三井不動産は、有名料理店の料理を味を冷凍でお取り寄せができる食のプラットフォーム「mitaseru」を4月より本格的にサービスを開始すると発表。メディア向けに説明会と体験試食会が開催された。

有名料理店の本格料理を家庭で味わう「mitaseru」

「mitaseru」は食材調達から料理人の確保、商品の製造代行までを一手に担う新サービス。料理のラインナップは三井不動産が厳選し、知る人ぞ知る名店から予約困難店、ミシュランガイド掲載店など、多岐にわたる有名料理店が並んだ。

料理は一般的な監修商品ではなく、実際に店舗で提供されている料理と同クオリティのものを有名飲食店とともに開発し、専用キッチンで店舗と同じレシピと味にこだわった専門シェフが手作りで調理する。調理後にすぐに-60度という最新の急速冷凍技術を行うことで保存料を使用せずに鮮度を保つことができるという。商品の製造代行から販売までを一括で請け負うことで、飲食業界の人材不足にソリューションを提供し、業界の発展に貢献するという狙いもある。

日本の飲食業界は世界からも高い評価を受けている。ミシュランガイドに掲載されている店の都市別ランキングでは、美食都市パリを抜いて東京が1位となっており、さらに3位京都、4位大阪が続き、世界有数の美食国となっている。しかしながら、立地や客席数が売り上げの制約になっているほか、人材不足なども相まって、業界の拡張性が課題と指摘されてきた。コロナ禍により、有名店であっても集客に悩むケースもあり、その状況を打開すべく飲食事業者とともに取り組める新しい形を模索して「mitaseru」が作られたという。

また、子どものいる家庭が料理にかける時間は1日2.2時間といわれており、家事時間の半分を料理が占めている。なるべく家事の時短をしたいと考える家庭は多いが、アンケート調査によると時短をしても妥協したくないことは「おいしさ」と回答する人が多く、料理の味にはこだわりたい人が少なくないことがうかがえる。共働き世帯が増える中でも、諸外国に比べても日本は妻の家事負担が多くなっており、中でも料理は女性が担う傾向が強い。

「mitaseru」では、絶品料理を場所に縛られず、お店に行けない時でも時短調理でおいしく食べることができる。またフローズンディッシュのためストックも可能で、調理や後片付けの家事負担を軽減できるのが大きなメリットとなっている。

説明会には、「mitaseru」にレシピを提供する飲食店のオーナーらも登壇。サービスについての想いなども語られた。

四川火鍋の専門店「ファイヤーホール4000」の菰田欣也さんは「三井不動産がこんな事業をやるのかと驚いた。何度もキャッチボールをして、普段だったら教えないようなことも教えてテストをし、本当にいい商品を作ることができた」と味わいに自信をのぞかせる。

  • 「ファイヤーホール4000」の菰田欣也さん

フレンチ「La Paix」の松本一平さんは「(提供したレシピは)裏メニューなんですけど、でも人気がある料理で何か催しのときにたまに作ることがあったもの。売ってくれたらいいのに、という声もありました。自宅でも、こういう完成度の味を食べられるのは本当にすごいし、いろいろ挑戦したい」と、さらなるレシピにも意欲をみせた。

  • 「La Paix」の松本一平さん

和食「日本橋ゆかり」の野永喜三夫さんは「実はお店では出していない料理なんですが、実はなかなか作る時間がないんです。クオリティが保てるのか、と思ったんですが、調味料へのこだわりや、食べたときのお肉の味わいなど、すごくちゃんとしてくださっているのが伝わってきた。僕も迷ってしまうくらい、いい店が揃っているのですごく楽しみな企画ですね」と、名店の料理人もうならせるこだわりで作られていると語った。

  • 「日本橋ゆかり」の野永喜三夫さん

試食会では登壇した3店のメニューが提供された。

「日本橋ゆかり」の「具たくさんの豚汁」は、豚バラ肉や根菜などの野菜が6種類も入っており、食べ応えのあるひと品。野菜や豚バラのうま味が汁に溶け込んでおり、ほっとする味わいで、食材のほどよい食感も残っていて冷凍食品とは思えない仕上がりだった。

  • 日本橋ゆかり「具たくさんの豚汁」

「La Paix」の「ビーフストロガノフ」は牛肉をふんだんに使い、フォンドボーとマデラ酒、サワークリームを使った特製ソースで仕上げた濃厚な一皿。牛肉のおいしさが口いっぱいに広がり、贅沢な味わいがリッチな印象だがスッキリとした後味で、ワインと一緒にいただくと食卓が華やぎそうだ。

  • La Paix「ビーフストロガノフ」

そして「ファイヤーホール4000」の「激辛!! 肉団子火鍋」は、試食3品の中でも最後に食べることをお勧めされた激辛火鍋。スープをひと口すすると鮮烈な辛さが脳天を突き抜け、その後に薬膳スパイスの香りが鼻孔に広がる。かなりの辛さだが、薬膳の風味からか不思議とどんどんと口に運べる味で、肉団子に混ぜ込まれたくわいのシャクシャクとした食感も楽しめた。

  • 「ファイヤーホール4000」の「激辛!! 肉団子火鍋」

どのメニューも本格的で、冷凍食品とは思えない味わいばかり。味だけでなく食感や香りも名店の名にそん色ない仕上がりだった。試食メニュー以外にもビストロ「Ata」の「真鯛のブイヤベース」、中華「Series」の「海老のサンバルチリソース」、江戸前鮨「鮨 千陽」の「冷凍寿司”心技体”」など、ミシュランガイド掲載店のメニューが「mitaseru」にはズラリとラインナップ。「mitaseru」の料理は、オンラインストアから注文できる。

  • Ata「真鯛のブイヤベース」

  • Series「海老のサンバルチリソース」

  • 鮨 千陽「冷凍寿司”心技体”」