『ピクミンブルーム(Pikmin Bloom)』のチケット制リアルイベント「Pikmin Bloom Tour 2023:札幌」が4月23日に札幌市内で行われました。
『ピクミンブルーム』のゲーム内容をざっくり紹介
『ピクミンブルーム』を知らない人のためにざっとゲームの説明をすると、同タイトルはNianticと任天堂が共同開発し、2021年に配信された位置情報ゲームです。任天堂が展開する「ピクミン」シリーズを題材としており、プレイヤーと共にピクミンが歩きます。オリジナルと異なり、ピクミンは死にません。ピクミンを成長させつつ街を花で埋めるという、ほのぼのとした内容です。
ピクミンは、動物のような、植物のような、小さくて不思議な生き物。『ピクミンブルーム』の世界でピクミンは、苗の形で眠っていいるので、「プランターパック」に入れて歩き、成長させます。ピクミンには赤青黄白黒桃紫の7種類が存在し、それぞれ特徴があります。
ピクミンを育てるにはエキスを与える必要があります。エキスによってピクミンに異なる花が咲き、そして花びらを得られます。この花びらを使って、ピクミンと一緒に歩きながら花植えをすると、マップ上にあるビッグフラワーが育ち、大きな花が咲きます。咲いてから1時間のビッグフラワーに花植えをすると、花に応じたフルーツが得られ、フルーツからはエキスが得られます。
また、『ポケモンGO』のジムに相当する協力バトル要素「キノコチャレンジ」も搭載。ピクミンを派遣すると、キノコを壊してくれます。メンバーが投入したピクミンのおしごと力と攻撃時間に応じて報酬のフルーツが4段階で得られます。基本5名まで参加できますが、キノコおかわりチケットアイテムを使えば最大20名まで参加できます。
オリジナルのピクミンと大きく異なるのが、苗のあった場所に紐づいたデコレーション要素です。一定のレベルになるとピクミンは「おつかい」ができるようになります。生まれ故郷に戻ってプレゼントボックスを持って帰り、故郷に合わせた仮装をします。これがメチャカワイイ! スタジアム、テーマパーク、切符には、固有名詞が入ります。特にテーマパークや切符の苗が出ると、旅行の記念にもなるでしょう。ピクミンに咲く花も、基本のガーベラ以外に月ごとのレア花が用意されています。4月の花はチューリップと今年追加されたネモフィラです。
初の抽選制リアルイベントは桜満開の札幌で
日本での『ピクミンブルーム』リアルイベントは今回の「Pikmin Bloom Tour 2023:札幌」で2回目。2022年6月25日に神宮外苑で行われた1回目のイベントでは、本来全員に配布されるはずだったピクミンデザインのサンバイザーとポストカードが長蛇の列(と気温の高さ)で早々に配布中止になりました。筆者は昼過ぎに行ったので行列とは無関係でしたが、それでも神宮外苑は十二分に「人多すぎ」状態でした。
とはいえ、「Pikmin Bloom Tours」の名を冠するイベントは今回が初めて。2022年6月の神宮外苑と2023年3月に台北で行われたのは、コミュニティ・デイの一環としてのイベントでしたが、今回はコミュニティ・デイとは別のお題が用意されました。
イベント発表は20日前の4月3日。『ピクミンブルーム』アプリから申し込む事前抽選制です。当選人数は非公表ですが、受付の様子で判断する限り、参加者は1,000~2,000名程度という感じでした(受付の数百名待機できる列がいっぱいになったのは10時の開始時点のみだったようです)。
今回はイベント開始前にお題のマップが公開されました。前日に検証したところすべてビッグフラワーが咲く場所ではなく、探知機で苗が出てくるスペシャルスポット扱いでした。
札幌市内観光としてはそれなりのチョイスですし、すべて回っても大体2時間程度を想定いるように思えます。普段ゲームをしている視点では「え? 札幌テレビ塔ってテーマパーク扱いなの? ロケーション的にすごく便利」というイメージでした。
一部のスペシャルスポットは今回のイベントのために用意されたものという感じで、札幌テレビ塔の周りで探知機を動かしてもテーマパークが出てきません。
受付はマップの「D」の位置にある「アカプラ」。北海道庁赤れんが庁舎近くのイベントスペースです。当日はNianticのテントが設営されていました。
