人間は一人きりで生きていくことはできず、あらゆる場所で、周囲の人と関わりを持たなければなりません。しかし人それぞれ性格が異なることから誰とでも仲良くなることは難しく、また職場や学校などでは嫌いな人と関わらなければならないこともあるでしょう。

本記事では、嫌いな人との接し方のコツや苦手意識を持ってしまう理由、嫌われやすい人の特徴、嫌いな相手にやってはいけないことなどを紹介します。

  • 嫌いな人との接し方とは

    嫌いな人との接し方や、なぜ人を嫌いだと感じてしまうのか、嫌われる人の特徴などを紹介します

嫌いな人との接し方のコツとは? 職場や学校に苦手なタイプの人がいたら

職場や学校にはさまざまな人が存在するため、「なんだかこの人のこと、嫌いかも」と感じてしまうこともあるでしょう。しかし職場や学校では、嫌な人だからといって全く関わらないのも難しい場合が多いものです。

そこでこの章では、嫌いな人、苦手な人との接し方のコツを紹介します。

可能な限り接点を持たない

まず嫌いな人とは、可能な限り関わらないことを目指しましょう。

本当に必要な場面以外は、嫌いな人や苦手な人との関わりを最小限にすることで、その人に関するストレスがたまりにくくなります。

適度な距離感を保って必要最低限の接点しか持たないことを意識し、ストレスにさらされる機会をなるべく回避しましょう。

挨拶や報連相など最低限のコミュニケーションは取る

嫌いな人、苦手な人に対してなるべく接点を持たないことは大切ですが、挨拶や仕事上の報連相など、最低限のコミュニケーションは取るようにしましょう。

無視をしてしまうと相手を傷付けるばかりか、仕事が円滑に進まなかったり、あなたの評価が下がってしまったりする可能性があるためです。

またこちらがコミュニケーションを取る気持ちがあることを相手に伝えられることで、友好な関係に近づくかもしれません。

どんなに嫌いな人、苦手な人でも、最低限のコミュニケーションは欠かさずに行いましょう。

自然にふるまう

苦手な人相手だからこそ、接するときは自然にふるまうことが重要です。

嫌いな人や苦手な人には、つい冷たい態度を取ったりきつく当たってしまったりすることもあるかもしれません。しかし自分からの態度が悪いと、相手も良い気持ちはせず、関係の悪化につながります。

嫌いな人や苦手な人とも良好な関係を築けるように、できる限り自然にふるまうことを心掛けましょう。

相手の嫌いな部分を分析する

相手の嫌いな部分を分析することも大切です。相手の嫌いな部分が明確になることで、苦手意識や関係性を改善するきっかけが見つかるかもしれません。

嫌いな人のことを考えることに、抵抗感を抱く人は少なくないでしょう。しかし、嫌いな相手のことや自分との関係などを客観的に見つめ直し、掘り下げることで、問題を細分化できます。

分析をすることにより、ただ漠然と「嫌いだな、苦手だな」と思っている状態から、例えば「私が恋人の話をしているときだけ、この人は攻撃的になってマウントを取ってくるんだ」「それなら、この人の前では恋人の話はしないようにしよう」などと、解決の糸口が見えてくる可能性があります。

視点を変えてみる

視点を変えてみることも一つの方法です。相手のことが嫌いだという気持ちで見ていると、嫌なところばかりが目についてしまいます。相手の嫌なところの捉え方を変えたり、良いところを自分から探したりしてみましょう。

例えば、「どうでもいいような細かい間違いを見つけては、嫌みを言ってくるから苦手」と思っていた場合も、視点を変えれば「細かいところまで丁寧にチェックしてくれる」「知らんぷりせずにきちんと注意してくれる」「妥協せずに常により良いものを目指している」といった具合に言い換えることができます。

視点を変えることで今までとは違う捉え方ができ、苦手だった部分も好きになれるかもしれません。

部分的に考えが合わないと考える

人単位で「苦手だ」と考えるのではなく、部分的に考えが合わないと考えることもおすすめの方法です。

嫌いな人や苦手な人に対して、その人の全てに嫌悪感を抱くことは少なくありません。しかし、「この人は自分とは合わない」ではなく「ここだけは合わない」と考えを改めてみることで、相手の他のところは許容できる可能性があります。

一部分でも許容できるところが見つかると、その人に対しての苦手意識は軽減されるでしょう。

自分の中に包容力を持つ

自分の中に包容力を持つことも大切です。

嫌いな人や苦手な人に嫌なことをされたとしても、「その人が悪く自分は悪くない」と思っているだけでは何の解決にもなりません。自分の中に包容力、許す心を持つことができれば、気持ちにゆとりが生まれて、苦手意識が軽減されるかもしれません。

自分の中に包容力を持つことは、ストレスを減らすためにも役立ちます。嫌いな人に何かをされて怒りを覚えたら、いったん深呼吸を行いリラックスして、許すという気持ちを持ってみましょう。

