「下手の横好き」という言葉は、日常生活やビジネスシーンで目にしたり耳にしたりすることの多い言葉です。しかし、ぼんやりと理解はできても、正しい意味を知らない人も多いのではないでしょうか。

この記事では「下手の横好き」の意味・由来や使い方・例文、さらには類義語・対義語などの応用までご紹介します。この機会に意味を覚えて、正しく使えるようにしましょう。

「下手の横好き」の意味・由来とは

  • 「下手の横好き」の意味・由来とは

    下手の横好きの意味をご紹介します。

ここからは、「下手の横好き」の意味と由来について解説します。由来を押さえれば、意味も忘れにくくなります。意味だけでなく由来についても理解して、適切な文脈で使えるようにしましょう。

「下手の横好き」の意味とは

「下手の横好き」は、あることが苦手・下手にも関わらずそれが好きなこと、それに熱心なことを指す言葉です。「下手の横好き」と書いて「へたのよこずき」と読みます。

好きなことや熱心に打ち込んでいることは、その人の特技であることが多いでしょう。しかし「下手の横好き」は、ある物事を好きだが特技ではないことを表します。また、「下手」という言葉にはネガティブなイメージがあるため、他の人に対して使うことはあまりありません。

自分自身の趣味を紹介したり、あるいは自分の身内について話したりするときに、謙遜の意味を込めて使う言葉です。

「下手の横好き」の由来とは

「下手の横好き」は何かの物事、事柄について、それが下手なのに好きだという意味です。 「下手」は言葉通り、苦手・下手という意味があり「横好き」の「横」には、「道理に外れている」「正しくない」などのニュアンスが含まれています。

これは、上手であれば好きに、下手であれば嫌いになるという道理から外れているため、「道理に外れている」という意味の「横」がついたと考えられます。話が本来の話題から逸れることを「横道に逸れる」といいますが、この際に使われる「横」と同じイメージです。

「下手の横好き」の使い方・例文

  • 「下手の横好き」の使い方・例文

    下手の横好きの使い方・例文をご紹介します。

この章では「下手の横好き」の使い方と例文をご紹介します。

「下手の横好き」は、自分の好きな物事に熱中している場合、その話題についてへりくだったり、謙遜して話したりするときに使用します。具体的な状況としては、褒められた際や、自分の趣味を話すときに使用することが多いでしょう。

①自分の腕前を謙遜するときの例文

自分の腕前について謙遜する場合に、「下手の横好き」が使えます。

  • 「私はゴルフが趣味なのですが、下手の横好きで歴だけは長いんです」

身内以外の人や目上の人がいるスポーツの大会において、腕前を褒められたときに使用することがおすすめです。

②知人について話すときの例文

知人について話すときにも「下手の横好き」は使用可能です。

  • 「兄はダンスを長年続けているが、下手の横好きで上手くはならない」

ただし、相手が気心の知れた身内や知人でない場合、不快にさせる恐れがあるでしょう。 相手に直接「下手の横好きだね」というのは失礼です。

「下手の横好き」の類義語

  • 「下手の横好き」の類義語

    下手の横好きの類義語をご紹介します。

ここからは「下手の横好き」の類義語・言い換え表現を3つご紹介します。「下手の横好き」とともに類義語も覚えれば、語彙の幅が広がります。ぜひご参考にお役立てください。

下手の物好き

「下手の横好き」の類義語の1つに「下手の物好き」があります。 「下手の物好き」とは、「下手の横好き」と同様、ある物事について、下手にも関わらず非常に好きなことを表現する言葉です。

「物好き」とは、変わったものを好むことを意味します。

下手の悪好き

「下手の横好き」の類義語として「下手の悪好き」があります。意味は「下手の横好き」とほとんど同じで、下手・苦手に関わらずその物事が好きなことを表す表現です。

「悪」というネガティブな印象の言葉を用いることで、「下手なのにお金を使っている」「下手なのに続けている」といった悪い意味を含んでいます。

旦那芸

「下手の横好き」の類義語として「旦那芸」も挙げられます。旦那芸とは、商家がなぐさみとしてする趣味のことです。現代でいえば、金持ちがする趣味のことを皮肉めいていう言葉にあたります。

「旦那」とは、現代において一般的に使われる「夫」の意味に加えて、金持ちの男性や男主人という意味もあります。旦那芸の「旦那」とはお金持ちという意味を含んでおり皮肉のニュアンスを持つ言葉であるため「下手の横好き」と同様、他の人に使うことは避けた方がよいでしょう。

「下手の横好き」の対義語

  • 「下手の横好き」の対義語

    下手の横好きの対義語をご紹介します。

ここからは「下手の横好き」の対義語を3つご紹介します。「下手の横好き」は謙遜する場合に使われますが、対義語は人を褒める際にも使える言葉ばかりです。

反対の意味を持つ言葉も理解すれば、表現方法は一層広がります。「下手の横好き」の意味と間違えないように、ぜひご参考にお役立てください。

好きこそ物の上手なれ

「下手の横好き」の対義語の1つに、「好きこそ物の上手なれ」という言葉があります。「好きこそ物の上手なれ」とは、「上達するためにはその物事を好きな気持ちが大切」あるいは「好きだと熱中するため上達が早い」という意味の言葉です。

「下手なのに好き」という意味の「下手の横好き」とは反対に、「好きだから上手になる」という、道理にかなった意味を持ちます。「彼女は、趣味で描いている絵の実力がどんどん上がっている。まさに、好きこそ物の上手なれだ」のように使用します。

下手が却って上手

「下手が却って上手」も、「下手の横好き」の対義語として挙げられます。 「下手が却って上手」とは、「下手な人は念入りに仕事をするため、上手な人よりも却ってよい仕事をする」という意味の言葉です。

「下手が却って上手」は「下手な人の方がむしろ上手」という意味で、ネガティブな意味もポジティブな意味も表現します。

「あの人は仕事がとてもできるというわけではないが、下手が却って上手で、好感が持てる」「私は器用じゃなくて、下手が却って上手なだけだよ」のように使用します。

道は好む所によって安し

「道は好む所によって安し」も「下手の横好き」の対義語として挙げられます。 「道は好む所によって安し」は「どのようなものでも好きなものを熱心にやると上達する」という意味の言葉です。

「熱心だけど下手」という意味の「下手の横好き」とは異なり、「熱心であればいずれ上達する」というポジティブなニュアンスを持ちます。「今は上手くいかなくても、『道は好む所によって安し』というし、大丈夫だよ」のように使用します。

「下手の横好き」を理解して正しく使おう

  • 「下手の横好き」を理解して正しく使おう

    下手の横好きについてご紹介しました。

「下手の横好き」は基本的に自分や身内の趣味について、へりくだって伝えるための言葉です。「下手の物好き」や「下手の悪好き」は似た意味を持つ類義語で、ニュアンスや使い方は変わりません。

「下手」という言葉はネガティブなイメージを持ち合わせているため、他の人に使うと悪口として受け取られる可能性があります。 他者を批判する使い方は人を不快にする恐れがあるため、相手や状況に応じて使い分けましょう。