ジャニーズ事務所は26日、故・ジャニー喜多川前社長の性加害問題の対応策として、書面を通じて「心のケア相談窓口の開設」「外部専門家による再発防止特別チームの設置」「社外取締役」を発表した。

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同社はまず、「ジャニー喜多川による問題について、大変なご心配と大きなご不安を与えてしまっておりますこと改めて深くお詫び申し上げます」と謝罪。今回の問題について、「声を上げられたかどうかに関わらず、所属経験のあるすべてのタレントへの心のケアが最重要と考えております」とし、「専門家に監修をいただき、心療内科医に委嘱して、本問題によって心を痛めたジャニーズ事務所の所属経験者を対象にした外部機関としての相談窓口を5月31日に開設します。この窓口では完全にプライバシーに配慮した形で心療内科医・公認心理師がご相談者それぞれの心の問題に対応し、できる限りのケアを行います」と方針を記した。

また、「今回の問題は、弊社におけるガバナンス上の課題を浮き彫りにしたもの」との認識を示し、「現在社内では、ガバナンス改善に向けた対応・準備を急速に進めておりますが、複数の識者の目を入れて、弊社の問題点をしっかりと受け止める必要があり、それなくして未来への道はない」との決意を表明。3名の専門家で構成された「再発防止特別チーム」を立ち上げ、「ガバナンスをはじめとした社内の事実関係を確認の上で、再発防止に向けた弊社への提言を行います」と同チームの役割を補足した。

さらに、3名の「社外取締役」の就任も報告。「特別チームによる提言を受けた再発防止策の確実な遂行を含めた、経営改革を推進致します」と伝え、「以上のような対応を進めさせて頂くに当たり、皆様にご報告すべき事項が発生した際には適宜お知らせさせていただきたいと考えておりますので、今後とも、これまで以上に様々なご意見ご指摘を賜りますよう、心よりお願い申し上げます」と結んでいる。

■心のケア相談窓口の詳細
運営体制:プライバシーを保護した心療内科医または公認心理師による個別対応の実施
対象者:ジャニーズ事務所の所属経験者
監修者:鴨下一郎 (かもした いちろう) 心療内科医。元衆議院議員。環境大臣、厚生労働副大臣、厚生労働委員長を歴任。一般社団法人日本心身医学会名誉会員 認定医。特別非営利活動法人日本心療内科学会 顧問。心療内科医というバックグラウンドを活かし、年金・医療などの社会保障分野で数多くの政策課題に取り組む。医療現場の最前線で心の病気に向き合い続けてきた経験に基づき、本窓口の運用を監修。

■「外部専門家による再発防止特別チーム」について
本チームは元検事総長である林眞琴氏の指揮の下で組成。複数の有識者および弁護士から本件における適任者として林氏の名前が多く上がった事が、林氏に本件を依頼した理由。林氏を含む3名のメンバー全てが、これまで同社と関係を有していない。この特別チームに、独立性・公正性を確保しつつ、同社のガバナンス上の問題点の把握及び再発防止策の策定・提言を行う。

・林眞琴(はやし まこと)
昭和58年検事任官。東京地方検察庁特別捜査部検事、在フランス日本大使館一等書記官、法務省矯正局総務課長、法務省刑事局長、東京高等検察庁検事長、検事総長等を歴任し、令和4年に検事を退官し、現在、弁護士。

・飛鳥井 望(あすかい のぞむ)
精神科医。公益財団法人東京都医学総合研究所副所長、日本トラウマティック・ストレス学会初代会長を歴任。現在、公益社団法人全国被害者支援ネットワーク理事、公益社団法人被害者支援都民センター理事長。

・性加害等の被害者支援の実践を行っている臨床心理の研究者(女性)
※所属機関内での手続中のため、現時点では氏名は非公表。

■社外取締役3名について
コンプライアンス遵守、再発防止策の確実な遂行を含めた経営体制の改善と強化に向け、2023年7月1日付で、社外取締役に以下の3名が就任予定。

・中井 徳太郎(なかい とくたろう)
「企業経営の脱短期思考」「SDGs やカーボンニュートラルの推進」などの発信を通じて、様々な社会改革を提言してきた実績がある。時代に即した企業のあり方、社会と向き合う姿勢づくり等、社外取締役として、厳しい助言を求める。

<経歴>
1985年 大蔵省(現 財務省)入省。主計局主査などを歴任。
1999年 富山県庁へ出向。(2002年まで)
2002年 財務省広報室長。
2009年 財務省理財局計画官。
2010年 財務省主計局主計官(農林水産省担当)。
2011年 7月に環境省に異動、総合環境政策局総務課長、大臣官房会計課長、大臣官房秘書課長、大臣官房審議官(総合環境政策局担当)、大臣官房審議官(総括担当)、廃棄物・リサイクル対策部長、総合環境政策統括官、環境事務次官を歴任。
2022年 日本製鐵株式会社顧問に就任。

・白井 一幸(しらい かずゆき)
プロ野球の選手・コーチとして培ってきた経験を基にしたコーチング理論は、多くの企業や組織で、高い評価を得ている。厳しい競争のあるエンターテインメント業界の最前線でプロフェッショナルとして研鑽する所属タレント、またそのタレントをサポートするスタッフたちが、白井氏のコーチングを受けることは、これまでよりも広く柔軟な視点を養い、改めて社会から信頼される企業になれるきっかけになると考えている。

<経歴>
1983年 ドラフト1位で日本ハムファイターズ入団。
2009年 野球解説、コーチングをテーマにした企業研修、講演を主軸に活動開始。
2018年 「プロ野球界初の企業研修講師」として各企業との提携をはじめ、商工会議所、大学、スポーツ界などへ人材育成、 チームビルディングをテーマに研修を開始。
2020年 北海道銀行女子カーリングチーム「フォルティウス」のメンタルコーチに就任。
2021年 北海道バスケットチーム「レバンガ北海道」のメンタルコーチに就任。
2022年 2023年WBC侍ジャパンのヘッドコーチに就任。8月北海道医療大学客員教授就任。

・藤井 麻莉(ふじい まり)
第⼆東京弁護士会副会長としてハラスメント相談員・調査委員を担当し、企業のパワー・ハラスメント調査委員会委員経験を有する。男女共同参画の専門家として組織のハラスメント防止施策に携わるなど、ハラスメント領域において豊富な対応経験を持つ。コーポレートガバナンス、コンプライアンスを中心に企業法務全般を取り扱う。ハラスメント領域に対する高い専門性や実践経験は、コーポレートガバナンスの体制の強化に向け、大きな推進力になると考えている。

<経歴>
2006年 森・濱田松本法律事務所
2012年 内閣府男女共同参画局推進課課長補佐
2019年 三浦法律事務所パートナー(~現在)第二東京弁護士会 副会長
2020年 日本弁護士連合会 常務理事
2020年 文京区男女平等参画推進会議 委員(~現在)
2022年 第⼆東京弁護士会男女共同参画推進⼆弁本部本部長代行(~現在)
2022年 日本弁護士連合会男女共同参画推進本部委員(〜現在)
2022年 日本弁護士連合会ダイバーシティ&インクルージョン推進検討 WG 委員(~現在)