帝国データバンクは、"電気料金"値上げの影響についてのアンケート結果を4月18日に発表した。調査は4月10日~13日の期間、約1000社を対象に行われた。同様の調査は2022年12月に続き2回目となる。
電気料金の総額が1年前と比べてどのように変化したかを尋ねたところ、全体の約3割(33.1%)の企業が「【増加】20~40%未満」と回答し、次いで「【増加】40~60%未満」(21.1%)、「【増加】20%未満」(20.0%)が続いた。「増加」した企業の合計は93.6%に達し、9割超の企業で1年前より電気料金の総額が増加。
一方で、「変わらない」と回答したのは3.3%、「減少」は1.0%だった。電気料金の総額は1年前より平均で39.4%増え、約1.4倍に増加した。
2022年12月に実施した前回調査と比べると、「増加」した企業を合わせた割合は7.0ポイント増加(前回調査86.6%⇒今回調査93.6%)。20%以上増加した企業の割合が高まっており、料金変化率の平均は10.7ポイント上昇(同28.7%増⇒同39.4%増)したことが分かった。
企業からは「新電力会社との契約更新時に価格が2.5倍になるため、別の新電力会社を見つけて契約したが、年間400~500万円のコストアップ」「新電力会社が電力供給を止め、大手電力会社に変更したが、電力料金は前期の2倍以上になった」と、大手・新電力会社を問わず大幅に電気料金が上昇しているとの声が聞かれた。
一方で、「昨年に駐車場の電灯のLED化やエアコンを入れ替えた結果として、使用量が減少し、電気料金の総額はほぼ変わらなかった」と、節電策の実施で使用量を削減し、電気料金総額を抑えられた企業も。
また、電気料金の増加分を販売価格やサービス料金にどの程度転嫁できているかを尋ねたところ、「全く価格転嫁できていない」と回答した企業が57.2%と6割近くを占めたことが分かった。
一方、「多少なりとも価格転嫁できている」と答えた企業は42.8%で、内訳をみると、電気料金の増加分に対し、「2割未満」と回答した企業が20.7%で最も多く、「2割以上5割未満」が10.1%、「5割以上8割未満」が7.1%で続いた。
今回の価格転嫁の回答から算出した電気料金の増加分に対する販売価格等への転嫁割合を示す「価格転嫁率」は14.9%にとどまったことが明らかに。これは電気料金が100円増加した場合に14.9円しか販売価格等に反映できていないことを示している。
前回調査(2022年12月)と比べると、「多少なりとも価格転嫁できている」企業の割合は13.2ポイント増加(前回調査29.6%⇒今回調査42.8%)し、「価格転嫁率」も5.0ポイント上昇(同9.9%⇒同14.9%)。
企業からは、「部品や原材料の値上げ分の転嫁が目先の課題で、電力代まで手が回らない」「原材料の転嫁が精一杯。それ以上の価格改定は客足が遠のきそうで転嫁できない」と、原材料価格の上昇分を価格転嫁することに取り組むなかで、電気料金までは厳しいという声が多数寄せられている。