●ライブに朗読劇にゲームコーナーに……「楽しい!」をギュッと濃縮

『プリパラ』に登場するチーム・NonSugar(田中美海(真中のん役)、大森日雅(月川ちり役)、山下七海(太陽ペッパー役))による約2年ぶりの単独イベント「NonSugar 2nd EVENT『ノンスイートホットペッパーチリペッパー!』byプリパラ」が4月29日、J:COMホール八王子にて開催された。

本公演は、NonSugarらしくキュートで元気いっぱいなパフォーマンスを中心にしつつ、新曲や新衣装などふんだんに詰め込まれた嬉しいサプライズを通じて新たな一面も提示してくれた。本稿は、そのうち夜の部の模様をお届けする。

●刺激強め? な、ライブの”フルコース”で観客のハートを鷲掴み!

前回・2021年3月の1stイベント で交わされた”約束の日”を待ちわびた観客が3階席まで埋め尽くすなか、『プリティーシリーズ』のライブではおなじみの開演を告げるチャイムが鳴り響くと、「ノンストップ・ランナウェイ」をBGMに用いたOP映像流れるなかステージに3人が登場。

担当キャラに紐づいたポーズを決めると、いきなりのキラーチューン「スパイシー♪ホット*ケーキ!!!」で場内には大歓声が。その後も揃いに揃ったコールなどを通じて生の反響を受け止めながら、表情による表現も含めて、ノンシュガーらしいキュートかつ元気あふれるパフォーマンスを披露していく。続く「DAI!BOM!大冒険だいっ!!」では、3人が斜めのフォーメーションを取る1-Aメロで膝だけではなくぐっと上半身まで沈み込ませる山下のダンスに、ペッパーらしい思い切りや天真爛漫さが。

さらに、1stイベントの”無人島修行”の思い出の詰まった曲ということもあってか、2-Aメロで「しゃがみ込んでいじけるちり(大森)に手を差し伸べるのん(田中)と、自由にはしゃぐペッパー(山下)」という3人の関係性もパフォーマンスにバッチリ盛り込まれていく。

2曲歌唱して、この日最初のMCでは、「2年前(1stイベント)、『約束のてへペロピタですわ!』って約束してから、その約束を果たしに来れて本当に嬉しいです!」と大森がこの日を迎えられた感慨を言葉にすると、田中も冒頭からのすさまじい歓声について喜びつつ触れ、「(1stイベントの)”無人島修行”を経て、甘くない、むしろピリ辛な私たちをぜひ観てほしいです!」と意気込みを発していた。

そして一旦MCを締め、3人はステージから降壇。ボイスドラマの形でイベンドグッズを、ロゴに込められた思いや各グッズの意図を説明しながら紹介すると、衣装チェンジを済ませた3人が再登場。ここからは各メンバーのセンター曲の”フルコース”を届けていく。

傘をさしてステージに舞い戻った3人が、扇子を広げてポーズを決めてからまず歌うのは、ちりがメインを務める「三花三様、夢いろ花舞姫」。ダンサブルながらも和のテイスト強めに漂うこの曲を、扇子を用いた振付で麗しさも醸し出しながら魅せていく。

中でもやはりこの曲では、大森が決めポーズを取る際の表情が抜群に魅力的。頭の角度から目線の方向に至るまで、”ステージ上の自信満々のちり”らしさにあふれている。また、センターを取って「かしこまりなさいっ」のソロフレーズを歌うのに合わせて両隣の2人が頭を垂れるなど、ここでも息ピッタリに歌詞で描かれた光景やキャラクター性を具現化していった。その空気がガラッと変わるのが、続くペッパーのメイン曲「タッ・ピ~ロペ・サパンナ!」。

例えばサビ冒頭では、片脚ずつ外に蹴り出してからの小ジャンプといったテクニカルな要素も含む曲ではあるのだが、それを感じさせない元気ハツラツなステージングにおてんばさやかわいげを乗せて、会場のボルテージを上げていく。そしてここで、この日最初のサプライズ! 2サビ明けに3人揃って客席通路へと降りると、目の前の観客とともに”ウホウホダンス”で一緒に楽しみ尽くしていく。目の前のNonSugarと一緒に踊り声を上げる観客の、誰もがとびっきりの笑顔をみせていた。

