライバーを搭載し、“業界最高クラス”をうたう「デュアルハイブリッドノイズキャンセリング」機能を装備する点はAZ60と同じだが、同日6月15日発売の最上位機「EAH-AZ80」と同様に、広帯域での再生能力を引き出すために音響や機構、回路のすべてを新設計。デジタル処理とアナログ・機構構造なども含めた開発を行い、「情報の欠落をなるべく発生させないアプローチで、聴感上の劣化が少ない音」を追求している。AZ80の詳細は別記事で紹介しているので、あわせて参照してほしい。
EAH-AZ60M2はAZ80と同様に、ドライバーの後端に空間と調整通気孔を設け、ドライバーの空気の流れを精密にコントロールする「アコースティックコントロールチャンバー」を内部に装備し、ボーカルのリアルさや力強い低音を再現。さらにドライバーの前の空間形状を最適化し、高域特性を良好にする「ハーモナイザー」によって、自然な高音を追求している。
ユーザーが音をカスタマイズできるサウンドモードについては、新たに音質の劣化を抑える「ダイレクトモード」を追加した。従来のAZ60では、サウンドモードがオフ状態であっても音声信号がフラットなイコライザーブロックを通っており、若干音質が劣化していたという。そこでAZ60M2とAZ80では、サウンドモードオフでもEQブロックを通過するものの、動作をシンプルにしたことで音質劣化を抑え、自然なサウンドを追求しているとのこと。
“業界最高クラス”をうたうデュアルハイブリッドノイズキャンセリングを引き続き搭載。デュアルハイブリッドNC用のフィードフォワードマイクとフィードバックマイク、通話用と発話検知用として、左右合計で8個のマイクを搭載しており、NC・通話性能をさらに高めている。
デュアルハイブリッドNCとは、外側のマイクで周囲のノイズを取り込んで低減するフィードフォワード方式と、耳の内側のノイズも低減するフィードバック方式のNCに、独自のデジタル制御とアナログ制御の技術を組み合わせたもの。外側のノイズは精密なデジタル制御で処理し、耳の内側のノイズはデジタル制御よりも処理の遅延を減らすため、あらかじめ決まった演算パターンを組み込んだ専用チップでのアナログ制御を行っている。
具体的な数値は明らかにしていないが、AZ60M2では、中高音域(人の会話と同じ帯域)のノイズ抑制量が、従来のAZ60比でさらに向上したとのこと。また、イヤホンを着けていても外の音が聞ける「アンビエントモード」も、フィルタ性能の向上によって進化した。
パナソニックの通話技術も盛り込んだ、独自の「JustMyVoice」テクノロジーも進化している。発話音声解析アルゴリズムを見直し、話し声以外のノイズをさらに低減。通話相手に届かないようにしつつ、発話中にノイズが小さいものは抑圧のレベルを従来より緩めることで“こもり感”を改善したという。
なお、テクニクスの完全ワイヤレスイヤホンで採用している発話検知マイクは、装着者が発話するときに骨に伝わる振動を検知し、独自のアルゴリズムで発話者の声の帯域を特定するもので、従来のAZ60から新機種の“M2”とAZ80にも受け継いで性能を高めている。
業界初となる、3台の機器との同時接続機能「3台マルチポイント接続」に新たに対応したのも大きな特徴。業務用のスマホと私物のスマホ、タブレットやPCなど、複数のデバイスを同時に使っているときにシームレスに切り替えできるとする。なお、デフォルト設定は2台の設定になっており、3台マルチポイント接続を利用するには専用アプリからの設定変更が必要だ。また、3台接続時はLDACコーデックは利用できない。
対応コーデックはSBC、AAC、LDAC。装着センサーにより、耳から外すと音楽再生を停止し、装着すると音楽再生を再開する。NCオン時のイヤホン単体の連続再生時間は約7時間、充電ケース込みで約24時間。ケースはUSB-C充電と、Qi対応ワイヤレス充電に対応する(ワイヤレス充電パッドは別売)。イヤホン本体はIPX4相当の防滴仕様。
イヤホンの重さは片側7g。付属のシリコン製イヤーピースは、周辺部と中心部で硬さを変え、高いフィット感と遮音性を両立させたものを採用しており、XS1/XS2とS1/S2、M/L/XLの計7サイズを同梱する。