相手のペースに流されないように接する

嫌いな人、苦手な人と接する際には、相手のペースに流されないように心掛けることも大切です。相手のペースに流されてしまっては、後から「ああ言えばよかった」「やっぱり断ればよかった」などと悔やみ、フラストレーションがたまってますます相手を嫌いになってしまいます。

苦手意識を持つ人と接する機会がある場合は、こちらのペースを乱されないよう、自分自身の考えをしっかりと持って対応しましょう。ただし相手のペースに流されないようにと力むあまり、相手の話を聞かなかったり、逆に自分のペースに巻き込もうとしたりすることは、余計なトラブルを生む可能性があるためNGです。

あくまでも、相手のペースに流されないように、自分を強く持つことのみを意識しましょう。

相手を変えようとしない

嫌いな人や苦手な人がいる場合、嫌な部分を改善してほしいと考える人もいるでしょう。しかし、相手を変えようとするのは賢明とは言えません。

他人の性格や態度を変えることは簡単なことではありません。そのため、相手を変えようとせず自分の心持ちを変えることを優先すべきです。

ただし、相手の嫌いな部分や苦手な部分を、周りの人も問題に感じており、業務に支障をきたしていたり、精神的なダメージを受けていたりする場合もあります。

その場合は、上司や先生などに相談し、改善するよう注意してもらったり、対応策を講じてもらったりするといいでしょう。

休日にストレスを発散する

嫌いな人や苦手な人がいてストレスを感じているのなら、休日や仕事終わりの時間にストレスを発散することも大切です。

ストレスをためたままにすると、その人に対して余計にイライラして、さらにストレスがたまるという悪循環に陥る可能性があります。

休日や空き時間は趣味や好きなことに没頭し、時間を忘れて楽しむことで、ストレス発散ができ、嫌な人のことを思い出す機会も減るでしょう。

ストレスをためすぎることは、心身の不調にもつながります。適度にストレス発散をして、思いつめることのないようにしましょう。

ある人を「嫌い」「苦手」だと思ってしまう理由

  • 人をなぜ「嫌い」「苦手」だと思ってしまうのか

嫌いな人や苦手な人は、誰にでも存在するものです。そのため、嫌いな人がいることに対して「自分の心が狭いのだ」と考え込む必要はありません。

ここでは、他者に対して「嫌い」「苦手」と思ってしまう主な理由を紹介します。

どんな人にも「嫌いな人」は存在するから

ビジネスには「262の法則」と呼ばれるものがありますが、これは人間関係にも当てはまるといわれています。どんな組織においても、自分のことを好きな人が2割、好きでも嫌いでもない人が6割、自分のことを嫌いな人が2割程度は存在するということです。

これを転じて言えば、誰にでも「嫌いな人」は多かれ少なかれ存在し、誰かを嫌いになってしまうことは自然なことと言えるでしょう。

誰かに対して嫌いと思っていたり、苦手意識を持っていたりする自分を責める必要はありません。誰にでも嫌いな人は存在するものだということを覚えておきましょう。

瞬間的に脳が「苦手」と判断しているから

人間の脳にある扁桃体(へんとうたい)は、無意識に好き嫌いを判断する仕組みを持ちます。

そもそも扁桃体とは、恐怖や不安など、生命の危機に通じる感情をつかさどっています。私たちの祖先が、ある物事に対して快か不快かを瞬時に判断することは、厳しい環境を生き抜く中で非常に重要なことでした。そしてこの判断は、本能的な感覚や、過去のデータに基づいて下されています。

そのため初対面の人と接した際に、これまで付き合いのあったさまざまな人との共通点から、脳の扁桃体が相手を「嫌いなタイプ」と認識することで、苦手意識を持ってしまうこともあるのです。

つまり、意識して苦手になっているのではなく、脳がこれまでの体験から好き嫌いを判断しているために、自然と苦手意識を持ってしまっている可能性もあります。

苦手な部分が目につき、さらに「嫌い」になってしまうから

また、人は一度相手に苦手意識を持つと、無意識のうちに相手の嫌な部分が目に入りやすくなります。すると相手のささいな行動を見ているだけでも嫌悪感を抱き、ますます嫌いになってしまうのです。

最初はなんとなく苦手かも、と思うだけだったとしても、徐々に本当に嫌いな人、苦手な人という認識になってしまう可能性があります。

周囲から嫌われやすい人によくある特徴とは

  • 周囲から嫌われやすい人の共通点

誰か嫌いな人と接しているときには、自分が相手を嫌いな理由を考えることが重要です。そのためこの章では、嫌われやすい人によくある特徴について解説します。

相手によって態度を変える

相手ごとに態度を変える人は嫌われやすいといえるでしょう。相手によって態度を変えるとは、自分の得になる相手にばかり良い顔をすることを指します。

例えば、目上の相手には親切で気配りをするものの、部下には横柄な人は、周りの人から嫌悪感を抱かれやすいといえます。

人の親切を当然だと思ったり、見返りばかりを求めたりする

人の好意や優しさを当たり前と捉え、お礼をおろそかにする人も嫌われやすいでしょう。

また自分のしたことに対し、見返りばかり求めている人も、周囲の人から距離を置かれがちです。

人間関係においては、自分ばかりが得することを考えるのではなく、相手への思いやりの気持ちが大切です。

自分の失敗を認めない

絶対に自分が正しいと思いこみ、自分の非を認めない人も嫌われやすいといえます。なぜなら、自分が正しいと思い込む人は周りの意見に耳を傾けないため、「この人には何を話しても無駄」と距離を取られてしまうのです。

