尾田栄一郎氏原作の『ONE PIECE』(以後、ワンピースと表記)は、1997年から連載が続く大人気作品で、2022年8月には全世界累計発行部数が5億部を突破しています。多くのキャラクターが登場する本作で、海賊に対抗する組織のトップに君臨する世界政府最高権力者の五老星に関する情報は、いまだにほとんど明かされていません。

そこで本記事では、物語の鍵を握る謎の集団“五老星”についてくわしく解説します。五老星の強さやモデルになったと思われる人物、名前の由来などに関する考察もまとめました。

五老星とは

五老星とは、世界政府の最高権力者と呼ばれる5人の老人の事です。基本的には5人そろって聖地マリージョアにある“権力の間”で議論や指示出しを行っています。

世界貴族である天竜人の最高位にあたる五老星は、天竜人としてはやや異質です。一般的な天竜人は独特なスーツや口調が特徴的で、奴隷や護衛を引き連れて歩くといった共通点が見られます。しかし五老星は衣服も口調も理性的で、他の天竜人のように理不尽に権力を行使することもありません。

さらに鍛え上げられた肉体には古傷が見られることなどで、五老星が一般的な天竜人と異なる特別な存在であると強調されています。五老星がどのような経緯で天竜人の最高位、世界政府の最高権力者になったのかはいまだに明かされていませんが、世界政府が意図的に隠そうとしている「空白の100年」や「Dの一族」についても知っているようです。

五老星の強さは

五老星は戦闘描写がないため、その強さは不明です。 しかし首元や顔に傷がある人物がいることや、刀を持っている人物がいることなどから武闘派である可能性が高いと推察できます。

くわしくは後述しますが、五老星の1人が所持する刀が世界に12本しかない“最上大業物”の一つである可能性や、少ない護衛で自ら激戦地に足を運んでいる五老星がいることなどから、天竜人とは思えない強さを隠しているのかもしれません。

五老星のモデルを考察

五老星は、自由や平和を求めて活動を起こした偉人がモデルになっているのではないかという説があります。『ワンピース』は著名人がモデルのキャラクターがいるので、五老星にモデルがいる可能性は高いです。

五老星の名前はまだ1名しか明かされていないため今回は、世界人気投票のエントリー時に割り振られたアルファベットに従い、一人ずつ特徴やモデルと思われる人物との共通点などについて解説します。

五老星A

名前/不明
特徴/頭部のアザ・大きなヒゲ
モデルと思われる人物/ミハイル・ゴルバチョフ
声優/平野正人

頭部のアザと、白く大きなヒゲが特徴的な人物。彼のモデルになったと思われる偉人は“ミハイル・ゴルバチョフ”です。

かつてソビエト連邦の最高指導者と呼ばれたミハイル・ゴルバチョフは、東西冷戦を平和的に終結させました。1990年にはノーベル平和賞を受賞しています。 ゴルバチョフにヒゲはないものの、頭髪の色や状態、頭部のアザが一致しています。

五老星B

名前/不明
特徴/白い和装、坊主頭、刀を持っている
モデルと思われる人物/マハトマ・ガンジー
声優/緒方賢一

坊主頭で唯一の和装、刀を持っている人物です。 彼が持っている刀はつばの形や柄の装飾が二代鬼徹・三代鬼徹と似ている事から、最上大業物の一つに数えられる“初代鬼徹”なのではないかと推察されています。ちなみに二代鬼徹は大業物、三代鬼徹は業物です。

鬼徹シリーズは剣士に悲運の死を招く妖刀と言われています。そのためゾロは、自身の運と刀の呪いどちらが強いかの運試しに勝利した後、三代鬼徹を自身の愛刀にしました。 仮に五老星が所持している刀が鬼徹シリーズでもっともすぐれた初代鬼徹だとすれば、その分呪いも大きくなると考えられるため、呪いの影響を受けずに妖刀を所持し続けている五老星の実力は剣士のなかでトップクラスと言えるでしょう。

彼のモデルになったと思われる偉人は“マハトマ・ガンジー”です。 インド独立の父と呼ばれるガンジーは、非暴力・不服従を掲げて当時インドを統治していたイギリス帝国と戦いました。五老星Bとガンジーは、坊主頭や丸眼鏡、白い衣服が一致しています。

五老星C

名前/ジェイガルシア・サターン聖
特徴/帽子、目元の傷、ツエを持っている
モデルと思われる人物/カール・マルクス
声優/野田圭一

エッグヘッド編にて唯一名前が明らかになった人物です。 ツエをついていて、左の目元には大きな傷があります。ドレッドヘアーと帽子も特徴的です。

黄猿ことボルサリーノが率いる海軍の護衛とともにエッグヘッドへ向かう道中で、Dr.ベガパンクと面識があることが明らかになりました。世界政府最高権力の1人であるサターン聖が自ら激戦地に足を運んでいる事や、地位に対して護衛が少ない事などからも、五老星は高い戦闘力を持つ猛者達なのではという考察につながったのでしょう。

サターン聖のモデルになったと思われる偉人は“カール・マルクス”です。 カール・マルクスはドイツの革命家で、格差のない平等な社会の実現を求め、社会主義の思想を広めました。

サターン聖とカール・マルクスは、口元を完全に覆うようにたくわえられた立派なヒゲや髪形が一致しています。

五老星D

名前/不明
特徴/金色の髪とヒゲ、首元の傷
モデルと思われる人物/エイブラハム・リンカーン
声優/増谷康紀

唯一金色の髪とヒゲを生やした西洋風の容姿をした人物です。 劇場版『ONE PIECE FILM RED』では身長212cmのロブ・ルッチと並び、彼をはるかに超える高身長であることが明らかになりました。

