ReBitは4月24日、「学校における性的指向・性自認に係る取り組み及び対応状況調査」の結果を発表した。調査は2022年6月1日〜2023年3月31日、ReBitの出張授業先の学校や行政等の教職員1,517名、および小学校高学年~大学生1万2,162名を対象に行われた。
教職員に対し、「教職員がLGBTQについて知ることは重要だと思いますか?」と質問したところ、99.9%が「重要である」と回答。しかしながら、教員養成課程で学んだ経験がある教職員はわずか13.0%と、教員になる前に学ぶ機会が不足していることが明らかに。
また、小学校教職員の97.9%が「小学校までにLGBTQについて教え始める必要がある」と回答するも、実際に授業でLGBTQについて「教えた経験がある」小学校教職員は僅か31.0%と、実情は理想に追いついていないよう。
教員研修で学んだ経験がある教職員群と、ない教職員群とを比較すると、学んだ経験がある教職員群の方が、「性の多様性について教える力・環境を整える力・相談対応をする力」が高いことが判明。「授業でLGBTQについて教えた経験」については31.2ポイント、「性の多様性を尊重しない言動に気づいた際に対応した経験」は21.9ポイント、「カミングアウトやLGBTQに関する相談を受けた経験」は15.5ポイント高かった。
続いて、「過去3年で勤務校の子どもたちによる、性の多様性を尊重しない言動を見聞きしたことがあるか?」と質問したところ、教職員の68.3%が「ある」と回答。特に『「もっと女らしく」「男子は〇〇すべき」等、性別を理由に理想的な行動を示すような言動』(52.5%)が多いよう。一方で、30.8%の教職員が、それらの言動に対し「何も対応をしなかった」ことが明らかに。
さらに、「児童生徒からのカミングアウトやLGBTQに関わる相談を受けた経験がある」教職員は僅か26.1%。そのうち「適切に対応・支援できたと思う」と回答した教職員は18.6%で、教職員に相談しづらい環境があるとともに、相談をしても適切な支援ができていない現状が浮き彫りとなった。
次に、子どもたちに対して聴取を行ったところ、小学生63.2%、中学生77.6%、高校生81.0%が、日常のなかで「性の多様性を尊重しない言動を見聞きしたことがある」と回答。主に、「テレビ・映画・動画(Youtube含む)」で見聞きする子が多かったほか、「先生や保護者など周りの大人から」見聞きしている子も3割程度いることが明らかに。周囲の大人たちの無理解や偏見が子どもたちにも伝わっているよう。
一方で、「今回の授業までLGBTQや性的マイノリティという言葉を知らなかった」小学生は63.1%、中学生は41.6%。子どもの多くが、性の多様性を尊重しない情報に日常的に接していることを踏まえると、学校で適切な情報を届けることは、差別・偏見を減らし、自己受容や他者理解を促進する上でも大切であると考えられる結果となった。
続いて、「友人や周囲の人からLGBTQであるとカミングアウトを受けたり、LGBTQや性のあり方に関して相談された経験」について聞いたところ、小学生4.4%(22.7人に1人)、中学生8.8%(11.4人に1人)、高校生10.9%(9.2人に1人)が「ある」と回答。
一方で、小学生の89.6%、中学生の84.8%、高校生の84.6%は、身近でLGBTQや性の多様性のことを相談できる場所や人を「知らない」と回答。LGBTQの子どもへ対応することだけでは十分ではなく、カミングアウトを受ける可能性がある全ての子どもたちが、性の多様性について学べる環境と、安心して相談できる場所・人の存在が重要であるものの、現在、その体制や情報提供は十分でないことがうかがえた。