連続テレビ小説『らんまん』(NHK総合 毎週月~土曜8:00~※土曜は1週間の振り返りほか)で、神木隆之介演じる主人公・槙野万太郎の姉・綾役を好演している佐久間由衣。第3週以降、綾のほのかな恋模様も描かれてきたが、佐久間はどんな思いを胸に演じていったのか? また、祖母・タキ役を演じる松坂慶子と共演した感想についても話を聞いた。
高知県出身の植物学者・牧野富太郎をモデルにした本作では、幕末から明治、大正、昭和と激動の時代に、植物を愛し、その研究に情熱を注いでいく主人公・槙野万太郎とその妻・寿恵子(浜辺美波)の波乱万丈な生涯を描く。東京から佐川に戻った万太郎は、植物学の道をきっぱり諦めようとする一方で、綾は禁じられた酒造りへの夢を諦められずにいる。そんな万太郎の本心を察した祖母のタキは、万太郎に綾と夫婦になるよう言い渡す。実は万太郎と綾は血のつながった姉弟ではなかったのだ。
「『らんまん』は、万太郎が植物学の道を突き進んでいくという物語が軸となっていますが、綾としては酒作りにどう関わっていけるのかという物語も描かれていきます。酒作りに対する思いをより強くしたきっかけが恋愛みたいな体験で、それがきっと綾という1人の人間としての成長にも繋がったのかなと思います」
また、綾が育ての親であるタキに、自身の思いを伝えるシーンも、佐久間の見せ場となった。松坂について佐久間は「今回初めてご一緒させていただきましたが、毎回現場で貴重な経験をさせていただいています。ご本人自身はとてもチャーミングな方で、普段お話される声もずっと微笑んでいらっしゃるようなかわいらしさがあるのですが、いざタキさんとなると、とても力強くて。今回“はちきん”(高知の方言で気の強い女性)と呼ばれる高知の人に切り替わる瞬間を間近で見させていただいています」と心からリスペクトする。
しっかり者である綾についても「タキさんみたいな女性に育ててもらったことで、綾もきっと影響を受けている部分はあると思います。今後も綾が歳を重ねていくから、松坂さんが演じるタキさんを追いかけ続けていくんだろうなと。綾にとっては憧れというか象徴みたいな存在だと思います。また、おこがましいのですが、私自身も松坂さんを追いかけるというか、しがみついていくような感覚で演じています」と述懐。
家業である酒造りに対して、ただならぬ情熱を持っている綾だが、蔵は女人禁制とされている。植物学者という夢を抱く万太郎はもとより、綾が今後どういう人生を歩んでいくのかも大いに気になるところだ。本作では自由民権運動についても描かれており、人生において自由を追い求めていくことは、いつの時代にも通じるメッセージといえそうだ。
佐久間自身も「作品を通して、私も自由について考えることが増えました」と明かし、「自由と言っても、やはり好きなことをただやればいいということではないのかなと。作品の中で、万太郎が『自由って何?』と言う台詞がある通り、私もいまだに自問自答を繰り返しているテーマでもあります。だからぜひ多くの方に『らんまん』を見ていただきたいです」と語っていた。
1995年3月10日生まれ、神奈川県出身。2013年、『ViVi』専属モデルオーディションでグランプリに輝く(2017年卒業)。主演映画『隠れビッチやってました。』(19)では東京国際映画祭にて東京ジェムストーン賞を受賞。主な出演ドラマは、連続テレビ小説『ひよっこ』(17)、『彼女はキレイだった』(21)、『最愛』(21)など。主演映画は『“隠れビッチ”やってました。』(19)、『君は永遠にそいつらより若い』(21)など。
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