ようやくこの日が来た。筆者のメインスマートフォンはiPhoneで、Androidデバイスの使用頻度は低い。Windows 11のスマートフォン連携機能(Phone Link)の恩恵を受ける場面もほぼ皆無だった。だが、Microsoftは現地時間2023年4月26日の公式ブログにおいて、Phone LinkのiOSサポートがGA(一般提供)に達したことを明らかにした。
この流れは目新しいものではない。Microsoftは約2カ月前の現地時間2023年2月28日に公式ブログでWindows 11 Insider PreviewによるPhone linkのiOSサポートを表明している。この機能は85言語39市場で段階的に展開し、2023年11月中旬までに終える予定だ。
現段階でサポートする機能は、通話、メッセージ、連絡先へのアクセス機能。iPhoneで撮影した写真や動画はiCloud経由で参照するアプローチは変わらないようだ。使用感はまだ判断できないが、iPhoneの使い方しだいでは有用だろう。ただ、メッセージングはサードパーティー製アプリ、連絡先は参照せず、電話は年に1回使うかどうか――という筆者にとって、Phone Linkに利便性を感じる場面は多くなさそうだ。ひとつ、iPhoneに届いた各アプリの通知をWindows 11で確認できる点は期待している。
そして先週はPhone Link以外にも大きな発表があった。Windows 10がモダンライフサイクルに従って2025年10月14日にサポート終了し、Windows 10 バージョン22H2が最終バージョンとなる。
機能的な更新が止まるのは構わないが、セキュリティホールの修正が止まるのは問題だ。現在筆者はWindows 10 PCを録画サーバー兼地震速報通知、環境音楽再生に利用しているが、Windows 12の風聞が流れていることを踏まえると、開発者向けイベントのBuild 2023、ITプロフェッショナル・経営層向けイベントのIgnite 2023における新しい話題を待つのが得策だろう。
公式ブログではWindows 11 LTSCについても言及しているが、企業向けエディションなので、ここでは掘り下げない。とはいえ、Windows 11の改善スピードに疑問の声が上がっている現状、Windows 10の終了は時期尚早に感じる。もちろん10年間のサポート期間は十分だし、Microsoftの努力は称賛されるべきだと思う。
筆者がWindowsを生業にしていなかったら、メインOSをWindows 10からWindows 11に切り替えなかった可能性がある。Windows 11を使ってみるとスナップレイアウトは便利だし、Windowsスポットライトによる日替わり背景画像には癒やされるものの、例えばMicrosoftが注力するセキュリティ強化などは、筆者のような素人レベルで肌身に感じる場面は少ない。十分なセキュリティ対策を講じれば、Windows 10は現役のOSである。Windows 11を横目に見ながらWindows 10を使い続けているユーザーも少なくないはずだ。
Windows 11からモダンライフサイクルの表記は曖昧になり、おそらく2031年にサポート終了を迎えると思われるが、Microsoftは明言していない。思うに、Microsoftのコンシューマー戦略も明確ではなく、市場状況に応じた柔軟な対応を取るつもりなのだろう。以前に出席した日本マイクロソフトのWindows系発表会では、Windows 11のサポート期間に関する質問に対して歯切れが悪い姿が印象に残っている。そのタイミングでは米国本社から指針がなく、担当者に断言できるだけの材料がなかったのだろう。
OSはソフトウェアだからバグやセキュリティホールが見つかるのは仕方ない。その一方で、OSは安定性が最大の価値だと筆者は考える。Windows 11は筆者の個人的な要望を満たすOSとは言えないが、毎月の品質更新プログラムで一歩一歩、改善や拡張を施してきている。ただ、周りから推奨OSは? と聞かれれば、Windows 10と答える筆者もいる。この状況を覆す取り組みをMicrosoftに期待したい。