ゼンハイザーは、一体型で7.1.4chサラウンドサウンドを実現する「AMBEO Soundbar|Plus」(アンビオサウンドバー|プラス)を国内導入決定。7月中旬から予約受付を開始し、同月下旬に発売する。価格はオープンプライスで、店頭価格は24万2,000円前後を見込む。

  • AMBEO Soundbar|Plus

また、AMBEO Soundbarシリーズとワイヤレス接続できる別体のサブウーファー「AMBEO Sub」(アンビオサブ)も7月中旬から予約受付開始、同月下旬に発売決定。価格はオープンプライスで、店頭価格は12万1,000円前後を見込む。

  • AMBEO Sub

どちらもドイツ・ベルリンで2022年に開催された「IFA 2022」にあわせて初披露し、同年9月から海外市場で販売しているサウンドバー・サブウーファーの新機種。今回、国内市場への導入が正式に決まったかたちだ。

  • AMBEO Soundbar|PlusとAMBEO Subを組み合わせたところ

AMBEO Soundbar|Plus

  • AMBEO Soundbar|Plusは、7.1.4chサラウンドシステムを一体型のボディに詰め込んでいる

一体型のボディに7.1.4chサラウンドシステム(7.1chサラウンドをベースに、天井に4chを設置した環境)を搭載した、世界初のサウンドバー。3Dサウンド・イマーシブオーディオにおける、ゼンハイザーの立体音響プロジェクト「AMBEO」の名を冠している。

2021年発売の「AMBEO Soundbar」(実売約35万7,500円、5.1.4ch対応)は、本体の幅が55型テレビ並みの126.5cmあり、奥行き17.1cm、高さ13.5cm、重さ約18.5kgと“重量級”のサイズだったが、新機種のAMBEO Soundbar|Plusは48型並みの幅約105cmで、奥行き12cm、高さ7.8cm、重さ約6.3kgで前機種よりも“コンパクト化”し、設置性が向上したのが大きなポイントだ。

ゼンハイザーと、欧州最大の研究機関であるフラウンホーファーが共同開発した3Dサウンド技術を搭載。ウーファーや複数台のスピーカーを用意することなく、サウンドバーのみで立体音響を再現可能だ。

精度を高めたルームキャリブレーションによって室内の音響特性を計測して、壁までの距離や壁の質、配置されている家具が音を反射させるものなのか、カーテンなどの音を吸収するものなのかを認識し、その部屋に合わせた音響効果に最適化する。このキャリブレーションによって、1本のサウンドバーのみで、迫力ある3Dサウンドを実現する。

  • AMBEO Soundbar|Plus

  • 前機種の「AMBEO Soundbar」(2021年発売)。Plusの登場にあわせて、「AMBEO Soundbar|Max」に製品名を改称した

オブジェクトオーディオのDolby AtmosやDTS:Xに対応するほか、MPEG-Hのイマーシブサウンドもサポート。MPEG-H 3D Audioに準拠している、ソニーの立体音響技術を活用した音楽体験「360 Reality Audio」(360RA)のコンテンツも楽しめる。前機種からの細かな進化ポイントとして、新4K/8K衛星放送の最大5.1chまでのMPEG-4 AACも新たにサポートした。

  • Dolby Atmosコンテンツを再生していると、対応するLEDインジケーターが光る。DTS:X、MPEG-Hも、それぞれ対応するコンテンツの再生時に文字が発光する

本体に9基のスピーカーを内蔵しており、いずれもゼンハイザーブランドのコンシューマー製品を取り扱うSonova Consumer Hearing自社開発のドライバーを採用。

ユニット構成は、「37Hzまでの低域を再現する」というパワフルな4インチ ロングスローウーファーが2基。アルミコーン仕様のハイエンドフルレンジドライバーは全部で7基あり、フロントに3基(うち1基はセリフが聞き取りやすいようにセンターに配置)、サイドに2基、天井方向に2基装備する。これらを9chの出力を持つ400WのクラスDアンプで駆動する。

  • 1台のサウンドバーに、9基のスピーカーを内蔵

  • 前面

一般的なサウンドバーでは、高域用にツイーターを搭載することが多い。AMBEO Soundbar|Plusでは、正確な高域を再現することができるように設計しており、フルレンジドライバーで通常のツイーター同等の高域再現性を実現するとしている。

またユニークなポイントとして、ウーファーを上方向に配置。これによって本体の高さをコンパクト化しつつ、低域の再現性を両立した。さらに隣に配置したトップフルレンジドライバーと合わせて天井方向への音響効果も強化。上面はフラットではなく、3度の角度を付けて仕上げ、高さ方向への音響効果を向上させたとする。

  • 上方向にウーファーとフルレンジをそれぞれ配置

  • 3度の角度を付けて仕上げた上面デザイン

各ドライバーを支える400Wのアンプはデジタル駆動で、それぞれ独立した出力に対応。また、一般的なサウンドバーはコスト面なども含めて複数のドライバーをひとつのチャンバーに配置することがあるが、AMBEO Soundbar|Plusは没入サウンドの質を高めるために、各ユニットをそれぞれのチャンバーに配置する設計を採用。「ビームフォーミングテクノロジーのデジタルアンプシステムによって、各空間に合わせて各ドライバーが高いパフォーマンスを発揮し、最高の3Dサウンドを創出する」という。

