「重ね重ねになりますが」というフレーズを見聞きしたことはあっても、正しい意味や使い方を理解していない人も多いでしょう。
本記事では「重ね重ねになりますが」の詳しい意味や使い方、正しい例文、間違った例文を紹介します。類語や英語表現、使用時の注意点もまとめました。
「重ね重ねになりますが」の意味とは
「重ね重ね(かさねがさね)」とは、同じようなことが繰り返される様子を表す言葉です。また、自分の思いの深さを相手に伝えようとする様子、という意味もあります。
「重ね」を二回続けていることから、もう一度、再びなどを表す「重ねて」の意味をさらに強調しています。
「重ね重ねになりますが」には、既に伝えたお礼やお詫び、注意などについて、自分の心情の深さを相手に丁寧に伝える意味合いがあります。
「重ね重ねになりますが」の使い方
ここからは「重ね重ねになりますが」をどのようなときに、どう使うのかを詳しく紹介します。細かいニュアンスを理解し、正しい使い方について確認しましょう。
お礼を強調したいとき
「重ね重ねになりますが」は、自分の気持ちを強調したいときに使えるため、心からの感謝の気持ちを伝えたいときに有効な言葉です。
物事を繰り返す意味を持つ言葉であるため、使うタイミングは、会話の最後がおすすめです。例えば最初にお礼を伝え、最後の言葉として「重ね重ねになりますが、本当にありがとうございました」などと使用するといいでしょう。
この言葉を使うことで、強い感謝の気持ちを持っていることを表現できます。
お詫びの気持ちを強調したいとき
感謝の場面だけではなく、謝罪や反省の気持ちを強く表したいときにも使えます。
まずお詫びの言葉を述べた上で、お詫びをするに至った事象の原因と今後の対策を伝え、最後に「重ね重ねになりますが」を使うといいでしょう。
例えば「この度は私の入力ミスにより、お手数をお掛けしてしまい申し訳ございませんでした。ミスが起こったのは、◯◯が原因と考えられます。今後同じ過ちを繰り返さないよう◯◯いたします。重ね重ねになりますが、誠に申し訳ございませんでした。」といった流れです。
感謝を伝えるときと同様で、謝罪の気持ちが強いことを表現できます。
お願いをするとき
相手に物事をお願いしたい場合も「重ね重ねになりますが」はおすすめです。相手に依頼内容を思い出してもらい、催促するリマインドメールなどに使用できます。
ただし、丁寧な印象の言葉ではあるものの、使い過ぎてしまうとしつこい印象を与えかねませんので注意しましょう。
「重ね重ねになりますが」を使った正しい例文
ここからは、「重ね重ねになりますが」を正しく用いた例文をご紹介します。
「お力添えいただきありがとうございます。重ね重ねになりますが、御礼申し上げます」
「重ね重ねになりますが」は、自分の気持ちを強調し、相手へ丁寧に伝えたいときに使える言葉です。上記の例文のように使用することで感謝の気持ちを強調でき、また、丁寧な表現となります。
使い方をマスターすれば、ビジネスシーンで重宝するでしょう。
「この度はご迷惑をお掛けいたしました。重ね重ねになりますが、お詫び申し上げます」
謝罪する場面でも「重ね重ねになりますが」は有効です。反省の念を強調できるため、ビジネスシーンや目上の人に対して謝罪が必要なときにもおすすめです。
「重ね重ねになりますが、こちらの用紙は紛失されませんよう、よろしくお願いします」
「重ね重ねになりますが」は、相手に丁寧に依頼したいときにも使えます。
既にお願いしたことに対して、リマインドや念押しの意味で用いることができます。
「重ね重ねになりますが」を使った間違った例文
相手に不快な思いをさせることを避けたり、自分の意図を正しく伝えたりできるように、「重ね重ねになりますが」の誤用も確認しておきましょう。
「この度はご発注いただき、重ね重ねになりますがありがとうございます」
発注が確定し、その直後にこの言葉を使用しているとすれば間違いです。なぜなら、この発注に対するお礼の言葉は、これが初めてだからです。
「重ね重ね」を用いることで、「とても」「すごく」といった意味を表現することはできません。
この場合は、「この度はご発注いただき、誠にありがとうございます」などが適切です。
「重ね重ねになりますがご結婚おめでとうございます」
慶事や弔事の際には、忌み言葉といって、別れを連想させる言葉や、重ね言葉は避けるのがマナーといわれています。
