SDGsに関するプロジェクトを推進する「電通Team SDGs」は、今年2月、全国10~70代の男女計1,400人を対象に、第6回「SDGsに関する生活者調査」を実施。集計結果を5月12日に発表しました。
この調査はSDGsの認知・理解や興味・関心を調べるもので、6年前から毎年行われています。
2018年の第1回調査ではわずか14.8%だったSDGsの認知率は91.6%と、今回初めて9割を超え、すっかり浸透したといえるでしょう。
4割以上の人が名称だけではなく内容についても理解しており、なかでも10代は65.3%が「内容まで含めて知っている」と回答。高いスコアになっています。
SDGsと聞いて連想するワードも以前は「環境保護・保全」一辺倒でしたが、リサイクルやフードロス、脱プラスチックなど「生産・消費形態」に関するものや、貧困や飢餓、ジェンダー平等、省エネなど、幅広い分野に広がってきていることが分かりました。
SDGsのイメージは良い? 悪い?
SDGsのイメージについて尋ねると、ポジティブな印象持つ人が87.3%。多くの人がSDGsを好意的に受け止めているのが分かります。
その理由としては、半数が「大事なことだと思ったから」と回答。次いで「世界が良くなりそうな気がしたから」「みんなが協力し合って取り組める感じがするから」という答えが多くなりました。
17の目標のうち最も共感の高いのは?
国連が掲げたSDGs(Sustainable Development Goals)では、持続可能な社会をつくるため17の目標が示されていますが、今回の調査で最も共感が高かったのは目標14「海の豊かさを守ろう」でした。
電通Team SDGsのメンバーで、SDGsコンサルタントの小幡道子さんは「日本は四方を海に囲まれていて、海の環境保全についての報道も多く、ゴミ拾いなどの話題もSNSで拡散しやすいからではないか」と分析します。
このほか共感の高い項目には、目標1「貧困を守ろう」、目標2「飢餓をゼロに」、目標3「すべての人に健康と福祉を」、目標6「安全な水とトイレを世界中に」、目標7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」、目標11「住み続けられるまちづくりを」、目標13「気候変動に具体的な対策を」が挙がりました。
また、今回の調査では、サスティナビリティに関連する15のテーマについてもリサーチ。「食品ロス」「ジェンダー平等」「再生可能エネルギー」の認知度が高く、いずれも9割を超えていることが分かりました。
一方で、ダイバーシティ(多様性)・エクイティ(公平性)・インクルージョン(包摂性)を差す「DEI」をはじめ、「デジタルインクルージョン」、「サーキュラーエコノミー」などの認知度はまだ低いといえます。
解決に向けて、取り組みの加速が必要
日本の企業または国や行政に推進してほしいテーマとしては「再生可能エネルギー」についての期待が高く、企業に対しては「食品ロス」、国や行政に関しては「子どもに関する社会課題」の推進を望んでいるという結果になりました。
国連グローバル・コミュニケーション局アウトリーチ部長のマーヘル・ナセル氏は今回の調査結果に対し
「日本の国の内外において、SDGsへの関与が本質と信ぴょう性を伴うものになることを確かにすることが重要になるでしょう」
とコメントを寄せ、表面的な理解にとどまることなく、本格的な行動変容を求めています。
というのも、SDGsの目標達成は2030年が期限。新型コロナウイルスのパンデミックやロシアによるウクライナ侵攻などもあり、実行が軌道に乗っているとはいえない状況だからです。
「食品を食べ残さない」「詰め替えできる商品を積極的に利用する」など、普段から意識して行動している人は少なくないようですが、2030年までに17の目標達成するには、個人での実践はもちろん、国や行政、企業への働きかけが必要かもしれません。