  • 各ユニットをそれぞれのチャンバーに配置

  • AMBEOのサラウンド効果がオンになっていると、前面のAMBEOロゴLEDが光る

なお、前出のルームキャリブレーションについては、前機種では同梱の別体マイクを使ってキャリブレーションする必要があったが、新機種では本体に4つのマイクを内蔵。さまざまな室内環境に合わせた音響設定を、オートルームキャリブレーションによって行えるように進化している。

  • 本体上面に、4つのマイク穴をY字型に配置している

発表に先がけて短時間、AMBEO Soundbar|Plusのサウンドを試聴することができた。Dolby Atmosのデモコンテンツを再生すると、サウンドバー単体から出ているとは思えないほどの広がりのある音が、テレビ画面の枠をはみ出してこちらにズンズンと迫る。既に発売済みの前機種(AMBEO Soundbar)を取材した際に、音の定位感や移動感が分かりやすくて驚いた記憶があるが、新機種も20万円台半ばに迫る高価格帯の機種というだけあって負けず劣らずのクオリティの高さだと感じた。

「AVアンプと複数台のスピーカーを置いてホームシアターを構築したいけれど、置く場所を確保しづらい……」という悩みを抱えているAV機器マニアであれば、サウンドバー製品としてはかなり高価ではあるがAMBEO Soundbar|Plusを一度体験してみる価値は十分にある。今後、一般ユーザーもじっくり試聴できる環境が用意されることに期待したい。

AMBEO Soundbar|Plusの操作や各種設定は、付属のリモコンや、ゼンハイザーが提供する「Smart Control」アプリから行える。AMBEOのサラウンド効果(アップミックス)はオン/オフ可能で、AMBEOオン時は、効果のかけ方をライト/スタンダード/ブーストの3種類から選べる。ほかにも、音楽/映画/ニュース/ニュートラル/スポーツの5種類のサウンドモードと、深夜の利用を想定したナイトモード、セリフを聞き取りやすくするボイスエンハンスメントモードを用意している。

  • 付属のリモコン

  • ゼンハイザーの「Smart Control」アプリとAMBEO Soundbar|Plusを連携させるとこのようなホーム画面が現れる

  • 音量調整などの操作を行うと、上面奥の横長のLEDバーが光る

HDMI 2.0a対応のHDMI入力を2基搭載(前機種は3基)。HDMI出力は1基備え、eARCをサポートする。そのほか、光デジタル入力、アナログ音声入力(AUX)を各1基装備。サブウーファー用のプリアウト(モノラルRCA)も備えている。

  • 背面のインタフェース

AirPlay 2、Spotify Connect、TIDAL Connectといった複数の音楽ストリーミングサービスからの再生や、GoogleのChromecast built-inをサポート。ただし、Smart ControlアプリからApple MusicやAmazon Musicを再生することはできないという。IEEE 802.11 a/b/g/n/ac/ax準拠の無線LANとEthernetによる有線でのネットワーク接続に対応し、Google HomeやAmazon Alexa、Apple HomeKitとも連携できる。Bluetooth機能も備え、Bluetooth 5.2 BLE準拠で、対応コーデックはSBCとAAC。

HDMIケーブルや電源ケーブルなどが付属する。なお、別売オプションとして壁掛け金具も用意している。

  • Smart Controlアプリの設定画面

  • 再生するコンテンツのオーディオコーデックごとの設定が行える

  • 音楽ストリーミングサービスやAirPlay 2の設定項目も備える

AMBEO Sub

AMBEO Soundbarシリーズとワイヤレス接続して使えるサブウーファーで、8インチのロングスローウーファーと、350WのクラスDアンプを搭載。27Hzまでの低音再生が可能で、「AMBEOバーチャルサウンド技術が搭載された深みのあるベースが、今までにない没入感を演出する」としている。クロスオーバーの周波数は80Hz。

  • AMBEO Subの内部構造

AMBEO Subにもマイクを内蔵しており、正確なキャリブレーションにより部屋の空間を把握して、最適な音響設定を自動調整する。深い周波数帯域の再現性とエアフローノイズをなくすために、エンクロージャーはサブウーファーで一般的に採用されるバスレフ型ではなく、密閉型デザインを採用。さらにスピーカーを上方向に設置することで、サウンドのクリアさを向上させ、「歪みのない質の高い低域を奏でる」とする。

  • 上面から見たところ

マルチサブアレーテクノロジーにより、最大4台までのAMBEO SubをAMBEO Soundbarシリーズと接続でき、好みや設置スペースの広さに合わせて拡張可能。サブを4台接続すると、すべて同じサウンドを再生するが、上述のキャリブレーションを行うことで、それぞれのサブは各DSPに記録したサウンドを再生する。

なお、サブウーファーを複数台接続してもチャンネル数が7.2.4、7.3.4chと増えていくわけではなく、キャリブレーションによりそれぞれのサブの音響が設定され、よりイマーシブなサウンド体験が楽しめるようになるとのこと。

モノラルRCAを1系統装備。Bluetooth 5.2 BLEに準拠する。本体サイズは約27.4×27.4×36.9cm(幅×奥行き×高さ)、重さは約8.2kg。電源ケーブルが付属する。

  • AMBEO Subの底面にあるインタフェース

  • AMBEO Soundbar|PlusとAMBEO Subを組み合わせたイメージ