今回は「こちらこそ」が敬語なのか、目上の人への使い方・例文を紹介します。また、類義語も紹介しているので、シーンにあわせて使い分けましょう。
「こちらこそ」の意味は? 正しい敬語表現?
ここからは「こちらこそ」について、正しい敬語なのかどうかを解説します。
「こちらこそ」の意味
「こちらこそ」は、相手が発した言葉に対して、「それを言うのはこちらの方です」という意味で使われます。感謝の言葉や謝罪の言葉を言われた際に、「その言葉は私の方が言うべき言葉です」という気持ちを表すために使うことが多い印象です。
「こちらこそ」と言うことで、お礼を言われたときには「お礼を言うのはこちらの方です」、謝罪をされたときには「謝るべきはこちらも同じです」という意味が伝わる、謙遜の言葉として捉えるとよいでしょう。
「こちらこそ」は敬語表現?
「こちらこそ」は敬語ではありません。「こちら」は、「こっち」の言葉を丁寧にしたものですが、敬語にはあたりません。
「こそ」は強調の言葉であるため、それより後に続く言葉の意味を強く相手に伝える効果があります。つまり「こちらこそ」には敬語の要素が含まれていないのです。
「こちらこそ」の使い方と例文
会話の例をあげながら、このフレーズが役立つシーンを見ていきましょう。
「こちらこそ」を目上に用いる場合
目上の方には使えない言葉も多くありますが、「こちらこそ」は目上の方にも失礼にならずに使用できる言葉です。目上の方から大きな言葉をもらうときは、謙遜した様子を伝えることが自然な会話の流れになるでしょう。
上司「手伝ってくれてありがとう」
自分「こちらこそ、ご一緒させていただきましてたくさん学ばせていただきました」上司「今回は本当に悪かったよ」
自分「こちらこそ、事前の確認不足がありまして申し訳ありませんでした」
「こちらこそ」を感謝されたときに用いる場合
「こちらこそ」は、感謝の言葉のやり取りに使われることが最もポピュラーです。 相手が先に感謝の意を述べた後、その返答として使用しましょう。こちらから先に感謝を伝えるときには用いません。
相手「この度はありがとうございます」
自分「こちらこそ、感謝しています」相手「本当に助かりました、ありがとうございます」
自分「こちらこそ、お手伝いさせてもらえて光栄です。ありがとうございます」
「こちらこそ」を謝罪されたときに用いる場合
「こちらこそ」は謝罪の言葉のやり取りのシーンにも、多く登場します。
謝罪の言葉のやり取りは、言う方も言われる方も気まずくなることが頻繁にあるため、このフレーズを付け加えることで一気に場や気持ちを和ませることができるかもしれません。
相手「貴重なお時間を割いていただき申し訳ありません」
自分「こちらこそ、お忙しい中申し訳ありません」相手「この度の不手際、大変申し訳ありませんでした」
自分「こちらこそ、確認不足で後からのご連絡になり申し訳ありません」
「こちらこそ」の類語・言い換え表現
「こちらこそ」と似たように使用できる言葉をご紹介します。
「むしろ」
「むしろ~です」というフレーズも「こちらこそ」に近い表現として使えます。
後に続く言葉を強調する意味を持つため、特に相手から謝罪の言葉を受けたときには、転じて良い印象にして返せることもあります。
「むしろ、ご一緒できて嬉しかったです」
「むしろ、結果は良くなったのでこれで良かったとホッとしています」
「私の方こそ」
「私の方こそ」も「こちらこそ」と同様に使用できます。シンプルに返せるので、会話にも気軽に取り入れられるでしょう。
後に続く言葉には、相手が発した言葉をそのまま付け加えることが一般的です。
相手「会えてとても嬉しい」
自分「私の方こそ嬉しいよ」相手「本当にごめんね」
自分「私の方こそ、ごめんね」
「こちらこそ」の英語表現
「こちらこそ」を英語で表すフレーズを紹介します。
「~も同様に」という意味での"too"を使うことが1番シンプルで一般的です。自分の状態や感情を表現する文章の最後に、"~, too."と表現することを覚えておきましょう。
相手 "I'm so sorry."
自分 "I'm sorry, too."相手 "I'm so happy to see you."
自分 "I'm so glad to meet you, too!"
また、相手からの感謝されたときには一言、
- "My pleasure."
- "It's my pleasure."
と返すこともあります。直訳すると「私の喜び」となり、相手に与えたことは「私の喜びでもあるから、気にしないで」と伝えられます。
「こちらこそ」を敬語として上手く使いこなそう
今回は「こちらこそ」が敬語なのかどうかや、目上への使い方・例文などを紹介しました。類義語や英語表現も紹介したので、ビジネスシーンで活用してくださいね。