よく聞く言葉ではありますが「全然大丈夫です」は敬語としては正しい表現なのでしょうか。
「全然大丈夫です」という言葉は、誰もが一度は口にしたり、耳にしたりしたことがある言葉だといえます。 よく聞く言葉ではありますが「全然大丈夫です」は敬語としては正しい表現なのでしょうか。
この記事では「全然大丈夫です」の意味や使い方、ビジネスで使える敬語表現などを解説します。
「全然大丈夫です」の意味
「全然大丈夫です」は「全く問題がない」という意味です。
「全然」には「すべて」「すっかり」という意味があります。
「全然」に続く言葉には否定形が伴うべきといわれることもありますが、はっきりと言い切ることはできません。 一説には、昭和20年以降にかけて、全然には否定が伴うべきという言説が流布されたといわれています。そちらでは、昭和10年代においては、全然という言葉の半数は肯定表現に対しても使われていたとされています。
大辞林においても、元々は「すべて」という意味で利用されていた肯定表現にも使用できる単語だったが、次第に打ち消しを伴わなければならないと意識されるようになったと記載されている言葉です。
近年においては「全然」という言葉は「とても」や「断然」のように、強調の意味を持っているかのように使用されることがあります。
ただし「全然」を強調の意味で使うのは話し言葉の場合で、公式な文章では避けたほうが無難でしょう。
「全然大丈夫」は敬語として正しい? ビジネスシーンでも使える?
前述したように「全然+肯定」のかたちは誤用とは言い切れません。 ただし、違和感を覚える人も多いため、乱用には注意が必要です。なぜなら、現在は後ろに打ち消しを伴うものとして記載されることが一般的なためです。
また「全然大丈夫です」はくだけた表現であるため、ビジネスにおいては不向きだといえます。 特に上司や目上の人に対しての返答として使用する場合は、避けることが無難です。
ビジネスシーンでの使用は避けたほうが無難かもしれませんね。
「全然大丈夫です」の正しい敬語表現・言い換え表現
「全然大丈夫です」は、間違った言葉ではありません。 しかし、ビジネスシーンで使用できるような、正しい敬語表現だともいえないでしょう。
ここでは「全然大丈夫です」の敬語表現を解説します。 下記の表現を参考にして、正しい敬語を使えるようになりましょう。
全く問題ありません
「全く問題ありません」は「全然大丈夫です」という言葉と同じ意味の敬語です。
「全く」には「完全に」や「すべてにおいて」という意味があります。 「全く」を「全然」に言い換えることもできますが、口語的な印象があり人によっては違和感を覚えるかもしれません。
「問題ありません」とは「問題とすることがない」という意味です。 こちらも「大丈夫」に言い換えることはできますが「大丈夫」自体に敬語表現の意味はありません。 そのためビジネスシーンでは、避けることが無難でしょう。
全く支障ありません
「全く支障ありません」も「全然大丈夫です」の敬語表現として使用できるでしょう。
「支障」は「ものごとを遂行する際に妨げとなるもの」の意味です。 「支障」に「ありません」と丁寧な否定語を続けることで、丁寧な印象を与えられます。 ビジネスシーンで使用しても失礼な印象にはあたらない言葉だといえるでしょう。
全く差し支えありません
「全く差し支えありません」も「全然大丈夫です」の敬語表現として適切な言葉です。
「差し支え」とは「自分にとってなにか不都合なこと」を意味する言葉です。 そこに「ありません」と丁寧な否定語を合わせることで「全く不都合なことはありません」と言い換えられます。
こちらも、ビジネスシーンで使用して問題のない言葉でしょう。
「全然大丈夫です」の使い方・例文
ここからは「全然大丈夫です」の使い方と例文について紹介します。 「全然大丈夫です」は状況に応じては間違った言葉ではないため、正しい使い方をしましょう。 例文を参考にすると、会話で自然な言い回しができるでしょう。
明日納品で全然大丈夫です。
こちらの内容で全然大丈夫です。
休暇をいただきありがとうございました。体調はもう全然大丈夫です。
「全然大丈夫です」はビジネスでは正しい敬語表現に言い換えるのが吉
この記事では「全然大丈夫です」の意味や使い方について解説しました。
「全然大丈夫です」は間違った表現ではありませんが、人によっては違和感を覚える場合もあります。そのため、ビジネスやフォーマルな場面では、避けることが無難です。 上記で紹介した使い方を参考にして、正しい用法で「全然大丈夫です」を使用しましょう。