ヒョンデが電気自動車(EV)「IONIQ5」(アイオニック5)のアップデートを実施した。ユーザーの意見や要望を受けてのアップデートとのことだが内容は? このタイミングで発売する100台限定モデルは何が特別? ヒョンデ日本法人の発表会を取材してきた。
「IONIQ5」発売から1年経過、どのくらい売れた?
IONIQ5は韓国のヒョンデ(Hyundai Motor Company)が2022年5月に日本で発売したSUVタイプの電気自動車(EV)。グレードはバッテリー容量58kWhの「IONIQ5」と同72.6kWhの「IONIQ5 Voyage」および「IONIQ5 Lounge」の計3種類。もともと4輪駆動(AWD)モデルはLoungeでしか選べなかったが、今回のアップデートでVoyageにもAWDが追加となった。価格は479万円~599万円。
IONIQ5には日本導入時に乗ってみたが、EVならではの静かで速くてスムーズな走りはもちろん、充実の装備や先進的な機能にも大いに驚いた記憶がある。例えば交差点などで曲がりたい方向にウインカーを出すと、メーターパネルに曲がる方向の車体後方を捉えた映像が表示されるのだが、ここは自転車などがいると危ない場所なので、とても気の利いた機能だなと思った次第だ。
今回のアップデートでは、IONIQ5に新たなボディカラー「アトラスホワイトマット」と2つの新機能が追加となった。充電前にあらかじめバッテリーの温度を高める「バッテリー・プリコンディショニング機能」と初期充電出力を一時的に高める「ブースト・チャージングプログラム」だ。これらはプログラムの変更で、ハードウェアが追加となるようなアップデートではない。ソフトウェアを更新すれば既存モデルでもアップデートできるかどうかについては検証中とのこと。
バッテリー・プリコンディショニング機能は寒冷時に急速充電施設を目的地に設定すると、到着前にバッテリー温度を高め、急速充電施設での充電効率を改善する機能。ブースト・チャージングプログラムは8分間、通常よりも高い電流で充電を受けられるようにするもので、充電器の性能(出力)にもよるが、こちらも充電効率を高める機能となる。
100台限定モデル「IONIQ5 Lounge AWD Limited Edition」はアップデートを経た「Lounge」グレードがベース。専用のボディカラー「ルーシッドブルーパール」が20台、「アトラスホワイトマット」が80台の限定となる。インテリアカラーは限定車専用色の「ダークティール」(グリーンとライトグレーの組み合わせ)を採用している。
限定車の独自装備は最新のデジタル映像技術を使った「デジタルサイドミラー」だ。ドアミラーの代わりにカメラを装備しており、ドライバーは車内のモニター(有機ELディスプレイ)で車両の左右後方を確認する。
デジタルサイドミラーは従来型ドアミラーに比べ視野角度が約11度広く、より広い範囲を確認できるとのこと。カメラ自体がドアミラーに比べると小さいので死角も少なくなる。後退時にシフトを「R」に入れるとカメラは自動的にズームアウトし、より広い範囲が確認できるようになるそうだ。
Hyundai Mobility Japanの趙源祥(チョ・ウォンサン)社長によると、日本発売から1年でIONIQ5のオーナーは700人に達したとのこと。北は北海道、南は沖縄まで販売実績があるそうだが、特に売れているのは関東地方だという。購入者で多いのは「アーリーアダプター」と「40~50代の実用性を追求するユーザー(家族あり)」だそうだ。
ヒョンデではIONIQ5購入者をサポートする新たな施策「ヒョンデ・アシュアランス・プログラム」(Hyundai Assurance Program)を発表。最初の3年間を対象に2度の法定点検、車検の基本料金、車検時のバッテリークーラント(バッテリーの温度管理に使う液体)交換、外観のダメージケアを無償で提供する手厚い内容だ。外観のケアは2023年4月1日以降にオンラインで注文を受けた新車への無償付帯となるが、それ以外のサービスについては既存のオーナー(2023年3月31日以前に購入した顧客)にも無償で適用するという。