スーツを着用していますがネクタイは付けていません。首元には大きな古傷があるため、彼もまた過去に天竜人らしからぬ経験をしていると推察できます。

彼のモデルになったと思われる偉人は“エイブラハム・リンカーン”です。 第16代アメリカ合衆国大統領のエイブラハム・リンカーンは“人民の、人民による、人民のための政治”を目指したり、奴隷解放宣言を発表したりしました。

五老星Dとエイブラハム・リンカーンは、髪形やヒゲの形が似ています。

五老星E

名前/不明
特徴/白い長髪と長いヒゲ
モデルと思われる人物/板垣退助
声優/園部啓一

真っ白な長髪と長いヒゲ、細い目が特徴的な人物です。 彼のモデルになったと思われる偉人は“板垣退助”で、左右にわかれて伸びる白いヒゲがよく似ています。

自由民権運動を牽引した板垣退助は、日本の国会の開設に尽力しました。自由への思いはとても強く、暴漢に襲われた際には「板垣死すとも自由は死せず」という名言を放ったと言われています。

五老星の名前は惑星に由来する?

五老星の1人の名前が“ジェイガルシア・サターン聖”だと判明したことから、五老星の名前は太陽系の惑星に由来するのではと考察されるようになりました。

目元に傷のある五老星Cの名前に使用された“サターン”は“土星”を意味します。そして彼らの総称である五老星に“星”という漢字が使用されていた事も、惑星とのつながりを感じさせます。

ジェイガルシア・サターン聖の名前が土星から来ているとすれば、残る4人は水星・金星・火星・木星に由来するでしょう。五老星の登場シーンはあまり多くありませんが、左から金髪の五老星D、刀を持った五老星B、頭部にアザのある五老星A、白くて長いヒゲを生やした五老星E、ジェイガルシア・サターン聖(五老星C)の順で描かれることが多いです。

そこで5人のこの立ち位置と、惑星の位置関係を重ねてそれぞれの名前を考察すると以下のようになります。

金髪の五老星D/マーキュリー聖
刀を持った五老星B/ビーナス聖
頭部にアザのある五老星A/マーズ聖
白くて長いヒゲを生やした五老星E/ジュピター聖
ツエをつく五老星C/ジェイガルシア・サターン聖(確定)

“ジェイガルシア”はアメリカのミュージシャン“ジェリー・ガルシア”に由来すると思われ、サターン聖の髪形とヒゲは彼ともよく似ています。そのため、他の五老星のファーストネームにもミュージシャンの名前に由来するものがつけられるかもしれません。

『ワンピース』では既に“プルトン“”ウラヌス”“ポセイドン”という3つの古代兵器の名が明かされていますが、これはそれぞれ冥王星、天王星、海王星にちなんでいると考えられます。

さらにワノ国編以降、月と関連するであろう光月家やルナーリア族、太陽と関連するであろう太陽の神ニカの登場が続いており、重要な部分が天体にちなんでいる可能性は高そうです。

五老星とイム様の関係

世界政府最高権力者として登場し誰よりも大きな決定権を握ってきた五老星ですが、世界会議(レヴェリー)編ではそんな五老星を服従させる者が存在することが判明しました。

「イム様」と呼ばれるその人物は、誰も座らないことが平和の証とされる虚の玉座に当然のように座り、五老星を見下ろしています。

虚の玉座に座るイム様に対して、五老星は膝をついて指示を仰いでいます。このことからも、イム様は最高権力者とされる五老星よりもさらに上の存在であり、彼らに主従関係があるのは明らかです。

五老星とシャンクスのつながり

世界会議が開催されるマリージョアにて、権力の間に集まる五老星の元をシャンクスが訪れるシーンが描かれました。四皇とは言え海賊であるシャンクスが、世界貴族の最高位で政府の最高権力者である五老星に単独で謁見できるのは不自然です。

五老星とシャンクスの接触は極めて異例であり、他の海賊では間違いなく実現しなかったでしょう。そもそも五老星は800年もの間警戒していたゴムゴムの実の回収を試みていた世界政府側のトップであり、シャンクスはそのゴムゴムの実を護送中に奪った海賊団の船長です。しかし五老星はシャンクスを捕まえるどころか、接触に応じています。

また、シャンクスは白ひげとエースの死で収拾がつかなくなっていた頂上戦争を終わらせるためマリンフォードに現れていました。当時元帥だったセンゴクは自身が責任を取る形でシャンクスの申し出を了承しています。

これらの影響力の大きさを踏まえると、シャンクスが一般人の枠から突出した特別な存在であることは間違いありません。通常、世界政府関係者しか入ることのできない聖地マリージョアに現れたことや、五老星から特別扱いを受けていることなどから、シャンクスは天竜人である可能性が高いと考察されています。

もしシャンクスが天竜人であるならば、五老星と接触できた理由になるのではないでしょうか。

五老星はクライマックスの鍵を握っている!?

五老星はすべての決定権を持っているかのように思われていました。しかし、彼らよりも上の存在となるイム様の登場や、シャンクスとの接触により、さらに謎が深まっています。世界貴族ではあるものの他の天竜人とは異なり武闘派の出で立ちをしているので、今後戦闘にも参加するかもしれません。

物語の鍵を握る「空白の100年」や「Dの一族」に関する情報を隠しているであろう五老星の正体は、今後徐々に深掘りされていくでしょう。最終章では五老星の謎の解明にも注目です。

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