そしてのんのメイン曲「ノンピリオド」は、のんらしいデジタルなダンス・ポップという要素を生かす、軽快なステップを織り交ぜて魅せる曲としての披露。サビで3人が横一線になってから、ゆっくり腕を下ろして隣のメンバーの腰を持ったりと連動して魅せていく振付ではチームワークのよさを感じさせる一方で、センターや3人の先頭に立つようなポジションについたときには質高く愛嬌も持ったぐいっと視線を惹きつける引力をもったパフォーマンスをみせていく。

この「出会っちゃったよノンシュガー」のフレーズで締めくくられるこの曲に続き”デザート”として振る舞われたのが、チームはじまりの曲「シュガーレス×フレンド」というのもなんとも美しい。披露される機会の多さもあってか、田中のBメロでのステップの軽快さや、配信用カメラや観客へのアピールなど狙った対象を逃さず魅了していく大森の的確な魅せ方など各々のパフォーマンスも堂に入ったもの。

曲中のじゃんけんやメンバー名のコールなども、大事な要素のひとつとして久々にライブ会場で楽曲を彩っていけば、それに触発されてか大サビでは山下の腕振り等の振付が一段と大きく躍動していった。大歓声に触発されたのは山下だけではなさそうで、曲明けには大森も自身の尋常じゃない量の汗に思わず笑いが。もしかしたら、歓声によって無意識的にパフォーマンスが引き出された部分があったのかもしれない……などと勝手ながら感じさせられた一幕だった。

また衣装チェンジ後の4曲をそれぞれ振り返るなかでは、前述した「ノンピリオド」から「シュガーレス×フレンド」への繋がりに触れた際に、田中がのんの気持ちになって少々胸を熱くするような場面も。

●ライブ以外のコーナーから繋がる、超ド級のサプライズ楽曲!

そんななか、一旦ステージを降りていた山下がペッパーとして「こっちにすっごくいいものがあるぞ!」と舞台袖から2人を呼び、全員でマイクスタンドをステージへと運んで朗読劇パートへ。SoLaMi♡SMILEの研究をした昼の部に続いて、夜の部はDressingPaféを研究。

メンバーの東堂シオン(CV:山北早紀)を参考に”賢いNonSugar”を目指してお互いのイメージを四字熟語で言い合ってみたり、ドロシー・ウェスト(CV:澁谷梓希)とレオナ・ウェスト(CV:若井友希)の屋台にちなんで自分たちの屋台メニューを考案したりと、それぞれの特徴を話題にした脱線トークのようなところで盛り上がっていく。

そんな”ゴッドアイドル”の研究に続けて歌われたのは、なんとSoLaMiDressingの6人による「Growin’ Jewel!」のサプライズカバー! NonSugar結成回のダイジェスト映像をバックに背負いながら、じんわりと心を暖めてくれるような曲を大事に歌っていく3人。

1サビ明け、セリフを通じてファンへ感謝の思いを伝えていくメンバーを他の2人が顔ごと向けて見守りながら聞く光景には、キャラクターとしてもキャスト同士としても素敵な関係性が垣間見える。そして大サビでは3人の腕振りに合わせて客席の3色の輝きが一緒に揺れ、優しくて温かな空気に場内は包まれる。ラストの「かしこま!プリパラ!!」のフレーズはもちろん、原曲で担当した真中らぁら(CV:茜屋日海夏)の妹・のんとして田中が担当。このパート割がまた、ぐっとくる。曲明けには田中自身も「流れが完璧すぎて……」と涙が伝うジェスチャーで、感動をあらわにしていた。

さて、ここからはゲームコーナー”プリ付け選手権”。「NonSugarはみんなの予想を超えていかなければいけないのでは?」という朗読劇での3人の思いを生かし、事前に『プリパラ』公式サイトで行なったアンケートでの予想とは違った結果を出そう……というチャレンジだ。

