製菓・製パン用の材料やレシピを取り扱うECサイトを展開するcottaと、食品素材大手メーカーの不二製油は5月17日、新しいECメディア「cotta tomorrow」のお披露目・試食会を開催。メディア立ち上げの目的や提供サービスの紹介を行いました。
■「cotta tomorrow」は植物由来をメインにさまざまな情報を発信する、新たなECメディア
5月10日にオープンとなった「cotta tomorrow」は、植物由来を中心としたお菓子や料理素材、レシピなどを紹介するECメディア。グルテンフリーやオーガニックなど、ユーザーの多様なニーズに応え製品販売やコンテンツ発信を行うといいます。
製菓・製パン業界No.1知名度のメディアを展開するcottaと、半世紀に渡り植物性食品を研究する不二製油がタッグを組み、"カラダにも地球にもやさしい手づくり"を楽しめるコンテンツを展開する、注目の新サービスです。
■コロナ禍のパンデミックで、ユーザーのニーズに変化の兆し
17日のお披露目会、まず最初に登壇したのは、cotta代表取締役社長の黒須綾希子氏。
同社が運営し、登録会員数180万人を抱えるECメディア「cotta」は、お菓子・パン作りの材料や道具を扱う個人向けサービス。オンラインに特化した販売形態で、SNSを活用しながら利用者数を伸ばし、お菓子・パン作りが好きな人なら知らない人はいないと言っても過言ではありません。
業界No.1の知名度を誇り、業界で存在感が光る同社が本取り組みに至ったきっかけは、コロナ禍における"利用者のニーズの変化"にあったと黒須氏は話します。
「コロナ前は彩り豊かで華やかな"映える"スイーツの人気が高く、我々はそういったスイーツを作るお手伝いをしてきました。しかしコロナ流行の一年目、利用者のインスタ疲れをなんとなく感じました」。パンデミックで明日どうなるかわからないという混乱した状況の中、人々が食に求めるものが"健康安全"に変化し、「それまで提案していた『かわいい・映えるお菓子』に対してユーザーの反応がしらけていく感覚を体感した」と黒須氏は語りました。
新たな時代の到来を感じた同社は、すぐさまユーザーへのヒアリング調査を行った。そこで見えてきたのは「グルテンを控えたい」「たんぱく質を含んだお菓子を子どもに食べさせたい」といった健康を意識する多くの声と、そういった健康志向のユーザーが活用している「植物性のバターや生クリーム」製品でした。それらプラントベース製品を手掛けていたのが、まさに今回タッグを組むことになった不二製油であり、最初の出会いだったそうです。
■健康志向の高まりに対し、プラントベースフードの情報が圧倒的に不足している
黒須氏は、不二製油が手掛けた"ソイレブール(豆乳クリームバター)"や"コクリームホイップくれーる(豆乳由来のホイップクリーム)"等の商品に感銘を受けると同時に、市場の現況に「課題を感じた」と続けます。ユーザーの健康志向の上昇に対し、プラントベースフード商品の購入場所が限られている現状、仮に商品を入手できたとしても「調理方法」の情報発信量・認知度が低く、「プラントベースフードをおいしく調理する」ことにハードルがある点です。
「バターの代わり、生クリームの代わりとしてユーザーがそのまま代替しても失敗してしまうんです。植物性食品に合うレシピで調理をしないと、本当においしい料理が作れないということに気が付きました」(黒須氏)。
商品の真の価値をユーザーに届けるには「商品を情報(レシピ)と共に拡散をしていく必要がある」と考え、cottaの持つ発信力を最大限活用することで「不二製油製品の商品力を広げる役割を担いたい」という黒須氏からの申し出により、2022年5月に業務提携に至ったのだといいます。
■異業種との"共創"で、プラントベースフードを広げていきたい
続いて登壇したのは、不二製油グループ本社 執行役員 PBF事業本部長の鈴木清仁氏。不二製油は1950年の創業以来、植物性油脂、業務用チョコレート、乳化・発酵素材、大豆加工素材の4事業を主要事業として、BtoBビジネスを展開してきました。
cotta tomorrowで販売を行うプラントベースフード事業への取り組みについて、同社のビジョン"植物性食品素材でおいしさと健康を追求し、サステナブルな食の未来を共創します"を引用しながら解説しました。
