西山朋佳女王に甲斐智美女流五段が挑む第16期マイナビ女子オープン五番勝負は、第2局が4月19日(水)に山梨県甲府市の「常磐ホテル」で行われました。対局の結果、141手で勝利した西山女王がスコアを2勝0敗として防衛まであと1勝としました。
再びの三間飛車
開幕戦を制した西山女王は、先手番で迎えた本局でも三間飛車を採用します。後手の甲斐女流五段が急戦志向の姿勢を見せたタイミングで角道を止めたのが細かな駆け引きで、第1局のような居飛車穴熊戦を回避する狙いが見て取れます。すぐの仕掛けを断念した甲斐女流五段が左美濃囲いに組んだのに対し、西山女王は3筋の歩を交換して様子を見ました。
穏やかな駒の繰り替えが行われたのち、両対局者は自玉を金銀4枚の堅陣に組み上げて戦いの時を待ちます。飛車を浮いて石田流の攻撃陣を築いた西山女王は、交換した7筋の歩を後手陣の空いたスペースに垂らして後手を焦らせる作戦を採用しました。これを受けた甲斐女流五段が連続で歩を突き捨てて、盤上左方で本格的な戦いが始まりました。
無理攻め跳ね返し西山女王が制勝
6筋に桂を跳ね出した後手の甲斐女流五段は、続けざまにこの桂を先手陣に成り捨てる勝負手を放ちます。代償として角を前線に飛び出して飛車のさばきにつなぐ狙いで、ここから甲斐女流五段の怒涛の攻めが始まりました。甲斐女流五段は騎虎の勢いで角を切って先手陣に竜を作りますが、さすがに角損の実害は大きく、ここで先手の西山女王が優位に立ちました。
丁寧な受けで優勢を築いた西山女王は、自陣で眠る飛車を細かく活用して敵陣に侵入させることに成功。持ち駒を生かした1筋からの端攻めと合わせて着実に後手の四枚美濃を崩していきます。終局時刻は17時13分、豊富な持ち駒を生かして後手玉を受けなしに追い込んだ西山女王が勝利して開幕2連勝を飾りました。感想戦では、先述の桂の跳ね出しに代えてじっと角を活用する手が有力とされました。
西山女王が女王6連覇を果たすか、甲斐女流五段が意地を見せるか。注目の第3局は5月28日(日)に神奈川県藤沢市の「時宗総本山 遊行寺」で行われます。
水留 啓(将棋情報局)