『マクロスΔ』から誕生した戦術音楽ユニット“ワルキューレ”の単独最後のライブツアー『SANKYO presents ワルキューレ FINAL LIVE TOUR 2023 ~Last Mission~』が、いよいよ5月20日に幕を開けた。東京有明アリーナ公演 2DAYSのあと、ツアーは大阪、幕張と続いていくのだが、ここでは熱狂の初日の模様をレポートする。

アリーナ全体に広がったステージセットは、マクロス艦が鎮座しているような作りになっており、ワルキューレーのメンバー、美雲ΔJUNNA、フレイアΔ鈴木みのり、カナメΔ安野希世乃、レイナΔ東山奈央、マキナΔ西田望見の5人が、劇中さながらマクロス艦の上で縦横無尽に歌い踊る様は、観客全員を『マクロスΔ』の世界に一気に引き込んだ。しかもワルキューレは神出鬼没! アリーナ席だろうがスタンド席だろうが油断はできない。JUNNAが最後のMCで「一番みんなの近くへ行けたライブだった」と話していたが、どこから見ていても楽しめるし元気をもらえる、まさに“ワクチンライブ”だった。

今回はゲストとして、ハインツ・ネーリッヒ・ウィンダミアの歌唱を担当するメロディー・チューバックも登場。その神秘的な歌声を届けたり、YamiQray(ヤミキューレ)がライブをジャックし、会場を熱狂させたり、TVシリーズ、そして劇場版と続いてきた『マクロスΔ』を総まとめにしたような激アツのセットリストで、最初から最後まで、一瞬たりとも飽きさせない。

そんな中、ここ数年聴くことができなかった観客の歓声が聞けたことは本当に大きかった。発売中の『マクロスΔ』ライブベストアルバム『Absolute LIVE!!!!!』を聴いた方なら当時の記憶がよみがえったと思うが、観客の掛け声があるのが当たり前だった。コロナ禍で声を出すことができなくなったときも、5人のとてつもない歌唱力で、何度も素晴らしいライブを観せてくれていたが、久々に聞くファンの掛け声はやはり格別で、やはりワルキューレのライブは観客と一緒に作り上げていくものだと実感させられた。

序盤に、観客を煽りまくることでもお馴染みの曲を持ってきたのも、あの感覚をファンのみんなにも取り戻してほしい!という願いを込めてのことだろう。曲の最後にフレイアΔ鈴木みのりが「やっと!やっとこの言葉がみんなと一緒に言えるんよ!」と言って、会場のみんなで叫んだ光景は、いつもとは違う感情が込み上げ、グッとくるものがあった。この日、この場所でしか味わえない、ライブ感たっぷりのパフォーマンスでもあった。

全曲全力投球のセットリストは、観客の声があったからこそ、ワルキューレの5人も乗り越えることができたのではないだろうか。ワルキューレの歌声が客席を盛り上げ、オーディエンスの声が、ワルキューレをさらに元気にする。そんなエネルギーの心地よい循環がされていたように思う。

歌でワルキューレを引っ張り続けた美雲ΔJUNNA。最後の最後まで元気いっぱいに走り回って歌い続けたフレイアΔ鈴木みのり。「最終公演の最後の1曲まで成長し続けたい」と言っていたカナメΔ安野希世乃は、ハモリでワルキューレを支え、時にメインで切ない歌声を響かせた。存在感のある歌声と安定感があるダンスが頼もしかったレイナΔ東山奈央。「きゃわわ」な歌声を響かせながら、パワフルさが増しまくっていたマキナΔ西田望見。この5人でワルキューレなんだ!ということがよく理解できた。また、ワルキューレファンにはお馴染みの外園一馬に加え、2017年以来のライブ参加となる黒田晃年の2人による初のツインギターで厚みも増したバンドも、最高のパフォーマンスでワルキューレを支え続けてくれた。

今回のツアーで、一旦地球を離れるワルキューレ。次はいつ地球に舞い戻ってくるかはわからないが、これは「さよなら」ではなく「ありがとう」を伝えるためのツアーだとメンバーは話していた。ぜひその「ありがとう」の歌を、会場で受け取ってほしい。

ファイナルライブツアーを締め括る、幕張公演のチケット一般発売(先着順)が5月26日18時より販売開始。さらに6月4日最終日は全国の映画館・カラオケルーム、海外へのライブ・ビューイングも実施されるので、全銀河でワルキューレのラストミッションを盛り上げよう!

Text by 塚越淳一 / Photo by 川島彩水 冨田味我 VictorNomoto

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