受付といっても、チェックインする必要はないですし、終わってから行く必要もありません。受付ではチケットを取得しているか確認して、紙製のサンバイザーとマップが渡されるだけです。回る順番は自由ですし、コンプを目標とするものでもないですが、来たからには全部回りたいところ。マップを見ると「K」札幌市資料館が特に離れており、往復は体力と時間の無駄な気もします。ということで、筆者は札幌市資料館からスタートしました。
シェアサイクルで近くのポートまで移動です。札幌にはNTTドコモと共同運営のシェアサイクル「ポロクル」があります。現地に行ってわかったのですがポロクルにはスマホスタンドのある自転車もあり、この手のゲーム向けでしょう。また、ほかの地域でユーザー登録していれば時間貸し料金ですぐに使えるのも魅力です。
イベントのお題は「(12用意された)スペシャルスポットのうち7つを採取」、「7,000歩あるく」、「さくらを3,000本植える」の3つ。ウォーキングゲームであり、毎月行われているコミュニティ・デイでは10,000歩あるくなので、それよりもハードルは低めです。
イベントの参加にあたり、気になっていたのが「ゲームマップ上でスペシャルスポットがどのように表示されるか?」でした。実際には1周年イベント時のローソンなどと同じようにスポットの周囲に割と目立つサークルが表示されます。サークルの範囲内(おおむね40m)に入ると色が変わるので、そこでスペシャルスポットのアイコンをタップし、スワイプすることでスペシャルスポットの入った金の苗(100歩でふ化する特別版)とさくらのエキス40をゲットできます。
さくらの花植えをするためには桜の花びらが必要で、ストックのない人はどうするのかという疑問もこれで解決。まったく花びらもエキスもない場合でも、1つ目のスペシャルスポットでエキスを採取し、ピクミンに与えて花びらを作れば花植えが可能です。
筆者はK「札幌市資料館」→J「大通公園」→G「北菓楼 札幌本館」→I「大通公園 噴水」→L「二条市場」→H「さっぽろテレビ塔」→F「札幌市図書・資料館」→E「Japanese Ramen Noodle Lab Q」→B「札幌ステラプレイス」→A「札幌駅」→C「六花亭 札幌本店」→D「札幌市北3条 広場 (アカプラ)」と回り、途中で7,000歩と花植え3,000本のお題もクリアしてミッションコンプリート。途中見つけた雪印パーラーで休憩を入れてもおよそ90分でした。
あえてマップにケチをつけるとすれば、もう少しルートを回りやすくしてほしいと 感じました。実はK(札幌市資料館)からスタートしたのはここからスタートすれば一筆書きで回りやすいだろうと考えた結果です。開始前にアカプラから資料館近くまでシェアサイクルで行きました。一方、公園は広く、イベント参加者であふれることもありませんでした。イバンとの開催場所としては非常に良かったと思います。
と、内容は拡大版コミュニティ・デイといった感じでしたが、プレイヤーは普段の数倍の密度。ゲーム内は大混雑です。キノコも、ちいさいキノコならともかく、報酬の多いふつうのキノコ、おおきいキノコ、レアきのこの場合、キノコがフィールド上に表示されたら即タップして参加しないと、無料で参加できる5名の枠を超えて、追加参加可能な「キノコおかわりチケット」がすぐに必要になる状態でした。実際、チケットを使っても参加できないこともしばしば。また、札幌以外からの参加者も多かったのか、新千歳国際空港でもキノコ争奪戦が起きていました。
イベント終了後にNianticのPikmin Bloomプロダクトマネージャーである中島りかさんをはじめ、同社の方にお話を伺いました。ピクミンを選んだのは任天堂の方とディスカッションを行った結果、ポケモンの次に最適なものだったとのことです。
「ピクミンの保有数をもっと増やしたい」「(メモリ不足なのか)ゲームがよくハングアップする、変な画面が出る」というプレイヤーの声も認識しており、可能な限り応えたいと話していました。
今回の「Pikmin Bloom Tours 2023:札幌」は全体としては大きなトラブルもなく運営できたと思います(ローカルイベントゆえに地元民参加枠を作って欲しかったなぁという気もしますが難しいでしょうね)。
今後もどこかで「Pikmin Bloom Tours」が開催されることを望みますが、暑さの中動き回るのは、人にもスマートフォンにも負担が大きいと思うので、次は秋頃ではないかと予想しています。今回の取材では、前日と当日あわせて5万歩ほど歩き、かつ前日は荷物を全部持ったフル負荷だったので疲労困憊です。