ソニーは5月11日、5Gスマートフォンのフラッグシップモデル「Xperia 1 V」を発表した。6月下旬以降に国内キャリアから発売される。またSIMフリー版の発売についても同時に発表されており、7月下旬以降の発売予定で店頭予想価格は195,000円前後。5月23日10時より、予約販売の受付を開始する。
今回の新モデルでは、「Exmor T for mobile」と名付けられた新開発の2層トランジスタ画素積層型CMOSイメージセンサーをメインカメラに搭載。このセンサーは、従来のものからサイズが約1.7倍に大型化。さらに画素構造を2層に分離することで、光を取り込むフォトダイオードとトランジスタの双方を大型化し、高感度と低ノイズを実現。この結果、低照度性能は前機種比で約2倍に向上しているという。
このセンサーは、センサー自体は画素数は52メガピクセルで、4.3:3の縦横比と従来よりも幅広になっている。撮影時は、静止画では4:3、動画では16:9のの範囲を利用して有効画素数48メガピクセルとして撮影を行い、ピクセルビニングにより12メガピクセルの画像/映像が得られる。センサーが従来よりも幅広となったことでマージンを大きくとれるため、手ブレ補正の性能が向上するという。
新センサーと画像処理技術により、動画では「S-Cinetone for mobile」という機能を搭載。「S-Cinetone」はソニーのカムコーダーや「α」シリーズに搭載され、肌の質感などの再現性に定評がある機能で、「S-Cinetone for mobile」はそれをモバイル向けに調整したものとなる。新センサーの従来比約3倍の飽和信号量と独自の画質処理により、暗部に発生しがちなノイズを抑え、ソフトな色合いの美しい映像を撮影できるとしている。
このほか、「α」シリーズで搭載している色フィルター「Creative Look」、極低照度環境でも明るい撮影が可能なナイト撮影機能も搭載する。
カメラには、新センサーや画像処理技術、「α」シリーズで培った技術に加え、AIも活用。AIはたとえば深度推定に利用しており、高精度のAFを可能にしている。このAIによる深度推定が十分に機能するためとして、ToFセンサーは今回割愛された。また、ホワイトバランス/露出の調整にもAIを活用し、人の眼に映る色味・質感を再現する処理を行っているという。
また、VLOG用カメラとしての活用を想定し、人物ではなく商品にフォーカスを合わせる商品レビュー用の設定を搭載。また、背面には正面の音をよりクリアに録音できる声優先マイクを搭載した。このほか、「Photography Pro」「Video Pro」「Cinema Pro」におけるピーク表示、「α」シリーズと接続してモニタリングと同時に「Xperia 1 V」のストレージへの保存、動画ライブ配信中のチャット閲覧、「Photography Pro」「Video Pro」での縦位置UIといった機能も追加されている。
ディスプレイは4K HDR 120Hzで、明るい環境でもHDRコンテンツの白トビなどを抑えるリアルタイムHDRドライブを搭載。スピーカーは前モデルから約10%音圧を向上させ、とくに低音域での音質を向上。「Music Pro」でアプリでは従来のギター/ボーカルの録音に加え、ピアノの録音にも対応した。
ゲームプレイや配信をアシストするゲームエンハンサーは、パフォーマンスがトップメニューからより簡単に確認できるようになり、シャッターボタンでのスクリーンショット撮影に対応した。ゲーミングパフォーマンスも前モデルより同社測定のAntutuスコアで約30%向上しているという。「Xperia 1 IV」用としてリリースされているゲーム用デバイス「Xperia Stream」の利用も可能だ。
SoCは最新のSnapdragon 8 Gen 2。プロセッサ自身の電力効率改善、カメラ動作時の消費電力の改善、熱拡散シートの約60%拡大などのヒートマネージメントにより、高負荷時のパフォーマンス低下を抑制している。バッテリー容量は5,000mAhで、従来モデルから引き続き、3年たっても最大容量を80%以上維持できることを謳っている。
カラーバリエーションはブラック/カーキグリーン/プラチナシルバーの3色を用意。デザインは“機能性触覚デザイン”がコンセプトで、カメラフレームをメタルバンプ化し、背面ガラスにテクスチャ加工を施して滑りにくい表面とした。カメラフレームは純正カバーを装着したときにカバー面とフラットとなる。純正カバーはグリップ部を設け、よりホールドしやすい形状。縦置きも可能となった。
グローバル発表モデルの主な仕様は下記のとおり。
- カラー:ブラック/カーキグリーン/プラチナシルバー
- CPU:Qualcomm Snapdragon 8 Gen 2
- 内蔵メモリ:12GB/16GB
- ストレージ:256GB/512GB+microSD(最大1TB)
- ディスプレイ:6.5インチ HDR OLED(120Hz/リアルタイムHDRドライブ搭載)
- 通信方式:5G Sub6/5G Sub6+ミリ波
- アウトカメラ:メイン広角 有効画素数48メガピクセル(1/1.35インチ、24mm相当)、超広角 有効画素数12メガピクセル(1/2.5インチ、16mm相当)、望遠 有効画素数12メガピクセル(1/3.5インチ、85-125mm相当)
- インカメラ:12メガピクセル(1/2.9インチ)
- バッテリ容量:5,000mAh
- 防水/防塵:IP65/IP68
- 生体認証:指紋認証
- その他の機能:ワイヤレス充電(Qi)対応
- インタフェース:USB Type-C、3.5mmオーディオジャック
- サイズ/重さ:H165×W71×D8.3mm、187g
また、日本国内でSIMフリー版として発売されるモデルについては、以下の仕様が公表されている。
- 内蔵メモリ:16GB
- ストレージ:512GB+microSD(最大1TB)
- 通信方式:5G Sub6
- 対応通信バンド 5G:n1/n3/n5/n28/n41/n77/n78/n79、4G:1/3/4/5/7/8/12/13/17/18/19/21/26/28/38/39/40/41/42/66
- SIM:nanoSIM/eSIM
なお本製品の発表にあたり、6月1日~6月18日の期間、ソニーストア直営5店舗(札幌/銀座/名古屋/大阪/福岡天神)において、新製品のタッチ&トライイベントを開催する。会場では新製品の展示のほか、暗所撮影/ポートレート撮影/同社製ヘッドホンとの連携の体験のほか、週末などには開発者やクリエイターによるトークショーも行われる予定。