Palitから投入予定のNVIDIA GeForce RTX 4060 Ti搭載グラフィックスカード「GeForce RTX 4060 Ti Dual OC」について、発売前に試用することができました。日本国内ではドスパラが主に取り扱うモデルで、同社が販売するBTOパソコンにも多数搭載されることになるでしょう。価格と性能、消費電力のバランスが極めて優れており、今後のPCゲーミング環境で長いあいだ存在感を発揮しそう。

忙しい方向けにまとめておくと、アーキテクチャの刷新で前モデルのミドル~ハイエンド級性能がわずか2スロット厚になって新登場。対応ゲームで大幅に性能を引き上げるDLSSはDLSS 3へと新しくなり、WQHD解像度でのクオリティ設定が実用的に使えそうな仕上がりでした。

  • Palit「GeForce RTX 4060 Ti Dual OC」レビュー! 2スロット厚で静音仕様

外装は黒く地味。ライティングも最小限な外観をチェック

さっそく外観から眺めていきましょう。Palitといえばハイエンドモデルで超ド派手なクーラーを搭載するモデルを展開する一方、それ以外ではかなり質実剛健な作りになっている点が魅力的。今回紹介する「GeForce RTX 4060 Ti Dual OC」も例に漏れず、真っ黒なファンカバーを採用しています。

  • パッケージの様子。薄くて軽いので、店頭での衝動買いも苦になりません

  • 取り出した様子

  • 95mm径のファンを2つ搭載

  • ヒートシンクはしっかりヒートパイプが通っているタイプで排熱に手抜かりはありません

  • 補助電源には8pin×1を要求します

  • メーカーロゴの下に薄くスリットが入っており、白く光ります

  • 裏返した様子。xx60Tiシリーズながらバックプレートを搭載しています

  • カード長そのものはかなり短く、後端は大きくエアフローが通り抜けるエリア。バックプレートは大きく切り抜かれており、高い冷却性能をサポートします

  • ブラケットからのはみだしも最小限。ほぼどんなケースにも入りそう

  • 映像出力端子はDisplayPort×3、HDMI×1で3画面の同時出力をサポートします

やはり2スロット厚に収まっているコンパクト仕様がとても好感触。高負荷なゲームを連続して楽しむ場合や、静音性より冷却性能を重視したい場合はこのデュアルファン仕様の「Dual」シリーズが魅力的ですが、Palitではシングルファン仕様の「StormX」モデルも展開しており、Mini-ITXやASRock DeskMeetのような小型PCへの組み込みにも対応している点が要注目です。

GeForce RTX 4060 TiでもDLSS 3は十分実用的!

外観を眺めたところで、実際に組み込んでみて動いているところも眺めてみました。すでに同GPU自体の詳細なベンチマークは『「GeForce RTX 4060 Ti」(8GB版)の実力を徹底検証 - RTX 3070と同クラスで圧倒的な省電力!』にて掲載中なので、ここではかいつまんで紹介。試用ではNVIDIAからレビュワー向けに提供されたドライバ「GeForce Game Ready Driver 531.93」をインストールしており、Intel Core i5-13600K、DDR5 32GBメモリを組み合わせています。

  • GPU-Z。DirextXの対応バージョンすら読み取れていませんが、3DMarkはどれも正常に使えました

  • ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク

  • Fire Strike Extreme

  • Speed Way

NVIDIA GeForce RTX 4060 Tiの主な仕様は下記の通り。

主な仕様 GeForce RTX 4060 Ti
アーキテクチャ NVIDIA Ada Lovelace
製造プロセス TSMC 4N
CUDAコア数 4352
Tensorコア 136
RTコア 34
GPUメモリ GDDR6 8GB
メモリインタフェース 128bit
メモリ帯域幅 288GB/s

こうしてみると、GPUメモリが下位モデルとしては十分多めに搭載されている点がポイント。高解像度でのゲームプレイのほか、生成AI用途にも役立ちそうだと思います。メモリインタフェースは128bitと控えめですが、前シリーズより大増量したL2キャッシュによって十分な実行帯域が確保されているそう。

  • NVIDIAの発表資料。そもそもAda LovelaceアーキテクチャではVRAMへのアクセスを低減することで性能を引き上げる思想になっています

  • L2キャッシュが2MBしかない場合と、32MBある場合の効率比較。特にDLSS使用時に真価を発揮します

なお、要注意なのはバスインタフェースがPCIe 4.0 x8(スロット形状はx16)である点です。帯域幅自体はPCIe 4.0 x8でもPCIe 3.0 x16と同じくらいあるため影響はあまりないと思いますが、それもPCIe 4.0対応プラットフォームで使う場合。古いCPUにGeForce RTX 4060 Tiを組み合わせるとPCIe 3.0 x8で動作することになり、やや足を引っ張る場合があるかもしれません。

ちなみに、今回筆者が個人的に関心があったのは、GeForce RTX 4060 Tiのようなエントリー・ミドルレンジモデルにおいても、DLSS 3がしっかり使えるかどうかでした。というのもDLSS 3の性能は「フレーム生成」機能など異常なほど強力で、RTコアやTensorコアを大量に搭載して先行投入されたRTX 4080のようなモデルでしか真価を発揮できない、ハイエンド向けの機能なのかなと考えていたためです。

今回GeForce RTX 4060 Tiを試用してみて、この心配は完全に杞憂だったことがわかりました。3DMarkのDLSS 3 feature testによる結果を見れば一目瞭然で、WQHD解像度でのクオリティ設定においてフレームレートは約3倍に向上。RTコアが上位モデルより少なくとも、全く問題ないどころか素晴らしく実用的だと感じました。

  • DLSSオフ時は37.11fpsですが、DLSS 3の有効化で96.09fpsまで向上します

これが欲しい、PalitのGeForce RTX 4060 Ti

ここまでPalitのGeForce RTX 4060 Ti搭載グラフィックスカードについて紹介してきた本記事。性能パートではDLSSについてフォーカスして紹介しましたが、そもそも素の性能も「GeForce x60シリーズ」の印象から大きく逸脱している強力な製品です。今回の試用を通して、この強さがこの薄さ、このコンパクトさで投入されるのは技術の進化を感じます。

Palitの製品は主にドスパラで販売予定! 価格は下記のとおりです。

GeForce RTX 4060 Ti Dual OC 8G 72,800円
GeForce RTX 4060 Ti Dual 8G 69,800円
GeForce RTX 4060 Ti StormX 8G 67,800円

  • 光り方はとても穏やかでした