リユース事業者向けの相場検索ツール「Smapra」を提供するリスマは4月26日、2022年度のフリマアプリ市場における中古スマートフォン取引実績調査レポートを公表した。
このレポートは、2022年4月1日~2023年3月31日の期間、フリマアプリ4社(メルカリ、ヤフオク!、ラクマ、ムスビー)で成約済みの商品を「Smapra」で分析した結果に基づく。
フリマアプリ4社を合計した成約件数ベースのOSシェア率は、iOSが59.8%(39.6万台)、Androidが40.2%(26.6万台)で、流通金額ベースで算出した場合のOSシェア率は、iOSが72.6%(約152.0億円)、Androidが27.4%(57.4億円)であった。
国内新品市場ではiOSシェア率は44.9%、Androidシェア率55.1%とAndroidのほうが高い(2022年12月時点)ことから、フリマアプリにおいてはiOSはAndroidに比べてリユースされやすい傾向にあると同社はみている。
成約件数ベースで最もiOSの割合が高いマーケットプレイスは「ムスビー」で、シェア率は73.8%。一方、最もiOS端末の比率が低かったのはヤフオク!で57.0%となった。成約金額ベースではラクマ(75.2%)が最も高く、ヤフオク!(70.6%)が最も低い。ヤフオク!は成約件数と流通金額の双方でiOS比率が最も低かった。
フリマアプリ4社において、2022年度に最も成約件数の多いモデルは「iPhone 8」で48,037台。Smapraが推計したフリマアプリ4社での流通金額は約6億7,550万円で、単価は14,063円であった。
また、「iPhone SE 第2世代」(35,064台)、「iPhone 7」(34,225台)、「iPhone SE 第3世代」(27,854台)もフリマアプリ市場で支持を集めた。なお、Androidで最も人気のモデルは「OPPO Reno5 A」で、8,869台が成約。推計流通金額は1億9433万円、単価は21,911円であった。
また、フリマアプリ4社を合算した主要ブランドごとの成約件数・流通金額は、下図のとおりであった。
2022年2月と2023年2月におけるフリマアプリ4社を合算した成約件数を比較すると、前年同月比で6,004件増の49,894件で、安価な中古スマホは「節約志向」の消費者に対する受け皿として機能していると同社はみている。なお、フリマアプリ4社を合算した月次の成約件数は5万件程度で推移し、2022年度で最も成約の多い月は10月(64,908件)、最も少ない月は4月(36,717件)となった。
一方で、2022年3月と2023年3月の成約件数を比較すると、昨対比18,411件の減少となった。これは「一括1円」などの大幅な値下げ販売が行われなくなったことによる影響と同社は推測する。
2022年3月に流通が目立ったiPhone 12やiPhone SEの第2世代は、「一括1円」販売などの過剰な廉価販売が散見された一方で、2023年3月は最も流通したのがiPhone 8の3,886台で、2022年と異なる様相を見せた。
2022年までは、型落ちとなった1世代前のモデルが「一括1円」など大幅な割引価格で販売されるケースが見られ、ほぼ未使用の状態で二次流通市場に流れ込んでいた。こうした「転売」の温床とも言える状況に対し、公正取引委員会が2023年2月に是正を求めたことから各キャリアが「一括1円」販売を抑止。これにより、二次流通市場では健全化の動きが見られ、「iPhone 8」などの発売から数年経った機種が流通の主軸となり、成約件数は1.8万件減少した。
フリマアプリ4社ごとのシェア率では、メルカリが成約件数・流通金額ともに最多となり、合計成約件数66.1万件のうち、メルカリは55.2%の36.5万件であった。Smapra推計の流通金額ベースでは、総計約209.4億円のうち、メルカリが50.9%の106.5億円とほぼ半分のシェアを握っているという。
商品単価が最も低いのはヤフオク!で28,854円。価格がせり上がっていくオークション形式を採用していることが影響しているものと同社は見ている。メルカリは29,160円で、ムスビーは比較的高い33,563円であった。
注目すべきはラクマで単価は50,344円。これは、ラクマの手数料が最安(商品売価の6%)であり、高単価のスマホが出品されやすいためと同社は推測。たとえばiPhone 8の場合、フリマアプリ4社のなかでラクマの成約件数は3,328件、シェア率は6.9%にとどまる一方、iPhone 14Pro Maxではそれぞれ1,795件、52.5%と、過半数を占めた。
他にも、ラクマには高単価スマホが集まりやすい土壌があり、同社は「ラクマ公式中古スマホショップ」を運営しリユース事業者による出品を拡大したことで、状態のよい端末を、事業者の相場で供給する動きが広まったと見られるほか、楽天ポイントを使用できるためなど、サービスが高価格商品に有利になるよう設計されているという。
昨年、スマートフォンは稀な「相場の上昇」が見られた。円安に伴いアップルが2022年7月1日から本体価格を大幅に値上げしたことが要因だという。フリマアプリにおいては、2022年3月のiPhone 13(128GB Aランク)が87,000円で、2023年3月は9万円と昨年度から値上がりした。
リユース業界における中古スマホは、フリマアプリでの法人販売機会の増加や売却を前提とした消費生活の定着を受け、普及が進んでおり、リユース業界の専門メディア「リサイクル通信」の発行する「リユース市場データブック2022」では「携帯・スマホ」の中古市場規模を590億円(2021年)と推計。当社調査では、このうちのおよそ35%がフリマアプリで流通しているものと同社はみている。リユース業界におけるフリマアプリの存在感は大きい一方で、新品のおよそ2%しかフリマアプリで流通していないということだ。