KDDIと沖縄セルラー電話、楽天モバイルは5月11日、2023年4月に新たなローミング協定を締結したと発表した。この協定により、これまでローミングエリアに含まれなかった都市部の一部繁華街エリアなどが、auネットワークをベースに楽天モバイル網として提供されるようになる。

もともと楽天モバイルでは第4世代移動通信サービスの立ち上げに際し、サービスエリアを構築できるまでの暫定的な措置として、auネットワークのローミングを導入して楽天回線エリアの不足を補っていた。

このローミング提供期限は2026年3月末までとなっているが、楽天回線エリアの拡大および財政的な負担拡大にともない、2022年10月以降はローミング範囲を縮小する予定となっていた。なお、提供範囲を見直すタイミングは年2回(4月・10月)設けられている。

今回、両社はローミング協定の見直しを協議し、新協定を締結。新協定では、これまでローミングに含まれなかった東京都23区・名古屋市・大阪市を含む都市部の一部繁華街のエリアおよび、一部インドア(地下鉄、地下街、トンネル、屋内施設など)、ルーラルエリアを、引き続きローミング提供することで合意した。新協定は2023年6月から開始し、提供期間を2026年9月まで延長する。

楽天グループは、基地局整備を中心としたモバイル事業への投資で損失が拡大しており、2023年2月に発表された2022年度通期決算におけるモバイル事業の損失は4,928億円となっている

楽天モバイルは今回、ローミングを活用することで財政負担を限定しつつ、効率的に接続性の向上を図るとしている。また、KDDI側も他社との設備共用を推進することで、4G設備の有効利用を図りつつ5Gネットワークの構築を推進するとした。