青山商事では5月10日より「THE SUIT COMPANY」(ザ・スーツカンパニー)の屋号を『SUIT SQUARE』(スーツスクエア)に変更する。今後は4ブランドを1店舗に集約したブランドコンテンツミックスOMO型の店舗を展開していく考え。第1号店となる「SUIT SQUARE TOKYO GINZA店」は5月11日にオープンする。都内で開催の発表会には、初代アンバサダーに就任した窪塚洋介・愛流親子が登壇した。
■全店にSUIT SQUARE導入
発表会の冒頭、青山商事 代表取締役社長の青山理氏が登壇し、事業概要について説明した。
青山商事では2000年11月にTHE SUIT COMPANYを開始。その後、ビジネスパーソンに向けたワンランク上のセレクトショップ「UNIVERSAL LANGUAGE」(ユニバーサルランゲージ)、働く女性のための「WHITE THE SUIT COMPANY」(ホワイト・ザ・スーツカンパニー)、オーダー専門店の「UNIVERSAL LANGUAGE MEASURE'S」(ユニバーサルランゲージ メジャーズ)と、次々にブランドを立ち上げてきた。
世の中のライフスタイルが変化し、またコロナ禍により人々の働き方が大きく変わったことを受け、2021年には4つのブランドの商品・サービスを1つの店舗に集約した「SUIT SQUARE」をスタート。ネット連携による豊富な在庫照会×リアル店舗の接客サービス、という両メリットを活かしたシステム「デジラボ」により、店頭で品物を確認してオンラインで注文できるOMO(Online Merges with Offline)型の店舗を実現した。これについて青山社長は「現在は9店舗まで拡大しました。いずれも既存店よりも高い水準で推移し、売上計画を上回っています」と評価する。
そこで今後は2年間を目途に、THE SUIT COMPANYの全店にSUIT SQUAREを導入し、屋号の変更も順次行っていく考え。第1号店のSUIT SQUARE TOKYO GINZA店では、デジタルでショッピングをサポートするタッチサイネージ「スマートバー」を導入し、またプロの診断士による骨格スタイル分析サービス(5月下旬より)を設けるなど、新たな試みも始める。
続いて登壇した青山商事 執行役員の河野克彦氏は、SUIT SQUAREの戦略について説明した。まず、オーダースーツを強化する。5月11日より、UNIVERSAL LANGUAGE MEASURE'Sのオーダーサービスを全店に導入していく考えだ。次に、出店を加速する。2026年までに新規出店や移転リニューアルで30店舗の出店を計画。未出店エリアにも進出し、都心部を中心にシェア拡大を狙う。
そして、デジラボの取り組みを強化する。ECサイト上にある在庫を店舗に取り寄せて試着できる「TAP & FIT」サービスも6月1日にスタートさせる。またプロモーションに関しては、新アンバサダーに窪塚洋介さん、窪塚愛流さんを起用。5月11日より、各種Web広告やJRを中心とした交通広告に露出を増やしていく。
2024年春には、新ブランドを立ち上げる。河野氏は「これまでご利用のなかった新しいお客様にもSUIT SQUAREを選んでいただけるよう、既存ブランドでは表現できないモノづくりをしていきたい」と説明する。そこで新ブランドディレクターには、セレクトショップのバイヤーをはじめ、数々の実績を持つ高田朋佳氏を起用した。このあと登壇した高田氏は「日本のモノづくり、日本人の美意識、美的感覚を打ち出した新ブランドにしていきたい。日本で培われた洋服文化、スタイルを世界に発信していければ」と意気込んだ。
■スーツを着て父と撮影
初代アンバサダーに就任した窪塚洋介さん、窪塚愛流さんによるトークセッションも行われた。
2人を起用した、「新たなスタートを切る」というメッセージを伝えるキービジュアルを前に、愛流さんは「スーツを着て父と一緒に撮影にのぞむのは、これが初めてのことでした。とっても良い写真になりました」。恥ずかしさもあったけれど、なるべくナチュラルな表情で写ることを意識しました、と笑顔になる。洋介さんも「嬉しくもあり、照れもありました。子どもは本当に、あっという間に大きくなりますね。それを実感しました」とコメントした。
■多店舗展開を狙う
発表会の終了後、メディアの囲み取材に対応した青山社長は、SUIT SQUAREのメリットについて「大きな売り場面積を必要としない業態ですので、多店舗展開できます。都心部だけでなく、地方都市にも出ていけたら」と説明。また新ブランドについては「これまでの商品構成にない、新たなご提案をしていきます」として、高田氏の手腕に期待を寄せる。
アフターコロナの事業戦略については「皆さんの働き方が変わった、イコール服装も変わった、と捉えています。したがって新たに、幅広い服装の提案をしていく必要があります。スーツ市場としては、コロナ前の8割くらいまで回復したら良い。(戻らなかった残りの2割は)新たなビジカジであったり、スーツのノウハウを活かしたジャケット、スラックスなど、青山だから開発できる商品の提案をしていけたらと思っています」。
新型コロナウイルスが5類に引き下げられたことで事業に影響はあるのか、という問いかけに執行役員の河野氏は「オフィスで働く人は戻りつつありますが、着るものが変わってきている。スーツから離れてセットアップに、またカジュアルに切り替えた人もいます。そこで、当社でも多種多様な商品を揃えていきたいと考えています」。
ちなみにコロナ禍によりECサイトで買い物をする人が増えた結果、SUIT SQUAREにおける売上も、店頭購入が6割まで下がり、デジタル経由が4~5割に増えたとのこと。「デジラボを利用すれば5万点の在庫から商品を選ぶことができます。このシステムを伸ばしていけたら」とし、今後の展開に期待を寄せていた。