ハイセンスといえば、コストパフォーマンスの高い家電製品を中心に世界的なシェアを持つ巨大メーカー。そんなハイセンスが日本向けに、タテ型の全自動洗濯機「HW-DG100XH」と「HW-DG80XH」を発売します。日本の開発者が日本市場向けに開発した高機能モデルです。

ポイントはスマホ連携。液体洗剤・柔軟剤の自動投入機能を備えたモデルは以前からありましたが、今回はハイセンスの日本向け洗濯機としては初めて、スマートフォン連携機能を搭載しています。2モデルとも機能は同じで、洗濯容量が違います。価格はオープン。推定市場価格は、洗濯容量10kgのHW-DG100XHが99,000円前後、8kgのHW-DG80XHが89,000円前後です。ハイセンス洗濯機の実力をメディア向け内覧会でチェックしてきました。

  • HW-DG100XH(写真左)とHW-DG80XH(写真右)

  • マイナビニュース +Digitalの林編集長(身長165cm)と並べて。洗濯容量が10kgと8kgの大容量モデルですが、本体サイズは比較的コンパクト

まずは最上位モデルの基本性能から

新モデルの本体サイズは、10kgモデルが幅599×奥行き622×高さ1,060mm、8kgモデルが幅575×奥行き585×高さ1,030mmです。本体は手前部分が低い前下がりになっていて、洗濯物を出し入れしやすい形状。上面のフタ部分は、汚れをサッと落とせて高級感のあるガラス素材です。

  • 高級感あるガラストップ

  • 手前部分が低くなっていて、洗濯物が取り出しやすい形状です

  • 操作部はボタン式。「風乾燥」ボタンがありますが、衣類乾燥機能はありません。ここでいう風乾燥は、指定した時間だけ「脱水→ほぐし」を繰り返す機能のことです。カラカラに乾燥することはできませんが、通常の脱水よりも干し時間を短縮できます

最上位モデルということで、「液体洗剤&柔軟剤 らくらく自動投入」機能も搭載。引き出し式の洗剤タンクはフタ下にあり、補充しやすい作りです。

  • 引き出し式の洗剤・柔軟剤用タンク。タンクは取り外して水洗いも可能です。タンク横には、液体洗剤と粉末洗剤用の手動投入口も

  • 漂白剤を利用するときは、槽内の糸くずフィルター上部にある漂白剤専用投入口を使います

新しいIoT機能、洗濯・洗浄コースも多彩

続いて注目の新しいIoT機能について。洗濯機をスマートフォンと連動させることによって、液体洗剤・柔軟剤の量の設定や、洗濯終了お知らせの受け取り、出先からの運転開始・一時停止といった便利な操作が可能です。また、従来はエラーを「E1」や「UL」といった記号で表示していましたが、スマートフォンと連動すれば「フタ開閉のエラー」などとわかりやすく通知してくれます。

  • 専用アプリ。洗濯終了までの「残り時間」をチェックできるほか、スマートフォンから一時停止の操作も。アプリのインタフェースはかなりシンプル

  • 液体洗剤・柔軟剤の量を設定できるのは便利! グラム単位の設定に加えて、主要な洗剤の銘柄からも選べます

  • スマートフォンにエラーを通知。従来の記号表示と比べてエラーの内容が断然わかりやすく、スムーズに対処できそう

洗濯モードもアプリから選べます。それが理由かもしれませんが、従来モデルよりも洗濯モードが多彩です。特徴的なのは「セレクト3」と「槽洗浄3」というモード。

前者の「セレクト3」とは、3つの運転モードを格納したメニューです。「セレクト3」でボタンを押すたびに「すすぎ1回」「香り付け」「ドライ」という運転モードが切り替わります。既存の最上位モデル(HW-DG10A)にはなかった、すすぎ1回と香り付けモードが加わりました。