「これまで手掛けてきた『植物性食品』にこだわり社会貢献を果たしていくことが、我が社の使命であると感じる一方、一社で取り組めることは限られています。多様な業種の方々と共に『共創』することで、スピードを上げ多様な取り組みを実現することができる、その具体的な取り組みのひとつが『プラントベースフード』です」。
プラントベースフード市場の今後の成長を加速するためには「プラントベースフードを知らない人にも届けていくことが重要」とし、「プラントベースフードメニューのおいしさやメニューの認知拡大、手軽に購入できる場所の創出がキーワードになる」と、鈴木氏は語ります。
cotta tomorrowの立ち上げによりそれらを実現するとともに、「cotta tomorrowを通じた商品購入データを活用し、新たな商品開発・商品提案につなげていくことも可能になるというシナジーがあると考えています」と期待をにじませました。
■cotta tomorrowでできる4つのこと
ではcotta tomorrowは、具体的に何ができるECメディアなのか? ここではポイントにまとめて紹介します。
【1】プラントベースフード商品を購入できる
cotta tomorrowのページに入り、右側に表示される「お買いもの」内の「プラントベース」から、商品を購入することができます。商品ページに進むと、より詳細の説明だけでなくその商品を使ったレシピも表示されるので、使い方のイメージがつきやすくなっています。
【2】プラントベースフードスイーツのレシピを見られる
cotta tomorrowページ右側の「レシピ」内の「cotta tomorrow レシピ」から、レシピの閲覧が可能です。レシピは今後も料理家やパートナーシップを結んでいるインフルエンサーにより、毎日追加される予定だそうです。
【3】プラントベースフードスイーツが購入できる
発表会の中で、黒須氏が「cottaと異なる点」として挙げていたのがこちらの項目。完成品の美味しさを知った上で興味を持ってもらいたいという思いのもと、お菓子商品の提供に踏み切ったといいます。
現状販売されているのは、新食感のチョコサンドクッキーとして「クルスティアン ショコラ ソイ(5枚入り / 980円)。」代々木上原に店舗を構える 和泉光一シェフが手掛けた一品で、在庫限りの数量限定発売なので気になる方は早めのチェックをおすすめします。
【4】記事コンテンツが読める
ページ内には、さまざまな読みもの記事も投稿されています。プラントベースをテーマとした黒須氏とシェフの対談記事や、サイト内のアイテムを活用したレシピを集めた記事など、プラントベースフード初心者も楽しめるコンテンツとなっています。
■プラントベースフードは代替品ではなく、"おいしい料理"のひとつ!
イベント後半は、参加者に向けプラントベースフードを用いた料理の試食が実施されました。今回cotta tomorrowで販売されるクッキーのほか、オペラ風ケーキ、ソイラザニア、ミネストローネ、あんバターサンド、シフォンケーキをいただき、そのおいしさにただただ感動しました……!
「プラントベースフード」と聞くと、健康やアレルギー対策を目的とする"代替品"というイメージを持つ方もいるかもしれませんが、それは大きな間違い!
商品に合うレシピで調理することで「おいしい料理」の選択肢のひとつとなり、さらにカラダや地球にもやさしいというプラスアルファがつくイメージが近いと感じました。
どの料理もコクやまろやかさがありながら、どこかすっきりとした「くどさ」のない味わいが特徴的です。動物性素材と異なり、食後の体への負担の軽さも感じられました。
百聞は一見に如かずではないですが、まだ食べたことがないという方はぜひ一度食べてみてほしいです……!
レシピや記事コンテンツ、販売商品など今後さらにサービスを充実させていくというcotta tomorrow。既にプラントベースフードを食べている方にはもちろん、初心者でこれからチャレンジしてみたいという方におすすめのメディアです。ECサイトの立ち上げに合わせ、Instagramアカウントも新たに 開設したそうなので気になる方はぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。