BSフジ『サンデードキュメンタリー』(毎週日曜12:00~)では、『ザ・ノンフィクション特別編「あの日 妹を殺されて」』を、21日に放送する。
罪を犯し、刑期を終えた「元受刑者」の身元を引き受け、仕事と住居を提供し、親代わりになっている、大阪で社長を務める草刈健太郎さん(50)。出所しても再犯を重ねる者が減らない今、「金」と「寝る場所」がないから犯罪に走る、要は「仕事」と「住居」があれば、人は罪を犯しにくくなるとその男は信じ、再犯防止活動に精力的に取り組んでいるのだ。
罪を犯した人間の採用面接を行なうために、月に1回は訪れる全国の刑務所・少年院は50カ所を越すという。仕事と住居を与えたからといって、全員が更生できるわけではない。裏切られても決してあきらめず、積極的に元犯罪者の支援に取り組むのには深いわけがあった。
実は17年前、アメリカ・ロサンゼルスで最愛の妹を殺された過去がある。アメリカ人の夫に刃物で繰り返し刺され、殺された妹。犯罪被害者の遺族となった草刈さんがなぜ、元受刑者の更生に懸命になるのか。「加害者を減らせば、妹のような被害者も少なくなる。この取り組みは妹にやれと言われている気がする」と語る草刈さんは、罪を犯した人間に、「仕事」と「住む家」を与え、犯罪抑止に尽力すると妹に誓ったのだ。
今では、更生の道を順調に歩み、草刈さんの活動に共感、賛同し、活動を共にする若者が出てくるまでになった。しかし、現実は厳しく、草刈さんの元を巣立っていった若者が、再び草刈さんに助けを求めてくることもしばしば。中には再犯に走ってしまう者もいる。
2020年10月。草刈さんが向かったのは、兵庫県にある加古川刑務所。この日、出所してくる元・受刑者を自らの会社で雇用するために。新たに迎え入れたのは、刑務所で面接をし、草刈さんの元で働くことを熱望するショウタさん(仮名・25)だ。薬物所持や窃盗などで繰り返し逮捕され、3年後に出所。逮捕をきっかけに妻と子どもたちとも離ればなれになった。
そんな彼の指導役は“寮長”のコウスケさん(47)。アメリカの名門大学を卒業し、大手総合商社で働いていた彼も、違法薬物の使用で全てを失い、草刈さんに救われた一人だ。しかし、働き始めて3カ月、「社長を裏切ることは絶対にしない」と誓ったショウタさんが寮から消えてしまう…。
犯罪を心から憎み、犯罪を起こさせない、再犯者を減らしたい……罪を憎む男が選んだ道、どんなに裏切られても諦めず、元受刑者の更生に取り組む彼らの奮闘の日々を見つめていく。