京都市交通局は25日、地下鉄烏丸線の新型車両20系が2023年の鉄道友の会ローレル賞を受賞したと発表した。新型車両20系は2022年度グッドデザイン賞も受賞しており、今回のローレル賞受賞でダブル受賞となった。
新型車両20系は、烏丸線の開業した1981(昭和56)年以来、40年以上にわたって使用し、老朽化している車両9編成(10系1・2次車)から置き換えるために製造され、2021~2025年度にかけて更新する予定。現在、3編成が営業運転を行っている。
今回の受賞にあたり、新型車両の外観・内装デザインを専門家や市民で構成される「デザイン懇談会」の開催を経て、最終的に市民や利用者の投票によって決定するという市民参加の取組みに加え、安全性の向上、バリアフリー化、快適性の向上、省エネルギー化などを考慮して取り入れた最新の車両技術が評価された。
京都ならではの地下鉄として、外観・内装デザインに京都の伝統産業素材・技法を活用したことも評価された。多目的スペース「おもいやりエリア」の立掛けシートの背面部に西陣織・清水焼・京扇子などを飾り付け、車号と事業者標記に京象嵌、中間車通路部上部に釘隠し、吊り手のさやに北山丸太と京くみひもを活用。車外でも交通局章に金属工芸の鎚起を用いている。
公営交通事業者の通勤車で制約がある中、市民参加によるデザイン策定、多目的スペースの設置、バリアフリー、多言語案内表示といったインバウンド対応、車両内外デザインでの伝統産業品との協創など、完成度が高く、最新技術と京都らしさをあわせ持つ優れた車両であることが鉄道友の会に評価され、ローレル賞に選定された。