テレビ朝日系特番『緊急特報! 侍ジャパンWBC世界一の熱狂!』がきょう7日(19:00~)に放送される。
野球世界一決定戦『2023 ワールドベースボールクラシック』(以下WBC)決勝戦でアメリカを破り、第2回大会(09年)以来となる世界一奪還を成し遂げた侍ジャパン。同番組では、栗山英樹監督、解説として動向を見続けた古田敦也氏、松坂大輔氏をスタジオに迎えるだけではなく、選手・関係者32人の証言をもとに、2021年の監督就任の際の心境から、ダルビッシュ有(サンディエゴ・パドレス)が献身的にチームを支えた宮崎キャンプの様子、強化試合、開幕戦~決勝戦までの侍ジャパン全7試合を貴重映像とともに振り返り、3時間にわたって世界一の真実に迫っていく。
WBC優勝から約1か月、実は栗山監督も試合などを振り返るのは今回が初めて。「僕がやっていいのかな?」という心境だったこと、そして今でも「あの時、ああやっておけば良かったのかな」とふと感じることを明かす。甲斐拓也(福岡ソフトバンクホークス)が「ダルさん(ダルビッシュ有)の存在にたくさんの人が支えられた」と回想する宮崎合宿では、若手選手を熱心に指導するダルビッシュの言動に「彼のおかげで本当にやりやすくなった」と栗山監督が感謝の気持ちを述べる場面も。日本ハムファイターズ時代から6年ぶりに同じチームとして戦った大谷翔平(ロサンゼルス・エンゼルス)へ「『空気』で伝えた」というオファー方法、ラーズ・ヌートバー(セントルイス・カージナルス)との初対面時のキュンと来たエピソードやたっちゃんTシャツに込めた想い、吉田正尚(ボストン・レッドソックス)召集の際に「WBCは僕の夢」と熱い想いをぶつけられたエピソードなども語る。
栗山監督が「苦しかった」と胸の内を明かすのは全勝で終えた1次ラウンド。ヌートバーの大活躍、魔球“スイーパー”を駆使した大谷の快投などが印象に残るが、実は中国戦のあとヌートバーがふくらはぎに痛みを抱えていたことが発覚。交代を促した栗山監督とヌートバーが交わした熱い会話とは。さらに監督が苦悩したのが韓国戦での源田壮亮(埼玉西武ライオンズ)の右手小指の骨折。小指が外側に曲がり、ボールを投げることもままならない状況だった源田が、栗山監督に涙で伝えた想いも振り返る。
そして「違う戦いが始まる」という気持ちで挑んだ、負ければ終わりの準々決勝・イタリア戦。2度目となる先発マウンドを託された大谷は、気迫を前面に出した吠える投球を見せるも、ピンチに。栗山監督も「初めて」と語った大谷がマウンドで見せたある行動も話す。またこの日から、不調だった絶対的4番打者・村上宗隆(東京ヤクルトスワローズ)を5番に据え、吉田を4番に。これを決断した際、「勝つという確率を高める立場にあった」という当時の苦しい心境も語った。大谷、ダルビッシュの投手リレーや、大谷の意表を突くセーフティーバントも飛び出したイタリア戦。そしてアメリカにわたり、村上のヒットでサヨナラ勝ちを決めた準決勝・メキシコ戦の裏でもさまざまなドラマが。実は村上の打席の際に、城石憲之コーチとのやり取りで牧原大成(福岡ソフトバンクホークス)が大緊張!? 劇的なサヨナラ打は、実は栗山監督のある決断によって生まれたものだったという。
こうして、野球史に残る一戦となったアメリカとの決勝戦へと駒を進めた侍ジャパン。大谷vsマイク・トラウト(ロサンゼルス・エンゼルス)の勝負を、栗山監督はどのような気持ちで見つめていたのか。優勝シャンパンファイトの後に、栗山監督と大谷が交わした会話とは。また決勝戦の前のロッカールームで大谷が「今日だけはメジャーリーガーに憧れるのはやめましょう」と円陣で語ったが、この発言の裏には古田、松坂も驚いたまさかの出来事が。さらに栗山監督が侍ジャパンを招集した際に選手やスタッフに送った直筆の手紙も公開。「やってやろうという気持ちになった」(村上)、「ここまでしてくれるんだという思い」(岡本和真・読売ジャイアンツ)と、選手・スタッフたちの心をひとつにした、手紙がもたらした奇跡とは。
■栗山英樹監督 コメント
WBCの決勝戦から1カ月強が経ちましたが、その間、やはり一緒に戦った選手たちが各チームに戻り、ケガがないか、コンディションはどうか、元気でプレーできているのかが気になって仕方がありませんでした。例えばWBCとは直接関係のない理由であっても、戦線を離脱する選手がいるとすごく責任を感じてしまいますし、とにかく元気で活躍してほしいという思いが一番です。今回の収録で初めて、改めて侍ジャパンの全試合を振り返りましたが、感動するシーンがたくさんありましたし、あの時はああだったなと思い出す場面もいっぱいありました。もちろん、この時は難しかったなと反省することもありますが、古田さん、松坂さんもそうですが、過去に日の丸を背負って戦った人たちをはじめ、応援してくださったすべての皆さんが喜んでくださったので、本当に良かったなぁとしみじみ感じました。思い返してみても、収録中にも言いましたが、栗林(良吏)がチームを離れていく時や、骨折した源ちゃん(源田壮亮)が痛みに耐えて命がけでスリーバントしてくれたことが、すごく印象に残っています。ただやっぱり、準決勝での宗(村上宗隆)のサヨナラヒットや、決勝戦でダル(ダルビッシュ有)と(大谷)翔平が8回、9回を投げ切ったあのシーンというのは、一生忘れないでしょう。今日は選手たちが、それぞれの当時の想いを語ってくれていましたが、牧原(大成)の言葉には「悪かったなぁ……」と(笑)。プレッシャーをかけてしまっていましたね。
野球にはいろいろな考え方があります。僕が監督をやって、勝った結果が正しいと思ってほしくないんです。超一流のプレーヤーだった古田さんと松坂さんが今回の戦いをどう感じていたのかを知れたのも、僕にとっては大きな収穫でした。野球ファンや野球をやっている子どもたちからも大きな注目を集めていた今回のWBCですが、感動は薄れていくもの。この機会に、もう一度、いかにいろいろなドラマ、人が頑張れる要因がそこにあったのかを確認していただいて、皆さんに前に進んでいただければ、こんなに幸せなことはありません。また、子どもたちの野球への熱が高まったのであれば、最高です。そこも含めて選手たちには野球の伝道師として、背負ってもらっていましたから。やっている時は、もちろんその瞬間、瞬間は必死でしたが、今から7試合全部勝ちきれと言われると、けっこう大変なことだなと。そういう意味でも、選手たちは本当に良く頑張ってくれたなと、改めて痛感しているところです。