まず、開発されたキャパシタの分極特性評価が行われた。すると、Ca2Nb3O10、Ca2NaNb4O13、Ca2Na3Nb6O19のナノシートは、分極特性が線形の応答を示し、理想的な常誘電体の挙動が示されたとする。また、どのナノシートも、従来の誘電体・強誘電体薄膜に対して2倍程度の高耐電圧化が獲得されており、400MV/m程度の高電界印加が可能とした。一方で、Ca2Na2Nb5O16ナノシートは、強誘電体特有のヒステリシス特性が示されたという。
続いて、エネルギー密度の評価が行われた。すると、m数(3~6)による分極増加が反映され、4種類で174、200、215、274とエネルギー密度の増大が確認された。ナノシートで確認されたエネルギー密度(174J/cm3~272J/cm3)は、従来の高誘電体、強誘電体薄膜のエネルギー密度に対して2倍~10倍であり、誘電体キャパシタとしては世界最高性能とした。
さらに今回の誘電体キャパシタと、積層セラミックスコンデンサなどの現行の各種蓄電デバイスのエネルギー密度および出力密度の比較が行われた。今回の誘電体キャパシタは同等の高出力密度を保持しつつ、1桁~2桁高いエネルギー密度を実現できることが確認されたという。なお今回の誘電体キャパシタでは、サイクル安定性や300℃までの高温での安定性も確認された。
今回の成果に対し研究チームは、誘電体キャパシタの開発に向けて新たな設計指針を与えると同時に、ナノシートが持つ高エネルギー密度、高出力密度、短い充電時間、長寿命・高温安定性という特徴を利用した全固体蓄電デバイスへの応用展開が期待されるとしたている。