米Mozillaは、5月9日(現地時間)にFirefoxの新バージョンとなるWebブラウザ「Firefox 113」をリリースした。Firefox 112から4週間でのバージョンアップとなった。Firefox 112では、2023年4月17日にマイナーバージョンアップの112.0.1が、2023年4月25日に112.0.2がリリースされている。112.0.1では、以下の修正が行われた。
- Firefoxをアップデートすると、Cookieの日付が遠い未来に設定されているように見えるバグを修正。この不具合により、Cookieが意図せず削除された可能性がある
このマイナーバージョンアップでは、セキュリティアップデートは行われなかった。112.0.2では、以下の修正が行われた。
- 特にアニメーションテーマを使用している場合に、最小化された (または完全に覆われた) ウィンドウでのアニメーション画像のメモリ使用量が高くなる問題の修正
- Linux:ビットマップフォントがインストールされていると、一部のサイトで、テキストのセクション全体が表示されない可能性がある問題の修正
- Windows 8:画像付きのWeb通知が表示されなかった問題の修正
このマイナーバージョンアップでは、セキュリティアップデートは行われなかった。今回は、112.0.2からのアップデートとなる。
Firefox 113のインストール
すでに自動アップデートが可能な状況になっているが、ここでは手動でアップデートする方法を説明したい。Firefoxメニューの[ヘルプ]→[Firefoxについて]を開くと更新が自動的に開始される。[再起動してFirefoxを更新]をクリックする(図1)。
アップデート後のFirefox 113は、図2のようになる。
新規に、Firefox 113をインストールする場合、FirefoxのWebページからインストーラをダウンロードする(図3)。
[Firefoxをダウンロード]をクリックし、保存したファイルをダブルクリックして、インストールを開始する(図4)。
画面の指示に従い、インストールを進めてほしい。以下では、新機能のいくつかを具体的に見ていこう。
Firefox 113の新機能
続いて、新機能であるが、以下のとおりである。
- ピクチャーインピクチャー機能が強化。動画サイトなどで、巻き戻し、再生時間の表示、フルスクリーンモードへの切り替えなどが簡単に可能に
- アドレスバーでの検索機能の向上。検索結果を表示しながら、Web検索用語を確認し、スクロールを追加することなく検索結果を絞り込むことが可能に。さらに新しいメニューが追加され、履歴の結果を削除したり、スポンサー付きのFirefox Suggestエントリの削除が可能に
- プライベートウィンドウでは、サードパーティのCookieとコンテンツトラッカーの保存をブロックする。結果、ユーザーの保護を強化
- Firefoxのパスワード自動生成機能に特殊文字が含まれるようになり、デフォルトでより安全なパスワードが生成
- Firefox 113では、アクセシビリティエンジンが再設計された。これにより、以下の使用例では、速度、応答性、および安定性が大幅に向上した
- スクリーンリーダー、およびその他の特定のアクセシビリティソフトウェア
- 東アジアの入力方法
- エンタープライズシングルサインオンソフトウェア
- アクセシビリティフレームワークを使用して情報にアクセスするその他のアプリケーション
- Safari、Chromeベースのブラウザからブックマークをインポートする際に、ブックマークのFavicon(ファビコン)もデフォルトでインポートされるようになり、Webサイトの識別しやすくなった
- アニメーション(AVIS)を含むAV1画像形式ファイルをサポートするようになり、Web全体でのAVIF画像のサポートが改善
- Firefox 110で搭載されたWindows GPUサンドボックスがセキュリティ面で強化された
- Microsoft Outlookから直接ドラッグアンドドロップされるファイルをサポートするように。13年前からの懸案事項であり、ようやく実現した機能である
- macOS版:Firefoxのコンテキストメニューから直接、[サービス]サブメニューにアクセス可能に
- Windows版:オーバースクロール効果がデフォルトで有効に。タッチパッドまたはタッチスクリーンで2本指でスクロールすると、画面の端を越えてスクロールすると跳ねて戻るアニメーションが表示される
- タジク語(tg)をサポート
以下、具体的にみていこう。ピクチャーインピクチャー機能の強化であるが、実際にピクチャーインピクチャーを実行すると、動画が再生されるポップアップに、コントロールが表示される。具体的には、
- 再生時間の表示
- 再生・停止
- 5秒スキップ
- 音量を調整
- 全画面表示
ができるようになった。
アドレスバーでの検索機能であるが、アドレスバーに「マイナビ」とだけ入力すると、他の候補とともに履歴やスポンサー付きの「Firefox Suggest」エントリも表示される。右の[…]ボタンをクリックすると、削除などのメニューが表示される。
パスワード生成は、実際にやってみると、図7のようになる。
「:」といった特殊文字が含まれているのがわかる。
セキュリティアップデート
同時に行われたセキュリティアップデートであるが、修正された脆弱性はCVE番号ベースで13件である。深刻度の内訳は、4段階で上から2番目の「High」が5件、4段階で上から3番目の「Moderate」が7件、4段階で上から4番目の「Low」が1件となっている。
「High」では、
- ブラウザでのプロンプトでポップアップが隠れる可能性
- RLBox Expatドライバーでのクラッシュ
- clickjackingによる権限リクエストのバイパスの可能性
- Firefox 113、Firefox ESR 102.11で修正されたメモリ安全性の問題
- Firefox 113で修正されたメモリ安全性の問題
などが対応された。今回のアップデートで、もっとも危険な緊急はなかった。一方、細かなアップデートが行われたので、早めのアップデートを推奨したい。