JR東日本とプロテリアルは24日、新型トロリ線(パンタグラフを通して給電する接触電線)を共同開発し、摩耗低減と摩耗の許容限界の拡大を実現したと発表した。5月中旬から埼京線の一部区間でこの新型トロリ線を試験導入しており、今後は導入エリアを拡大。人件費と整備費のコストダウン、メンテナンスの効率化をめざす。

  • 新型トロリ線は埼京線の一部区間で試験導入されている

従来の在来線では、銅を主材にスズを添加した「銅スズ合金トロリ線」を使用してきた。今回、スズに加えて新たにインジウムを添加し、現行品と比べて耐引張荷重を約25%強化した新型トロリ線を開発。摩耗を低減できる効果に加え、トロリ線の張替の目安となる摩耗量の許容限界を拡大する効果があり、張替周期を約1.4倍に伸ばせるという。現行品で張替周期が20年の線区で7年延伸でき、摩耗が激しく張替周期が短い箇所で人件費・整備費のコストダウンを期待できる。

新型トロリ線は本線用と車両基地・側線用を開発。本線用は上部に新型であることを識別できる細い溝を入れることで、架設をスムーズに進められるようにした。車両基地・側線用は電気・軌道総合検測車が走行しない区間であることを想定し、側面に摩耗管理用の溝を設け、摩耗状態を容易に確認できるようにしている。

  • 本線用の新型トロリ線(JR東日本提供)

  • 車両基地・側線用の新型トロリ線(JR東日本提供)

5月中旬から埼京線の中浦和~南与野間に740m、南与野構内に1,270mの本線用トロリ線を試験導入。他の区間への導入は設備の老朽度や導入効果、他設備への影響などを勘案しながら検討する。