  • セレクト3ですすぎ1回モードを選択したところ。本体の液晶画面では「SE01」と表示されます。香り付けモードは「SE02」、ドライは「SE03」と表示

  • アプリなら、モード名から運転モードを選べます

これは便利かも! 手軽に使える「5分槽洗浄」モード

「槽洗浄3」も、ひとつのボタンに3つの槽洗浄モードを格納したメニューです。槽洗浄3では、12時間・4時間・5分の槽洗浄モードを選択可能。

「12時間」モードは塩素系の専用漂白剤などを使って、しっかりと洗濯槽を洗いたいときのモードです。ニオイや汚れが気になってきたら実行します。「4時間」モードは、市販の手軽な槽洗浄洗剤を使うときに適したモード。月1回などの定期洗浄に向いています。

最後の「5分」モードは、洗剤を使わずにサッと洗濯槽を水洗い。洗濯が終わったあと、洗濯槽の「洗剤残り」がなんとなく気になる……というとき気軽に利用できます。

筆者はこの5分槽洗浄モードに魅力を感じました。多くの洗濯機は、洗濯後に槽を水で流す「自動槽洗浄」機能を持っていますが、一般的には10秒~20秒ほどの水流し。今回の2モデルも、自動槽洗浄そのものは毎回20秒ほどの流水です。洗剤のカスや汚れが洗濯槽に付いたままだとカビの原因になるため、5分槽洗浄モードは「専用洗剤を使うほどではないけれど、自動槽洗浄よりしっかり洗い流したい」というニーズを満たしてくれます。

【動画】今回の新モデル、洗濯槽洗浄の様子。給水と排水を同時に行いながら、洗濯槽を高速回転させています。内槽から飛び出た水が遠心力で勢いよく外槽にぶつかり、内槽外側までシャワーしていますね
(音声が流れます。ご注意ください)

ハイセンスによると、「洗濯槽のカビは洗剤カスなどの汚れが原因。汚れがない場所ではカビは発生しません」とのこと。「洗濯後に毎回、5分洗浄をしたらカビが発生しない」わけではありませんが、カビを抑制する効果は期待できます。

気になる洗濯性能は汚れたTシャツでチェック

洗濯機で大切なのは、なんといっても洗濯性能。そこで、オイスターソースとしょうゆを付けたTシャツを洗うデモンストレーションです。

ここまでベットリと汚れが付着した場合、一般的な家庭では予洗いすることが多いでしょう。今回は同じように汚れたTシャツを2枚用意し、うち1枚は洗濯前に洗剤原液を指で塗り込んでおきます。もう1枚は何もしません。この状態で基本の「標準」コースで洗濯したところ……、どちらもしっかり汚れが落ちていました。しょうゆ程度の汚れなら、予洗いなしで洗濯してもキレイになりそう。

  • テスト用に用意したTシャツ。片方は丸を、もう片方にはマイナビベアを描いて区別しました。丸を描いたTシャツには、あらかじめ洗剤を塗り込んで汚れ落ちをサポートしています

  • 標準コースで洗濯したあとのシャツ。予洗いしていないTシャツもキレイになっています。油性マジックで描いたマイナビベアも少し薄くなりました

  • こちらは、洗う前に液体洗剤を塗り込んだTシャツ

ハイセンスいわく、高い洗浄力は縦と横の両方向に水の流れを生み出す「立体シャワー水流」と、激しい回転水流を生み出す「激流パルセーター」によるものとのこと。

  • 内槽の側面は、容量10kgモデルがダイヤモンド形状(写真上)、8kgモデルはらせん状(写真下)。各サイズで何度もテストを繰り返し、もっとも汚れ落ちがよかった形状を採用しています。内層の大きさや洗濯時の水流によって、最適な内層側面の形状は変わるんですね

近年は洗濯機が高性能・高機能になり、昔よりも洗濯の手間は軽くなりました。とはいえ毎日の家事は洗濯だけではないので、漠然とでも、できる限り洗濯のストレスを減らしたいと考えている人は多いと思います。

今回の新モデルは「液体洗剤・柔軟剤の自動投入」「スマートフォン連動」によって、洗濯の手間を減らしつつ、5分槽洗いで清潔性に関する心理的なストレスも軽くしてくれます。洗濯機に乾燥機能は必要ないけれど、なるべくラクしたいという人は、選択肢として考えてみてはいかがでしょうか。