重ね言葉は、再婚や、不幸が重なることを連想させるため使用を控えることになっていて、「重ね重ね」は、この重ね言葉に該当するとされているのです。
最近では忌み言葉をあまり気にしない人もいますが、念のため使用を控えた方が無難でしょう。
もし結婚式の場で幾度もお祝いの気持ちを伝えたいのであれば、「本当にご結婚おめでとうございます」「ご結婚誠におめでとうございます」などと伝えるといいでしょう。
「重ね重ねになりますが」の類語
「重ね重ねになりますが」と同じように、繰り返しの意味を持つ言葉を紹介します。
何度も恐縮ですが・度々恐縮ですが
「何度も」は、多くの回数を繰り返すという意味を表します。「恐縮ですが」を加えることで、相手に何かを依頼する際に、気遣いを表すことができます。
「度々」も、何度も繰り返し行われる様子を表す言葉です。
下記のような形で使用します。
- 何度も恐縮ですが、こちらの用紙は紛失されませんよう、よろしくお願いします。
- 度々恐縮ですが、こちらの用紙は紛失されませんよう、よろしくお願いします。
幾重にも
「幾重にも」は「いくえにも」と読み「重ね重ねになりますが」と同じように、物事が繰り返される様子や、気持ちを強めて言う意味を持ちます。
例えば「幾重にもお礼申し上げます」「幾重にもお詫びいたします」などのように使います。
重ねて
「重ねて」は、「もう一度、再び」という意味を持ちます。公式な発言や文書に使われることも多く、硬い印象の表現です。
例えば「重ねてお礼申し上げます」「重ねてのお願いで恐縮ですが~」のように使います。
「重ね重ねになりますが」を使うときの注意点
「重ね重ねになりますが」は、感情を強調したり、丁寧な表現ができたりと便利な言葉ですが、使う上でいくつか注意した方がいい点があります。
多用しない
「重ね重ねになりますが」は、多用しないようにしましょう。
「重ね重ね」自体に何度も繰り返すという意味が含まれているため、多用することでしつこい印象や、恩着せがましい印象を与えてしまい、うっとうしく感じられてしまう恐れがあります。
また、多用することで言葉の重みが無くなってしまいます。
感謝や謝罪の気持ちを強調したいからといって、多用するとかえって気持ちが伝わらないでしょう。
初めて伝えるタイミングは使わない
「重ね重ねになりますが」は、初めて伝えるタイミングでは使わないということも、覚えておきましょう。
一度伝えた内容について再度述べるときに使う言葉なので、気持ちを初めて伝えるときや、文章の冒頭で使わないことがルールです。
冠婚葬祭時は使わない
間違った例文でも触れましたが、「重ね重ね」は重ね言葉にあたるため、慶事や弔事の際には使用を控えた方がいいでしょう。
重ね言葉は、結婚式などの際は別れて再婚することにつながるため、葬式などの際は不幸が重なることにつながるため、一般的に避けられています。
メールでは最後に使う
メールの文面で使用する際は、「重ね重ねになりますが」を最後の締めとして使うといいでしょう。繰り返しの意味を持つ表現であるため、冒頭に書くと不自然な印象を与える可能性があります。
口頭で使うときと同じく、話のしめくくりとして、既に触れた相手へ強く伝えたい部分に対して、再度述べる形で使用しましょう。
「重ね重ねになりますが」の英語表現
「重ね重ねになりますが」の英語表現は「again(再び、重ねて)」です。日本語と同じように、会話や文章の最後にしめくくりの言葉として使うことが多いです。
Thank you again.
(重ね重ねになりますが、ありがとうございました)Again, I'd like to apologize to you.
(重ね重ねになりますが、お詫び申し上げます)
また、自分の気持ちを強調する表現方法としては「very(非常に)」「truly(心から)」などを使う場合もあります。
Thank you very much.
(本当にありがとうございます)I am truly sorry.
(本当に申し訳ございません)
「重ね重ねになりますが」という言葉について、誤用を避け上手に使おう
丁寧な表現でありながら、自分の気持ちを強調できる「重ね重ねになりますが」は、ビジネスシーンや、フォーマルな場面で重宝される便利な言葉です。
一方で間違えた使い方をされることも多い表現です。正しく意味を理解して、上手に使いましょう。