健康や美容を目的に「サウナ」を活用する人も多いのではないでしょうか。ロウリュウを楽しめるサウナやスチームサウナ、完全個室のサウナなど、施設により内容もさまざまで気分や目的に合わせて選ぶのも楽しみのひとつですよね。

しかし高温の室内で過ごすサウナは入り方にも注意が必要です。今回は、医師の中路幸之助先生に、サウナに関するお話しをお聞きしました。健康に効果的な入り方や、「この症状が出たら危険」という入る際の注意点などをまとめていますので、参考にしてみてください。

■サウナは健康にいいの?

ーーまずはじめに、サウナは本当に健康にいいのでしょうか?

サウナは熱い閉ざされた空間で汗をかくことで代謝を改善する作用などがあり健康に効果的です。一方、脱水や血圧の変動など心血管系に影響するリスクがあることも知られています。サウナの身体に与える影響を知ることで有用で安全な「サウナ・ライフ」を送ることが可能と考えます。

ーー具体的にどのような健康効果があるのか教えてください。

【1】代謝改善

サウナはお風呂とちがい水圧はかからず、その分血管が拡張して大量の血液が体を流れます。血流が改善することで体の細胞に酸素や必要な栄養がいきわたり代謝が改善されます。

【2】美肌効果

美肌効果が期待できます。サウナに入ると大量に汗をかき、汗と同時に老廃物が肌から排出され、肌の血流もよくなるめ、肌の代謝が改善されるため美肌効果があります。皮膚の汗腺の働きをよくして体臭の改善効果もあります。

【3】ダイエット効果

サウナで余分な水分が出ていって体重が減少することは知られていますが、その他にサウナに入ることで、代謝がよくなり、体脂肪が燃焼しやすくなりダイエット効果が期待できます。

【4】免疫力の向上

サウナの熱で、体の中で他のタンパク質の傷をいやすタンパク質が作られ、免疫細胞が活性化し、免疫力が高まるという報告があります。

【5】肩こり、筋肉のこりの改善

体の凝りや痛みは、筋肉の緊張のため血液の流れが悪くなった結果、末しょうの細胞に酸素と栄養と酸素が十分に届かないことが原因と考えられます。サウナに入ると、血行がよくなり、栄養や酸素が、末しょうの細胞に十分行き渡るようになるため凝りが良くなる効果があります。

【6】ストレス解消

サウナによる熱気が脳の興奮を高め、身体機能の調整が促進されることでストレスの解消が得られます。ぬるめのサウナ室で時間をかけて汗をかくことがおすすめです。 またサウナ室には、パソコンやスマートフォンなどは持ち込むことができず、サウナに入ることでデジタルデトックス効果が得ることができます。仕事や人間関係の悩みなどを全部忘れて頭を空っぽにできるという意味では、サウナはそのまたとない機会となります。

■サウナの正しい入り方は?

ーーサウナはさまざまな健康効果が期待できるのですね。では実際にサウナに入る時、どのような手順で入るのが望ましいのでしょうか?

健康的になサウナを活用するには、以下手順で2~3セット程度で入るのががおすすめです。

【1】脱水にならないよう、あらかじめ十分な水分を摂取しておく。
【2】サウナに入る前にお風呂に入り、汗をかきやすい状態にしておく。
【3】髪・体をよく洗ってからサウナに入る。サウナに入る時間は10分程度に。
【4】サウナから出たら"かけ湯"をして汗を流し、水風呂に1~2分ほどつかる。水風呂が苦手な場合は外にでて外気に触れたりしましょう。

なお、サウナに入る頻度は週1から2回ぐらいがおすすめです。

■サウナに入る際の注意点は?

ーーでは、サウナに入る時の注意点を教えてください。

アルコールを飲んでいたり、水分補給をせずにいきなりサウナに入るのは脱水のリスクがありNGです。めまいや気分不良が出た場合も、気がつかないうちに高度の脱水症に陥っている可能性があるので注意が必要です。

また髪・体を洗わずに入るのはエチケットの意味もありますが、汚れが体にあると汗をかきにくくなり逆効果です。

ーーサウナの利用を控えた方がいいのはどのような人でしょうか?

心臓病や脳血管疾患を持つ方、高血圧や低血圧の方は利用を控えた方が良いでしょう。妊娠中の方も控えた方が良いと思います。その他の持病で心配な方は、かかりつけ医に相談しましょう。

■"ととのう"ってどういう状態?

ーーサウナでよく聞く"ととのう"とはどういう状態なのでしょう? 健康に関りがあるのでしょうか?

サウナの後に水風呂にはいったときに得られる「陶酔感」の様な感覚が得られた状態を「ととのう」と呼びます。なかなかこの感覚を表現するのは難しいのですが、「体が無重力状態にあるようなふわっと宙に浮くような快感」ともいえます。座禅でいえば「無念無想の境地」にいたると同じく、これからずーと同じ姿勢でいれるのではないかという感覚です。

こうような現象がおこる理由ははっきりわかっていませんが、オキシトシン(ストレス緩和)、セロトニン(うつ状態の改善)、βエンドルフィン(鎮痛作用)などの脳内物質が、サウナと水風呂の温冷刺激により分泌されるためと考えられています。

サウナでととのうためには原則、「サウナ」から「水風呂」、そして「休憩」の3つの過程が重要です。この過程で体の中心部から温まり、「ととのう」ことを実感できるようになります。

「ととのう」ことで筋肉のこわばりがなくなり緊張がとけ、リラックスした状態となるため日頃のストレス解消が期待できます。またサウナで汗をかき血行が良くなった後、水風呂で血管が収縮されることで「自律神経」が改善される効果も期待され、健康に効果的です。

監修ドクター: 中路 幸之助先生

1991年兵庫医科大学卒業。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医/日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医 / 日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医


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