夜の部ではちりの「かしこまりな”さー”い!」を長く伸ばす”ロングブレス選手権”や、ペッパーの愛情表現「ペロピタ!」にちなんで10秒間の”ペロピタボタン”の連打回数を競う”超高速ペロピタ選手権!”が開催。いずれの競技も全員がリハーサルから記録を伸ばし、なおかつ見事に予想順位を裏切ってみせた。

●高いスキルが可能にした”オトナなNonSugar”の姿

ゲームコーナーが終わったところで、またもやキラキラした何かを見つけたペッパーに導かれる形で3人ともステージから降壇。今度は”ドレスデザイン”を発見したNonSugarのボイスドラマが展開され、ライバルチームや今までの自分たちのコーデの長所を参考にしつつ、新しいチームコーデを制作していく。

そして早速そのコーデへとチェンジした3人がステージに登場すると、新衣装での1曲目として新曲「NonSugar × Age」を初披露! 従来のNonSugar楽曲よりも少々クールめでオトナなダンスナンバーを、今まで培ってきたダンススキルを生かしてスタイリッシュに魅せていく。ただ整理されているだけではなく、楽曲後半のサビでの腕振りのスピード感など、一つひとつの動きのメリハリも非常に良好だ。

しかも2-Aメロで3人ともステージ上の階段に腰掛けて歌う部分では、座り方や歌いながらの手の這わせ方などで、一歩オトナになったNonSugarを表現してみせる。ちなみに新衣装も楽曲イメージ同様、従来よりも少々クールな印象を与えるもの。そのうえで、全員の衣装に共通して盛り込まれた黒のドットには、しっかりとNonSugarらしさが残っていた。

さらに今度は、待望の初披露楽曲「トレジャー♪マイ*ランド!!!」。3人縦になっての反時計回りのロールダンスから始まるこの曲では、NonSugarならではの早歩きのような振付に加え、クロールや背泳ぎするような振付も織り交ぜられており、振付の面にも冒険感が。また、落ちサビ前には3人が2階ステージで客席に背を向けて座ると、スクリーンには夕日が沈む映像が。歌詞どおり身体を寄せ合いながら夕日を眺める刹那の瞬間もまた、3人の無人島修行を連想する非常にエモーショナルなシーンだった。

続く「かりすま~とGIRL☆Yeah!」のNonSugarバージョンは、やはり元々のんが一人三役を務めていたユニット・TRiANGLEの楽曲ということもあってか、センターを取ってからの田中にとんでもない”最強感”が。もちろん大森・山下も担当アイドルらしさのあふれる、アイドルがそのまま乗り移ったようなパフォーマンスを見せ続ける。そのパフォーマンスが、ここに来ての「リザーブ・ザ・リバース!」で観客のボルテージを再度急上昇させていく。

サビでの、跳ね上げた片足の内側をポンとタッチする振付など難しい場面も難しさを感じさせずに軽快に魅せつつ、NonSugarはとにかく跳ねて、腕を振って、笑顔を振りまいていった。また、披露楽曲についてのトークでは、初披露曲「トレジャー♪マイ*ランド!!!」について山下が「NonSugarの曲の中で一番体力を使うけど、大変な曲も声援ですごく頑張れるなって久しぶりに実感してます!」と正直な思いとともにファンへの感謝を伝えていた。

●“約束の日”に、新たに結んだ次の”約束”

そして『アイドルランドプリパラ』の第4話~第7話のダイジェスト映像や、その第7話がNonSugarのお当番回になるなどの様々なお知らせを挟み、イベントは終盤へ。

ここで3人がそれぞれこのイベントや今のNonSugarへの思いなどを込めたメッセージを、「これだけの時間をNonSugarだけで埋め尽くせたことが夢のようで! 合同ライブでは得られない、NonSugarが好きな子だけを集めたこの会場が本当に嬉しくて、今日しか得られない思い出をたくさん味わうことができました!(山下)」。「私たち自身ものん・ちり・ペッパーとお互い支え合って成長してきたことを改めて実感できました。これからもこの宝物のような友情を大切に、『プリパラ』の輪をいつまでも広げていきたい! 今日みたいにびっくりさせちゃうことをやっていきたいです。また絶対にお会いしましょう!(大森)」。「皆さんの応援があって、私たちはこのステージに立っているんだなとひしひしと感じています。それに何よりもNonSugarとしてユニットを組んで、こんな仲間に出会えたっていうことが、奇跡! この2人がいなかったら、私はここに立てていなかったと思います!(田中)」、といった言葉に乗せて発信。田中の挨拶中には、メンバーの胸に熱いものがこみ上げる場面も。