仕事や人間関係においてミスをすることは誰にでもあります。間違いを犯したときには、素直に謝ることが大切です。

ミスをし過ぎることはよくありませんが、ミスを指摘された際に素直に謝って改善を図ろうとする行動は、人に良い印象を与えられるでしょう。

ネガティブな話が多い

ネガティブな話が多い人も嫌われやすいです。なぜなら、ネガティブな話が多い人と話をしても楽しくないためです。ネガティブな話が多い人よりも、ポジティブで明るい人の方が周りに人が集まるでしょう。

自分のつらさを常にアピールしたり、何に対しても否定的な発言をしたりする人は、その場の雰囲気を暗くし、一緒にいる人もネガティブな気持ちにさせます。

またネガティブな話が多い人は、周囲への悪口も多い傾向にあります。悪口ばかり言う人は「自分も悪口を言われるのでは」と思われ、嫌われます。

常にイライラしている

常にイライラしている人も嫌われやすいです。

イライラがあふれ、ささいなことで怒ったり、小さなミスに対して怒鳴ったりする人に対して、周囲の人は萎縮して距離を取ろうとします。常にイライラしていると周囲に不快感を与え、周りから人が離れてしまうでしょう。

空気を読まない

空気を読まない人も嫌われがちです。なぜなら、空気を読まずに行動する人がいることで、その場の和が乱れてしまうためです。

集団生活の場において、ある程度空気を読んで行動することは大切です。仲間の状況や動きを考えずに自分勝手なふるまいばかりしていると、業務が円滑に進みにくくなり、仕事の評価が下がったり人間関係が悪化したりします。

社会の中では、最低限の常識や思いやりを持って行動すべきだといえるでしょう。

嫌いな人がいても、やってはいけないこと

  • 嫌いな人にやってはいけないNG行動

嫌いな人相手だからと、何をしてもいいというわけではありません。ここからは、嫌いな人相手でもしてはいけないことについて紹介します。

その人にだけ冷たい態度をとる

いくら嫌いな人でも、その人にだけ冷たい態度をとってはいけません。なぜなら冷たい態度をとっていると、関係改善の機会を失うばかりか、どんどん関係が悪化してしまうからです。

嫌いな人でも何かのきっかけで関係性が変わる可能性があります。特に職場では、業務を円滑に進めるためにも、関係が悪化しないよう努めましょう。

また一人にだけ態度を変えていると、自分がとがめられ評価が下がる可能性があります。

ケンカに発展させる

関係が良くない相手とケンカに発展してしまうと、関係の改善が不可能になるかもしれないため避けましょう。

嫌いな相手とケンカをしても、相手をさらに嫌いになったり、お互いの嫌悪感が増したりするだけで、利益は期待できません。

周りにも悪影響が出る可能性もあるため、ケンカをしそうになったら距離をとるなど、ケンカに発展しないように注意しましょう。

嫌がらせをしたり陰口をたたいたりする

嫌がらせをする、陰口をたたくといった行動もしてはいけません。嫌がらせや陰口は相手を傷付けるだけでなく、あなたの評判を落としたり、法的問題に発展したりする場合もあるためです。

最初に、苦手な相手側から嫌がらせを受けたり悪口を言われたりする可能性も考えられます。しかしそうだとしても、やり返すことで自ら相手と同じレベルに落ちる必要はありません。

嫌がらせを受けたり陰口を言われたりした場合は、上司や先生に相談するなどし、冷静に対処するようにしましょう。

その人が嫌いだからという理由だけで、衝動的に転職する

どうしても苦手な同僚や上司がいる場合もあるでしょう。しかし、その人が嫌いだからという理由だけで、深く考えずに転職をすることも避けるべきです。

感情的になって適当に転職することで、自分のキャリアプランが崩れてしまってはもったいないですよね。

また、同じことが次の職場で起きないとも限りません。次の職場でも嫌いな人が出てきた場合、また転職をしなければいけなくなります。転職の理由が人間関係だと、転職先が見つかりにくくなるというリスクもあります。

上司や人事に相談するなど、冷静に対処した上で、それでもどうしようもなければ転職を検討するといいでしょう。

嫌いな人との接し方をマスターし、仕事や毎日の生活をより楽しくしよう

職場や学校など、集団生活の場では、嫌いな人や苦手な人が出てくる場合もあるでしょう。しかし、嫌いな相手に振り回されていては、日々の生活がつらいものになってしまいます。

嫌いな人との適切な接し方をマスターし、自分らしい毎日を送りましょう。