インターネットイニシアティブ(IIJ)は5月12日、2023年3月期の通期決算を発表した。企業のデジタル化推進の波に乗り、通期での売上、営業利益ともに、前期に引き続いて増収・増益となった。
23年3月期の通期での売上は2,527億800万円(前期比+11.7%)。営業利益は272億2,100万円(前期比+15.6%)と、前年比で増収増益の黒字決算。勝社長は、好調の原因を企業の活発なデジタル化需要によるもので、法人向けのネットサービスやシステム開発が堅調であることを指摘。また、売上が予想を上回る好調を示した一因として大型案件を多数受注していることを挙げ、今後も堅調な売上増が見込めるとした。
個人向けのネットワークサービス(IIJmio)については、回線契約数が120万件を突破し、売上も210億円を達成。4月のプラン改定でデータ容量を増量した「ギガプラン」の契約数が90万件を超えるなど好調であり、5GBプラン(旧4GBプラン)への注目が集まっているとした。
好調な業績を踏まえ、期末配当は1株当たり29.255円、通期での配当は58.51円となった。配当額は4年で約5倍にも増えている。来期は1株あたり34.36円の配当が見込まれる。
日本のIT化推進にはエンジニア育成が急務
IIJの社員数は、3月末の段階で4,451名。さらに4月に採用した新卒の社員は246名で、渡井CFOによると、事業拡大を図って、同社としては平年の約1.5倍近い人数を採用したという。また大型案件の受注が進む中、即戦力としての中途採用も積極的に行っているという。
また、人材育成という点については、同社が開催するエンジニア育成の取り組み「IIJアカデミー」が5月にスタート。アカデミーには56人の応募があり、第1期生として18名が採用され、受講がスタートしたという。
鈴木会長はIIJアカデミーについて、中国などでは大量のエンジニアが育成されていることを挙げ、「日本のIT全体の伸びは世界に比べてゆっくりしている。ネットワークエンジニアの層が想定以上に薄い」と指摘。今後はIIJとしてもスケールを高めてエンジニアを育成していくとコメントした。