そうして言葉に思いを乗せたところで、ライブは「カワイイ・ノンシュジェニック!!!」からラストスパートへ! キュートさやダンスのテクニカルさなど他の曲と共通する見せどころも多々あるこの曲だが、サビ前のハモなど歌の面でも挑戦が散りばめられてもいる。そう、今回ぐっとオトナな姿を見せるに至るまでの兆しは、実はもうこの曲に詰め込まれていたのだ。

また、イントロ中の山下やポジションが入れ替わってからの大森は、上手側足元の配信カメラへ時折思いっきりアピール。会場だけでなく配信での参加者へも意識を配って巻き込んでいたのも、この”イベント”をトータルとして盛り上げるためのファインプレーだったのではないだろうか。そしてこの曲でもサプライズ! 2サビ明け、曲中のセリフ部分を活用して、自撮り棒を使って観客と記念撮影を敢行。歌詞中の「#NonSugar」というフレーズや振付中の指で作る「#」、さらには楽曲タイトルにちなんだ演出とともに、3人とファンとの間に楽しい思い出がまた一つ増えた。

そしてライブを締めくくったのは、二度目の「スパイシー♪ホット*ケーキ!!!」。イントロ中に3人が”骨付きスパイシーチキン”のぬいぐるみを観客へと投げてプレゼントしたかと思えば、それで打ち止めにはならず、山下が台車に乗った山盛りのスパイシーチキンをステージセンターへと運び入れてサプライズプレゼントをしながらの歌唱に! 感謝の気持ちを込めたファンへのお返しで会場の空気をMAXにアッチッチ! にしたところで、NonSugar二度目の単独イベントは幕。最後に3人が手繋ぎ礼をした際、頭を下げたあとぐっぐっぐっと力を込めて腕を揺すった姿からは、達成感や「絶対またやろうね!」など、様々な思いが入り混じっていたように感じられた。

3人がステージを降りると、『プリパラ』『キラッとプリ☆チャン』『ワッチャプリマジ!』それぞれの単独ライブイベントの開催が発表!『キラッとプリ☆チャン』は7月15日(土)、『プリパラ』『ワッチャプリマジ!』はともに9月の開催を予定しているとのことなので、続報を期待して待とう。

コロナ禍を経て、マスク着用以外はほぼほぼ普段の形に戻すことができて開催された今回のイベント。オトナ感の出た姿もみせつつ、ラストはやっぱりNonSugarらしさも健在!という姿を通じて、”変化”ではなく”拡張”を感じさせてくれた。次彼女たちに会えるときは、その表現にどんな彩りが加わっているだろうか。「また絶対にお会いしましょう!」の新しい約束が果たされる日を心待ちにしながら、まだまだ続く『プリティーシリーズ』の歴史を追いかけていきたいものだ。

●“NonSugar 2nd EVENT「ノンスイートホットペッパーチリペッパー!」byプリパラ”夜公演
2023.04.29@J:COMホール八王子
【SET LIST】
M01. スパイシー♪ホット*ケーキ!!!
M02. DAI!BOM!大冒険だいっ!!
M03. 三花三様、夢いろ花舞姫
M04. タッ・ピ~ロペ・サパンナ!
M05. ノンピリオド
M06. シュガーレス×フレンド
M07. Growin’ Jewel!
M08. NonSugar × Age
M09. トレジャー♪マイ*ランド!!!
M10. かりすま~とGIRL☆Yeah!
M11. リザーブ・ザ・リバース!
M12. カワイイ・ノンシュジェニック!!!
M13. スパイシー♪ホット*ケーキ!!!