ファイルサイズに関することであれば、動きのある写真「Live Photos」は以前に比べ小さくなったというのは本当です。iPhone 6s/iOS 9のとき登場したこの撮影フォーマットは、iOS 11のとき仕様変更が行われたため、解像度などカメラ性能/撮影条件が同じだとしても、iOS 11以降で撮影したLive Photosのほうがファイルサイズは小さくなります。
その理由は、フォーマットの変更にあります。iOS 11以前、Live Photosの静止画部分はJPEGで、動画部分はMOV/H.264という構成でしたが、iOS 11以降は静止画部分はHEIF、動画部分はHEVCというより圧縮効率が高いものに変更されています。
HEIFは「コーデック」と総称されるソフトウェアの一種で、未処理のままでは容量が大きく扱いづらい静止画/動画をコンパクト化します。HEIFの圧縮率はJPEGの約2倍、同程度の画質を保ちつつJPEGの50〜60%程度のファイルサイズに収まることから、現在のiOSではカメラアプリの標準静止画フォーマットに位置付けられています。
動画部分に利用されるHEVCも、ファイルサイズを小さくする効果があります。H.264と比較して圧縮率は40%向上、画質を低下させることなくiOS 11以前のLive Photosより大幅にファイルサイズを縮小できます。
Live Photosの撮影にHEIFとHEVCが適用されるかどうかは、『設定』→「カメラ」→「フォーマット」の順に画面を開き、「高効率」が選択されていることで確認できます。iOS 16の初期設定では「高効率」が選択されていますが、「互換性優先」に変更するとiOS 11以前のJPEG/H.264の組み合わせが適用されるため、Live Photosのファイルサイズは数十パーセントほど大きくなります。