弁護士ドットコムは、同社が運営する「税理士ドットコム」に登録している個人事業主348名に対し、確定申告に関するウェブアンケート調査を行った。調査期間は2023年3月17日〜3月23日。
最初に「あなたが確定申告したのはどのような内容ですか?」と質問した。
個人事業主の確定申告内容としては、「事業(本業)に関する税務申告」が85.7%となり圧倒的な大多数を占めた。「医療費控除、生命保険料控除、住宅ローン控除、ふるさと納税など控除に関する税務申告」が36.5%、「副業やアルバイト・パートに関する税務申告」が23.4%と続いた。
他にも「株やFXなど投資での利益に関する税務申告」なども挙がった。
続いて「申告書の作成をどのような方法で行いましたか?」と質問した。
申請書の作成方法についての質問に対し、41.8%が「市販の会計ソフトで申告書を作成」と回答しトップとなった。一方、「確定申告作成コーナーで作成」が19.9%、「e-Taxソフトで作成」が15.2%と国税庁の申告書作成システムを利用した割合は合計35.1%となり市販の会計ソフトの利用率41.8%に満たない結果となった。
また、13.7%は税理士に依頼していると回答した。「その他」には「所得税の確定申告は税理士に依頼し、贈与税のみ自身で確定申告作成コーナーで作成」や「市販の会計ソフトで作成し、e-Taxにて移し替えた」という回答もあり、複数の作成方法を組み合わせている方もいることがわかった。
これらの結果から、国税庁の申請書作成システムの普及はまだ浸透していないことが分かった。
続いて「申請書の提出方法は?」と質問した。
申請書作成では15%程度に留まった “e-Tax” だが、「申請書の提出方法」についての質問では、75.4%が「e-Taxを利用」して提出していると回答した。一方、窓口に持参したと回答したのはわずか10.2%となった。
「税理士が提出」「郵送」がそれぞれ似た数値となった。
コロナ禍により浸透した在宅勤務や非対面サービスなどの影響からか、税務署に行くことなく自宅から手軽に提出可能な “e-Tax” が 主流となっていることがわかる結果となった。
最後に「今年の確定申告で苦労したこと・困ったことはなんですか?」と調査をした。
「今年の確定申告で苦労したこと・困ったこと」に関する回答では、「作業時間の確保」が29.8%、「税法の理解」が27.2%、「会計ソフトの使い方」が24%となり、確定申告の作業や必要な知識の習得に費やすほどの時間の余裕が得られない方が一定数いることがわかった。一方で3割近くは「特に苦労したり困ったりしたことはなかった」と回答しているという結果も得られた。
本結果から働きながらの作業時間確保は負担になることが見受けられた。
「苦労したこと・困ったこと」に関する具体的なエピソードに関しては以下が挙げられる。
・頻繁に会計ソフトを使っていないので、操作など色々と行き詰まった
・使っていた会計ソフトで消費税申告ができず、確定申告作成コーナーで対応した
・不動産の等価交換は、e-Taxでは対応できないため、郵送で申告した
・領収書の整理や仕訳の仕方で迷うことが多く、時間がかかり通常業務が滞った
・費用を抑えるため税理士に依頼する範囲を限定的にしたため、自身で作業する必要があった
また「来年の確定申告はどのように対応しようと考えているか」という質問には、以下のような回答が寄せられた。
・毎月ぐらいの頻度で入力を進め、まとめの時に苦労しないようにしたい
・今までエクセルで帳簿をつけていたが、インボイス制度もあるため、次は会計ソフトを導入しようと思っている
・e-taxソフトを使ったので、安くて使い勝手がよい会計ソフトがあれば変更も検討
・税理士に相談、依頼することも検討したい