お笑いコンビ・南海キャンディーズのしずちゃんが、5月3日~15日に東京・銀座三越で初の個展「しずちゃんの、創造と破壊 展」を開催する。本作では、相方の山里亮太を描いた作品も展示されるが、しずちゃんは「山ちゃんの絵が一番得意です」と胸を張る。
■「知らず知らずのうちに気持ちが絵に現れることも」
絵を描くことによって、自身の悩みや負の感情を中和することができた経験から、「作品を見てくれた人にも同じように助けになってもらえたら」という思いのもとに、これまで多彩な作品を生み出してきたしずちゃん。同展では、絵を描き始めた頃の作品から、絵本の原画シリーズ、未発表の最新作まで約100点の作品が展示される。
「創造と破壊」というタイトルは、自身のYouTubeチャンネル「しずちゃんの創造と破壊チャンネル【南海キャンディーズ】」のタイトルから引っ張ってきた。
「YouTubeでそのタイトルをつけたときは、芸術家ぶっている感じがして恥ずかしくなって、個展の名前にもなるということで余計恥ずかしいなと思いますけど、みんなにチラシを見せたら『インパクトがあっていい』『このタイトルすごいね』と言ってもらえたので、堂々としておこうと思います」
自身の絵にそのときの心情が現れるというしずちゃんだが、常に気持ちを出そうと思って描いているわけではないそうだ。
「特に気持ち込めていないときもあります。普段はこの動物を描きたい、この虫を描きたいというのがメインで、それにどう色で遊んでいくか、その動物がどういう状態だったら面白いか、など考えて描いています」
それでも、「知らず知らずのうちに気持ちが絵に現れていることもある」と言い、コロナ禍でそれを感じたという。
「希望を持ってもらえる絵を描きたいと思って描いたのですが、それを見た山ちゃんが『気持ち悪い』って(笑)。かわいくポップに描いているつもりが、悩みのほうが強く出てしまったのかもしれません。明るい絵を描きたいと思って描いても状況によってはそうじゃなくなることもあるんだなと思いました」
■「誰よりも私は山ちゃんを描いています」
南海キャンディーズを描いた作品「南海」も展示される。これは、YouTubeでの企画として「大喜利の回答の絵を本気で描いたら面白くなる説」を検証した際に、「こんな南海キャンディーズは嫌だ」というお題の答えとして描いた作品だ。
「普通やったらすぐ描いて出すんですけど、めちゃくちゃ時間をかけて本格的に上手な絵を描いたらその分ウケも大きくなるのか検証しようという企画で描きました。『漫才をしていたらしずちゃんがストリートファイターIIのエドモンド本田みたいな攻撃をしてくる』という内容で、ややウケだったので、時間をかけて描いたからといって面白くなるわけではないのか、答えが面白くないだけなのか……という感じになりました(笑)」
そして、「誰よりも私は山ちゃんを描いています。趣味では描きたくないですけど、番組やイベントの大喜利などで絵で答えるときに、よく山ちゃんの絵をオチにしてきたので」と言うしずちゃん。
「山ちゃんの顔って、メガネと当時はおかっぱだったので、それさえ描けば。あと、ヒゲと汗を描いて、特徴的な唇を描いたら山ちゃんになる。山ちゃんの絵が一番得意です」と話した。
ただ、トレードマークであったおかっぱをかなり前に卒業し、おしゃれな髪型へとイメチェン。さわやかキャラへと変貌を遂げたが、しずちゃん的には「おかっぱに戻してほしい」そうだ。
「おかっぱ&メガネで山ちゃんになるので。でも髪型が変わってしまって、今おかっぱを描くと本人と違ってしまう。前は気持ち悪さを出そうと思ってヒゲや汗も描いていたけど、最近はこぎれいになって、そこも変わってきていて。普通の人みたいになってしまうのは残念なので、やっぱりおかっぱがいいです(笑)」
初日の3日には、しずちゃんと山里とのトークイベントも。しずちゃんは「仲良くなってきて私の家に遊びに来たこともあって、家にある絵を見たときに『心の闇を感じるね』とか『気持ち悪い絵だね』と言ってくれました」と笑いつつ、「どんな話をするかわかりませんが、絵について話せたら」と楽しみにしているようだった。
本名・山崎静代。お笑いコンビ・南海キャンディーズのボケ担当。「西中サーキット」「山崎二宮」などのお笑いコンビを経たのち、2003年に山里亮太と「南海キャンディーズ」を結成。「M-1グランプリ2004」で準優勝を果たし注目を集める。2004年「第25回ABCお笑い新人グランプリ」、2005年「第40回上方漫才大賞」では優秀新人賞を獲得した。2006年に出演した映画『フラガール』での演技が注目されたことで、女優としての活動も本格化させている。また、ボクシングでは、女子ミドル級の認定王者となる。趣味で描いていた絵画は、NHKのドキュメンタリー番組内で大きな絵を描く企画で敬愛する荒木飛呂彦先生から褒めてもらったことから本格的に作品制作に没頭する。絵本『すきすきどんどん』(2009)、『このおに』(2018)も発行。2023年には、初めてとなるエッセイを発行予定。