今回は、「仰せの通り」の意味や使い方・例文を解説します。また、類語や敬語表現も紹介しているので、ビジネスシーンなどでも活用できますよ。
「仰せの通り」の意味
「仰せの通り」とは一般的に「あなたのいう通り」という意味で使われる言葉です。「あなたのお言葉に従います」という意味でも使われることもあります。
相手の言葉を肯定し、あるいは相手の言葉を受け入れ、従うという意志を示すために使われる言葉です。
「仰せの通り」の使い方と例文
ここでは、「仰せの通り」の使い方を例文で紹介します。
ビジネスシーン
「仰せの通り」をビジネスシーンで使える場面は、格上の、ごく限られた相手に使うときです。古風で仰々しい印象があるため、普段から一緒に仕事をしている親しい関係の人には使用しません。
- 「会長の仰せの通り、昨年度と比較して検討いたします。」
このように、普段接することが滅多にない格上の相手であれば不自然さはないでしょう。
- 「御社の仰せの通りだと存じます。」
付き合いが浅い取引先が相手の場合など、非常に丁寧な言葉づかいを求められる場面においては活用できます。
クレーム対応
「仰せの通り」は相手の言葉を肯定し、敬意をもって受け入れる言葉です。したがってクレーム対応や、取引先が不満を表している場面において使うことが予想されます。しかし過剰な表現と受け取られ、逆効果になる場合もあります。クレーム対応は相手の負の感情を受け止め、緩和する必要があります。言葉の選択は慎重に行いましょう。
類義語として「ごもっともです」や「おっしゃる通りです」という表現があり、これらの表現を選んだほうが自然である場合も多いでしょう。
- 「仰せの通りに、誠心誠意対応させていただきます。この度は申し訳ございませんでした。」
日常会話
日常の会話においては、「仰せの通り」はユーモラスな表現としても使われます。この言葉のもつ、古風で仰々しい印象を逆手に取り、フランクな相手に対してユーモアを交えた言い方になるでしょう。
以下は夫婦の間で使う際の例文です。
「仰せの通りに、カレーの材料を買いに行ってきたよ。」
「仰せの通り、今後は夜更かしを改善します。」
「仰せの通り」の敬語表現(さらに丁寧な表現)
「仰せの通り」はそれ自体が尊敬語を含む敬語表現です。二重敬語を防ぐためには、丁寧語もしくは謙譲語を添えましょう。
- 「仰せの通りでございます」
「ございます」は丁寧語であり、「仰せの通りです」よりも丁寧なニュアンスを伝えます。
- 「仰せの通りにいたします」
「いたします」は自身の動作を表す謙譲語であり、併せて使うことで相手の言葉に従い、同意して動くことを表せます。
「仰せの通り」の類語
「仰せの通り」にはいくつかの類語があります。相手の言葉への同意や肯定を示す言葉です。全く同じではなく、ニュアンスに違いがある場合もあります。
類語を覚えて、シーンによる使い分けを意識して行えるようにしましょう。
お察しの通り
「お察しの通り」あるいは「ご推察の通り」という表現は、相手の言葉を表す「仰せ」の代わりに、考えや推察を示す「お察し」「ご推察」という表現を使っています。
「仰せ」と同様、主語は相手方であり「あなたのお考え、推察はまさにその通りです」と相手の推察や考えたことに対しての同意と肯定を表す形です。
- 「この件に課題があるのは、お察しの通りです。」
ご指摘の通り
「ご指摘の通り」という表現も、同義語の一つです。
指摘とは、問題になる事柄を取り上げて指し示すことを意味します。「ご指摘の通り」は、相手の意見、第三者の意見のどちらに対しても使えますが、「ご指摘の通り」を使う場合はそれが自分側の課題や弱点を認めるニュアンスです。
- 「ご指摘の通り、こちらの案にはいくつかのデメリットも存在します。」
ご明察の通り
「ご明察の通り」という表現は、「仰せの通り」同様の使い方ができます。
「ご明察」の部分に相手の推量や考え方に対しての賞賛の意味が込められている点が、「仰せの通り」との違いです。「あなたの考えは大変に素晴らしいものです」というニュアンスを込めた上で同意を示すため、相手を立てながら言葉を受け入れる際に適した表現だといえます。
- 「ご明察の通り、この点がプロジェクトの焦点です。」
というように、相手を賞賛しつつ考えに同意するような使い方になります。
「仰せの通り」の意味や使い方を覚えておこう
「仰せの通り」は、相手への同意、肯定を示す言葉です。同時に、相手の言葉の正しさを認め、その言葉に従うというニュアンスが込められています。尊敬語としてはやや古風で仰々しい表現であり、使う相手や場面は慎重に選ぶことが必要です。
「仰せの通り」の意味や用法を正しく理解して、ビジネスシーンでのコミュニケーションなどに役立てましょう。