ビジネスシーンでよく見聞きする「お見知りおきください」という表現は、敬語として正しいのでしょうか。目上に使っても失礼にならないのか、気になりますよね。
今回は、「お見知りおきください」の意味や使い方・例文を紹介します。
「お見知りおきください」の意味は? 敬語として正しい?
「お見知りおきください」は、「知っておいてもらいたい」「記憶しておいてもらいたい」という意味です。今後、自身の顔や名前などを覚えておいてもらいたいと伝えるシーンで、「お見知りおきください」を使います。
「お見知りおきください」は敬語として正しいので、本来上司や取引先にも使用できる表現です。しかし、なかには「お見知りおきください」を「命令形だから失礼だ」と捉える人もいるようなので、「今後ともよろしくお願いいたします」といったシンプルな表現に言い換えた方が無難なのかもしれません。
「お見知りおきください」の使い方・例文
「お見知りおきください」を用いるシーンは、主に2つあります。 ここでは、シーンごとに「お見知りおきください」の使い方や例文をご紹介します。例文を通して、「お見知りおきください」の使い方を理解しましょう。
初対面の人に挨拶するとき
初対面の人に自己紹介をしたり名刺交換をしたりする場面で、「お見知りおきください」を使用することが多いです。
初対面の人に使用する際の例文は、以下のようなものが挙げられます。
- 「〇〇と申します。以後、お見知りおきください」
- 「4月に入社した〇〇です。お見知りおきくださると幸いです」
- 「来月より担当させていただく〇〇です。お見知りおきのほど、よろしくお願いいたします」
また、「お見知りおき」は「覚えておいてもらいたい」とお願いする表現であり、「覚えておきます」と返答する使い方はしない表現です。そのため、「お見知りおきいたします」のような言い回しは間違っています。
相手から「お見知りおきください」と挨拶された際は、「こちらこそ、よろしくお願いいたします」と返答するとよいでしょう。
第三者に人を紹介するとき
新しい担当者など第三者に人を紹介する際も、「お見知りおきください」の使用が可能です。また、複数人の前で人を紹介する際や不特定多数に向けて人を紹介する際にも、「お見知りおきください」を使用できます。
第三者に人を紹介する際の例文は、以下のようなものが挙げられます。
- 「今年配属になった〇〇です。御社を一緒に担当させていただきますので、お見知りください」
- 「営業部に新しく配属された〇〇さんです。以後、お見知りおきください」
「お見知りおきください」の類語・言い換え表現
「お見知りおきください」には、いくつかの類語・言い換え表現があります。 ここでは、「お見知りおきください」の類語・言い換え表現をご紹介します。それぞれの意味や「お見知りおきください」との違いを理解し、適切に使い分けましょう。
「お知りおきください」
「お知りおきください」も「お見知りおきください」同様、「覚えておいてほしい」「知っておいてほしい」という意味の言葉です。相手に覚えておいてほしいことを伝える際に使用します。
- 「明日外回りなので、電話に出られないことをお知りおきください」
- 「次の会議には他部署の方も参加されることをお知りおきください」
「お含みおきください」
「心に留めておいてください」という意味の「お含みおきください」は、メールやビジネス文書で使用される表現です。知っておいてほしいことを伝える際に使用します。
- 「明日は担当が不在のため、私が代わりに担当させていただくことをお含みおきください」
- 「明日から弊社は休暇となり、20日まで休業させていただきますことをお含みおきください」
「ご承知おきください」
「ご承知おきください」は事情や依頼などについて、知っておいてもらいたい、承諾しておいてもらいたいことを意味する表現です。また、事前に準備しておいてもらいたい場面や注意喚起をしたい場面でも使われます。
メール・口頭のどちらでもビジネスシーンでよく使われる表現です。
「ご承知おきください」は、以下のように使います。
- 「この案件の締め切りは◯月◯日の◯時であることをご承知おきください」
- 「明日、◯時頃から点検作業に入ることをご承知おきください」
「お会いできて光栄です」
「お会いできて光栄です」は、「お見知りおきください」と同様に初対面の人に対する丁寧な挨拶の場面で用いられる類語表現です。
使用する場面は似ていますが、「お見知りおきください」とは意味が異なります。「お会いできて光栄です」は、会えたことを誇りに思う、嬉しく思うことを意味する表現です。
「お会いできて光栄です」は、以下の例文のように使われます。
- 「〇〇様とお会いできて光栄です」
「お見知りおきください」を使用する際の注意点
「お見知りおきください」を用いる際には、注意したいポイントがあります。
「お見知りおきください」は丁寧な表現である一方で、受け取る側が一方的に感じる可能性がある点は考慮しておきたいポイントです。自分の上司や初対面で目上の方に挨拶する場面では「お見知りおきください」を用いず、「よろしくお願いいたします」と挨拶する方が無難な場合もあります。
また紹介する人が目上の立場にある場合も、「お見知りおきください」が失礼にあたるケースがあります。目上の人を他者に紹介する場面では「お見知りおきください」の言い回しは避け、同僚や部下を紹介する際に使うとよいでしょう。
「お見知りおきください」を使いこなそう
「お見知りおきください」の意味や例文などを解説しました。
「お見知りおきください」は、初対面の相手に対し、顔や名前など自分のことを知っておいてもらいたい、覚えておいてもらいたいことを伝える言葉です。自分を下げた丁寧な表現であり、正しく使えば挨拶をより丁寧なものにできます。
初対面の相手に対する挨拶は、ビジネスシーンにおいて非常に重要な場面です。「お見知りおきください」を正しく使用し、丁寧な挨拶ができる人を目指しましょう。