電気自動車(EV)といえば「価格が高い」というイメージですが、ガソリン代が上がってくれば、電気で走るEVのランニングコストの低さが魅力的に見えてきたりもします。EVの経済性をクルマ好き学生ライターはどう感じるのでしょうか? アウディが開催したEV勉強会に参加してもらいました。

  • アウディ

    アウディがEV勉強会を開催! クルマ好き学生ライターから取材レポートが届きました(写真はアウディのEV「RS e-tron GT」)

回生ブレーキで坂道がお得に?

EVはガソリン車に比べて総じて高価な印象だったのですが、ランニングコストを下げる工夫はけっこうありそうです。まずは「回生ブレーキ」というシステムについて教えてもらいました。

アウディだけの特徴ではありませんが、多くのEVは減速時に電気モーターだけでクルマを減速させて、エネルギーを回収してバッテリーに溜める「回生ブレーキ」というシステムを搭載しています。例えば坂道を走る際には、上り坂では重い車体を引っ張り上げていくのに多くの電力を消費してしまいますが、下り坂では回生ブレーキでエネルギー(バッテリーの電力)を回復させられるんです。

従来のガソリンで走行するクルマの場合は、下り坂でエンジンブレーキをうまく使ってもエネルギーを回収することは不可能でした。これがEVになると、もちろんすべてではありませんが、上り坂で使ったエネルギーの一部を下り坂で回収することができます。これはお得感がありますね! また、電気モーターで減速させる特性上、ブレーキパッドの減りを抑えられるのも経済的なメリットといえるでしょう。「いかにお得に走るか」と考えながらのドライブも、EVの楽しみなのかもしれません。

  • アウディ

    アウディのEV「Q4 e-tron」

ほぼワンペダルで快適な走りを実現

これも回生ブレーキを使った機能なのですが、EVにはアクセルペダルを戻すだけで強めに減速させられる「ワンペダル走行」が可能なクルマがたくさんあります。中にはペダルオフでクルマを完全停止させられる車種もありますが、試乗した「e-tron GT」は停止まではできないタイプでした。

「Q4 e-tron」の場合は、アクセルペダルを戻した際の減速の強さをステアリングパドルで調整できます。ほぼ減速しない状態(Level0)から強めの減速(Level3)まで計4段階で調整可能です。

  • アウディ

    「Q4 e-tron」の回生ブレーキシステムはステアリングパドルで減速の強さを調整できます

ワンペダル走行については「運転がもたつく」などの悪い評判も目にすることがありますが、今回のイベントで乗ったe-tron GTに関しては全く気になりませんでした。発進も減速もスムーズに行えていた印象です。アクセルペダルだけで加減速のほとんどを操作できれば足の踏みかえも減りますし、ペダルの踏み間違いが少なくできるかもしれません。

燃費VS電費、どっちが経済的?

アウディのEV勉強会では、ガソリン車「Q7 55 TFSI quattro S line」の燃費とEV「e-tron 50 quattro S line」の電費(バッテリー容量1kWhあたり何km走行できるか)を比較した結果が示されたのですが、これには驚きました! 1カ月で1,000km走行した場合、ガソリン(もちろんハイオクなのですが)だと燃料代は1万8,976円、EVだと電気代は7,272円と1万円以上の開きがあったんです。

  • アウディEV勉強会のスライド

    「Q7 55 TFSI quattro S line」のガソリン代(1カ月で1,000km走行)を計算したスライド

  • アウディEV勉強会のスライド

    「e-tron 50 quattro S line」の電気代を(1カ月で1,000km走行)を計算したスライド

回生ブレーキをうまく使って消費電力を節約したり、無料でEVを充電できるスポットを把握して戦略的に使いこなしたりすれば、さらに費用を削ることも可能とのこと。もちろんEVだと車両購入時の出費は高くなりますし、「元を取る」のはかなり難しいようですが、ランニングコストを抑えられるところはEVの魅力だと思いました。

静かな車内で落ち着いてドライブを楽しめて、さらにはお得に乗れるかもしれないEVは、まさに夢のようなクルマですね。最新技術を詰め込んだEVは高価なクルマだと思い込んでいましたが、購入時には各種補助金も使えます。よく考えればお得に乗れるというEVの特徴は、「ポイ活」が好きな方には特に刺さるかもしれません。